早乙女太一×伊礼彼方×喜矢武豊(ゴールデンボンバー)クロストーク! 音楽活劇『SHIRANAMI』で見せる化学変化
(左から)伊礼彼方、早乙女太一、喜矢武豊
諸外国との通商条約に反対する武士たちが、やれ尊皇だ攘夷だと喧しい幕末の日本に、とんでもない五人の泥棒たちが存在した。普段は仲の悪い五人が運命の糸に操られるように、ひとつの事実に吸い寄せられ、やり遂げた快挙とは?
歌舞伎演目『弁天娘女男白浪(べんてんむすめ めおの しらなみ)』で有名な原作『青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなのにしきえ)』を原案に、脚本・演出をG2が手掛け、ショー演出を市川訓由が務める新しい音楽活劇『SHIRANAMI』が、2019年1月、東京・新国立劇場 中劇場にて上演される。
本作に出演する弁天小僧菊之助役の早乙女太一、南郷力丸役の伊礼彼方、忠信利平役の喜矢武豊(ゴールデンボンバー)に話を聞くことができた。これまでのキャリアもまるで異なる3人が、本作でどのような化学変化を見せるのだろうか。
ーーまずは、この作品のオファーが来たときの率直な感想から教えていただけますか?
早乙女:僕はまだ他の出演者も何も決まっていない時にお声をかけていただきました。弁天小僧というキャラクターは大衆演劇の時にも演じていたので知ってましたが、これからどんな人たちが集まってくるんだろうってドキドキしていましたね。
早乙女太一
伊礼:僕は早乙女さんの名前だけ聞いていて、演出はG2さんで。しかも和物。こういう作品にはなかなか縁がないのですが、今ちょうど『ジャージーボーイズ』をやっていて、さらに先には『レ・ミゼラブル』があるこのタイミング。何か普段とは違う種類の舞台をやりたいと思っていたんです。そんな時にこの話をいただいたので喜んで飛びつきました。
喜矢武:ほぼ他のキャストが決まった状態でお声がかかったんですが、顔ぶれを見て「……で、なんで私?」って思いました(笑)。でも正直な話、早乙女さんとはいつか一緒にお仕事をしてみたかったんです。だからこれはやるしかないなと嬉しかったです。その反面ビビッてますけどね。
ーー脚本・演出のG2さんとはこれまで接点はありましたか?
伊礼:僕は『リタルダンド』『Paco~パコと魔法の絵本~fromガマ王子vsザリガニ魔人』『嵐が丘』とでお仕事しています。今回もG2さんから声をかけていただいて「芝居と歌、よろしくね!」と言われました(笑)。
早乙女:僕は白紙ですね……あとWikipediaくらい(笑)。
喜矢武:最近はWikipediaで大体の雰囲気を掴みますよね(笑)。
ーー(笑)。伊礼さんがいちばんG2さんをご存知のようなのでお二人に紹介いただけませんか?
伊礼:G2さんは、ほんわかして温厚そうに見えるんですが(笑)厳しいときは厳しく言って下るし、演劇愛はものすごく深い方。あと、ギターがめちゃくちゃ上手い!
伊礼彼方
喜矢武:マジすか。僕、ギターも教えてもらおうかな(笑)。周りの人に聞くとG2さんっておもしろそうな人、役者を尊重していろいろ話し合って作品を作る人だと聞いた事がありますよ。
伊礼:そうだと思う。話はしっかり聞いてくれる人ですね。
ーー今回は幕末の日本が舞台ということですが、皆さんが演じる役はこの作品の中でどのような役どころとなるんでしょうか?
早乙女:和宮さまの降嫁問題で、天皇側と幕府側の対立が描かれるんですが、弁天小僧は泥棒ではありつつ、和宮さまをお守りする役どころだそうです。
伊礼:南郷力丸は幕府の同心なんですが、ごたごたに巻き込まれて泥棒の仲間に入るらしいんです。だから比較的マジメキャラなのかなあ?
ーー喜矢武さんが演じる忠信利平って原作では「無口な男」という解説を目にしたことがあるんですが。
早乙女:いちばん騒がしくしてほしい人なのにね(笑)。
喜矢武:(笑)。あんまりそういう役をやった事がないから、もしこの作品でもその設定が残ってるとしたら……すごくやりづらいですね(笑)。そもそもそういう役って感情を出しづらいので難しいだろうし。
喜矢武豊
早乙女:その原作の設定、生きているらしいですよ(嘘)。
喜矢武:そうか……じゃあ初日までずっと喋らないでいようか(笑)?
全員:大笑)
ーータイトルにもある「音楽活劇」。「活劇」についてはやはり早乙女さんの素晴らしい殺陣に期待しています。そして「音楽」が付いているという事は、歌も歌われるんでしょうか?
早乙女:僕は得意なことしかやりません(笑)!
伊礼:じゃあ僕は歌で殺陣をして……喜矢武さんはエアーで殺陣をして……。
喜矢武:えー! エアーはショックです……(笑)。せめて刀は持たせてくださいよ! 殺陣は好きなんですが、ちゃんとした日本刀でやったことがないんです。舞台『犬夜叉』に出演させていただいた時は巨大な鉄砕牙だったしね。なかなか振りづらいサイズでしたから。
伊礼:僕はサーベルとか短剣とか、西洋のものはあるんですが、日本刀は持ったことがなくて。先日ビジュアル撮影の時に初めて日本刀を持たせていただいたんですが、持ち方から分からなくて! まず、構え方が全然分からなかった。今回はまっさらな状態で早乙女さんからすべて学びたいと思っています。特に和物の時の所作をね。この前の撮影の時に初めて着物を着たんですが、歩く歩幅があまりに狭くて! 今までガニ股だったのがすごく綺麗な姿勢で歩いた自分に驚いたんです。
喜矢武:見て盗むしかない所もあるんでしょうね。僕も早乙女さんの荷物持ちから始めようかな。「おはようございます!」(荷物を受け取る真似)
早乙女:……何も盗むところ、ないですよ(笑)。
早乙女太一
ーーこれは「早乙女太一監修・殺陣会」を開催しないと!
伊礼:稽古前に毎日1時間やってほしいですね。
早乙女:朝練? 嫌だなあ……。
ーー教えるのは得意じゃないんですか?
早乙女:いや、朝が苦手なんです……(笑)。
伊礼・喜矢武:そっち(笑)!?
ーーところで、皆さんが「泥棒」「大泥棒」と聞いた時に思い出すのはどんなキャラクターですか?
早乙女・伊礼:ルパン三世!
喜矢武:『ワンピース』のルフィかな。お宝を奪ってくる海賊という意味で。
ーー『SHIRANAMI』のあらすじを最初に読んだ時、『ルパン三世』のあの顔ぶれが浮かんできたんですよ。どこか同じ香りがするな、と。
伊礼:そう言われると、南郷力丸って銭形警部っぽいね。
伊礼彼方
早乙女:銭形警部は時々ルパンたちに巻き込まれて泥棒の手伝いみたいな事もしているしね。紅一点の龍真咲さんが峰不二子になるかもしれない。
ーー最後に、稽古そして本番を前にして、今楽しみにしていることはなんですか?
伊礼:すべてが初めての事となるので、日々入ってくる新しい情報を噛みしめて覚えていく作業が楽しみですね。台詞一つとっても今まで口にしたことがない言葉だと思いますしね。
喜矢武:僕は楽日あとの打ち上げですねー!
早乙女:大分、早いよ(笑)。
伊礼:(公演が)終わっちゃった(笑)。
喜矢武:たぶんおもしろい作品になると思うから、きっと打ち上げも楽しいだろうなってその絵がすでに見えているんですよ。「みんな、頑張ったね」って光景が。
伊礼:ちなみに何日に打ち上げが入ると思います?(公演スケジュールが書かれた紙ををすっと出す)
早乙女:うわ! 千秋楽の日、二回公演だ!
喜矢武:この日はバラシ(機材の片付け)があるから無理かな……。(真面目に考える)
(スタッフ:バラシは翌日にやるので……)
喜矢武:じゃ、決まりっすね! いちばん熱がある日にやりましょう。! 早めに店を抑えましょう! どこにしますか?
喜矢武豊
早乙女:ちなみに皆、米が好きだって。
喜矢武:じゃ、ザギンの米を! そして二次会はキャバクラで……。
(スタッフ:二次会は放牧です。各自でお願いします。笑)
全員:放牧って(笑)。
ーー(笑)。では、最後に早乙女さんにびしっと締めていただきましょう。
早乙女:それぞれのジャンルのプロが集まって作る舞台なので、お互いが持つスキルをぶつけ合って、またぶつけ合う事で自分たちがまだ知らない化学反応が起きるかな。それが楽しみですね。
……ものすごく仲が悪くなって、打ち上げの席でみんなバラバラに座っているかもしれませんが(笑)。
全員:(笑)
(左から)伊礼彼方、早乙女太一、喜矢武豊
早乙女太一
ヘアメイク:奥山信次 アシスタント:国府田雅子
スタイリスト:平野彩
伊礼彼方
ヘアメイク:遠山直樹
スタイリスト:小田優士(Creative GUILD) アシスタント:川久保はるか
喜矢武豊
ヘアメイク:笹川知香(PELANGI-Kasih)
取材・文=こむらさき 撮影=山本れお
公演情報
■ショー演出:市川訓由
■出演: 早乙女太一、龍 真咲、伊礼彼方、喜矢武豊(ゴールデンボンバー)、松尾貴史 他
■日時:2019年1月11日(金)~29日(火)
■会場:新国立劇場 中劇場
■料金:S席 11,000円 A席 8,000円
■お問合せ:公演事務局 0570-200-114(全日10:00~18:00)
■オフィシャルHP:http://www.shiranami.net