『オワリカラ・タカハシヒョウリのサブカル風来坊!!』中野ブロードウェイにクレクレタコラあらわる!子供番組史上もっともデンジャラスなタコ!

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2018.7.25

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ロックバンド『オワリカラ』のタカハシヒョウリによる連載企画『オワリカラ・タカハシヒョウリのサブカル風来坊!!』。毎回タカハシ氏が風来坊のごとく、サブカルにまつわる様々な場所へ行き、人に会っていきます。第21回となる今回は、中野ブロードウェイ墓場の画廊で2018年7月31日(火)まで開催中の『東宝特撮 行け!クレクレタコラ展~ゴッドマン、グリーンマン、牛若小太郎も勢ぞろい~ゴジラはいないよ!』をレポートします。


中学生の頃、我が家に黒船がやってきた。”ケーブルテレビ”の衝撃である。それまでレンタルショップで見たこともない映画や番組の数々が日夜放送されていて、番組表をチェックしては嬉々として見まくる映像バブルが到来した。中でも特に「ファミリー劇場」にはお世話になった。ファミリー劇場という名前に反して、どう考えてもマニアックすぎるプログラムが組まれていたのだ(『怪奇大作戦』全話一挙放送をやっていたのもこのチャンネルだ)。

ある日、 いつものようにファミリー劇場の番組表をチェックしていると、見知らぬヒーロー番組を見つけた。タイトルは『行け!ゴッドマン』である。それまで一度も聞いたことのないヒーロー名だが、タイトルからして命令形で使役されてる感じが哀愁を感じた。早速見てみると、そこには体験したことのない"味わいの世界"が広がっていた。わずか5分の番組の中に詰め込まれたナンセンスの奔流。ほぼ存在しないストーリー、目線の合わない怪獣たち、野良喧嘩スタイルのバトル、おそらく一般人の子役の演技…… 東宝TV特撮との出会いだった。

時はめぐり、現在、中野ブロードウェイ墓場の画廊では、『東宝特撮 行け!クレクレタコラ展~ゴッドマン、グリーンマン、牛若小太郎も勢ぞろい~ゴジラはいないよ!』が開催されている。東宝の70年代特撮TV番組『クレクレタコラ』と、『行け!ゴッドマン』『行け!グリーンマン』『行け!牛若小太郎』の「行け!三部作」(すごいネーミング)の資料の展示、グッズの販売が目玉だ。東宝特撮と言えばゴジラなのだが、「ゴ・ジ・ラ・は・い・な・い・よ・!」というユーザーフレンドリーな注釈にあるように、ゴジラの影一つない。ゴジラの威光に頼らない潔いまでに振り切ったイベントだが、その熱量はすさまじく、東宝内部には半端じゃないマニアックな社員がいるようだ。あの頃、衝撃を受けた東宝TV特撮のグッズが並び、多くの人が足を運んでいる光景は圧巻だ。

イベントにはクレクレタコラやゴッドマンも登場し、熱狂的ファンが集まり大盛況である。特に今、クレクレタコラの若い世代への人気が高まっているのを感じた。女子人気もすこぶる良いようだ。

『クレクレタコラ』は、1973年に子供向けの特撮番組として放送開始された。月~土まで毎日放送される低予算5分番組という特殊なフォーマットの中で、子供達の心を掴み人気番組となり全260話が作られた。

なんでも欲しがるタコの怪獣「タコラ」と、その子分のピーナッツ怪獣「チョンボ」が、「それ欲しいから!」というプリミティブすぎる動機から「クリャリンコ~」と他の怪獣の所有物を奪おうとして殴られたり捕まったりする。児童向けとは思えぬブラックな番組だ。

主人公のタコラはポップな見た目に反してとにかく危険人物(怪獣)で、銃で武装して交番をジャックしてみたり、躊躇せずに日本刀で斬りかかったりと、日本の子供番組史上もっともデンジャラスなタコである。そのうえ5分番組の中でオチもなく突然終わるシュールな話も多く、特に後半は、もはや児童置き去りのパロディネタが目立ち、座頭市をやってみたり、仁義なき戦いをやってみたりする。

大人になった僕らが今見ると「おいおいおいおい、大丈夫か!?放送できるのか!?」という謎のドキドキ感も味わえちゃう、本当にすごい番組だ。このタコラの欲望に忠実で、フリーダムな生き方が、この閉塞した現代に必要とされているのかもしれない。タコラは一躍大復活を遂げれるだけのキャッチーさを持っている。ひょっとするとタコラの人気が爆発して、ゴジラのようにハリウッド進出する日が来る……かも?今こそ、この"危険すぎるタコ”に注目してクリャリンコ。

TM&(c) TOHO CO., LTD.

イベント情報

東宝特撮 行け!クレクレタコラ展~ゴッドマン、グリーンマン、牛若小太郎も勢ぞろい~ゴジラはいないよ!

2018年7月12日~7月31日
中野ブロードウェイ 墓場の画廊
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