東野圭吾の大ベストセラー『手紙』がミュージカル化
ミュージカル「手紙」
「俺」は「捨」てる あんたの「弟」であることを
2003年に出版され直木賞候補作となった東野圭吾作『手紙』。本作は2006年に映画化され、書籍と共に大ヒットとなった。本作が来年ミュージカル化され、1月25日(月)新国立劇場 小劇場の公演を皮切りに、東京・神戸・大阪で上演される。
弟のために強盗殺人を犯して服役中の兄・剛志と、その弟・直貴が交わす“手紙”が作品の中心となる物語。東野作品といえばミステリーが有名だが本作はミステリーでもなければ、エンターテイメント小説でもない。実に深いテーマを内包した感動作だ。
両親を亡くしてから、直貴にとって兄の剛志が親代わりだった。剛志は弟の学費ほしさに空き巣に入り、現場を見つかったために殺人まで犯してしまう。貧しくても平和だった生活が一瞬にして暗転する。
直貴は「人殺しの弟」という烙印を押され、さまざまな差別に遭う。そんな彼にとって音楽との出会いが唯一の救いになった。バンド仲間との友情、初恋―だが、それさえも無残に打ち砕いたのは兄の存在だった。
一方、服役中の剛志は弟への純粋な想いを手紙につづり続ける。
その手紙が直貴をどこまでも追いつめてゆき、ついに―。
運命の荒波にもまれる兄弟の十年間をたどり、日常のもろさ、差別、償い、家族の絆―現代社会のかかえる問題をあぶりだす。
ミュージカルでは、弟が次々と経験する差別を“横糸”に、兄がひたすら弟を想う手紙を“縦糸”にして構成される。離れた場所にいても、二人の想いと苦しみは、ときにデュエットという形で表現され、それぞれの慟哭がソロになることもある。兄弟二人の、寄り添い、すれ違い、もつれ、反発し、一つにからむ感情を、ときに言葉より雄弁な音楽そして歌で表現し、この普遍的なテーマを観客に伝えていく。
運命の荒波にもまれる兄弟、その弟を演じるのは「ヴェローナの二紳士」での好演が記憶に新しい三浦涼介。そして兄を、2011年「レ・ミゼラブル」で日本公演の歴代最年少となるジャン・バルジャンを演じ、以降も同役、さらにはジャベールをも務めている吉原光夫が演じる。
ミュージカル「手紙」
脚本は、高橋知伽江。作曲は深沢桂子。すでにオリジナル・ミュージカルを何作も共に創ってきた二人が作り上げた本作を、ミュージカル「ビューティフルゲーム」を手掛けた藤田俊太郎が演出する。
ミュージカルだからこそ描ける深い感動、ぜひ体感してほしい。
ミュージカル「手紙」
■日時・会場:
【東京公演】2016年1月25日(月)~1月31日(日)新国立劇場 小劇場
【神戸公演】2016年2月5日(金)~2月8日(月)新神戸オリエンタル劇場
【大阪公演】2016年2月10日(水)枚方市市民会館(大ホール)
■脚本・作詞:高橋知伽江
■演出:藤田俊太郎
■作曲・音楽監督・作詞:深沢桂子
■出演:三浦涼介、吉原光夫/廣瀬大介 、和田雅成、川口竜也、上野哲也、岡本悠紀、五十嵐可絵、和田清香、北川理恵、礒部花凜
■公式サイト:http://no-4.biz/tegami/