サンボマスター  酸欠上等、全員優勝のツアーファイナル、バンドとファンの交歓から生まれた熱狂の先へ

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2018.12.21
サンボマスター 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

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ワンマンツアー2018~輝きだして走ってく~
2018.12.15(SAT) Zepp DiverCity

開演を知らせるSEの「Monkey Magic」が流れたとたん、全員がジャンプしはじめたスタンディングの1階フロアはもちろん、2階席も含め、歓声と手拍子が会場全体を包み込んだ。

「ようこそ。ツアーファイナルです!」。

ギターを手にした山口隆(Vo, Gt)は開口一番、短く挨拶すると、いきなり“ふぁい! ふぁい! ふぁい! ふぁい!”と客席を煽った。そして、それに応える“ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!”という観客の声が響き渡る中、演奏がスタート。1曲目は「世界をかえさせておくれよ」。

「びびってんじゃねえ! みんな、かかってこい。さぼってんじゃねえぞ! 踊りまくれんのか!? 行くぞ!」。

山口が雄叫びを上げる。客席が盛り上がらないわけがない。しかし、山口は満足できないのか、「あれ、ファイナルですよね? 福井はこの100倍凄かったぞ。聴こえねえんだよ! 誰だ、さぼってんのは?!」と、すでに荒海のようにうねり始めている客席に発破をかける、かける、かける。

「こんなもんじゃねえだろ! 自由になれよ!」と間髪入れずに2曲目の「これで自由になったのだ」につなげると、1階フロアでモッシュが始まり、血気盛んな観客がステージに向かってダイブ! そして、山口のギターソロに対して、“オイ!オイ!オイ!”と客席から声が上がる。それでも山口は客席を煽る手を緩めない。

「50歳でも17歳だと思え! 40歳でも17歳だと思え! 14歳でも17歳だと思え! おめえのピークを見せてみろ! こんなんじゃツアーファナルと呼べないぞ。そんなものか?!」。

これはロックンロールバンドのライブなのか、それともブートキャンプか、何かなのか。いや、“サンボマスターのライブと言えば、これでしょ!”と言われれば、そうかもしれない。しかし、山口が終始、観客に檄を飛ばした、いつも以上にスパルタ式のライブからは、このツアーファイナルにかける並々ならぬバンドの意気込みが感じられたが、山口がそこまで客席に求めるのは、前回のライブを超えなければ、山口が言う“伝説の夜”にすることも、“ミラクルを起こす”ことも、ここにいる“全員が優勝する”こともできないとわかっているからだ。そして、求めれば、求めるだけ観客が応えてくれると信じているからだ。

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

実際、これっぽっちも容赦しない山口の叱咤激励に喰らいつき、バンドの熱演に応えたサンボマスターのファンは凄かった。盛り上がり方が凄すぎて、序盤から酸欠状態になってしまい、「1分くれ」と山口がタイムを求めたり、自分と同年代のファンがダイブしている姿を目の当たりにして、「いつ発作が起こるかもしれないし、腰をやってしまうかもしれなし。自分の体を大事にしてください」と思わず声をかけるほどだった。

だからこそ、よけい燃えたに違いない。

「甲子園で優勝できるのは一校だけ。オリンピックで金メダルを獲れるのは、(その種目で)1人だけ。(しかし今日は)2500人まとめて、全員優勝だ。サンボマスターと優勝できる人!?」と途中から“全員優勝”をスローガンに掲げ、前述したとおり、最後の最後まで、客席に檄を飛ばしながら、サンボマスターの3人は2500人の観客と一つになって、伝説の夜、そしてミラクルの成就を目指して、熱演を繰り広げていった。

8月15日にリリースしたシングル「輝きだして走ってく」をひっさげ、11月16日から全国6ヶ所を回ったワンマンツアーのファイナル公演。チケットは一般発売後、あっという間にソールドアウトとなり、改めてサンボマスターの人気を印象づけた。

「ぎゅうぎゅうに入れてすみません。チケット高くなるよりいいかなと思って」と詫びながら、山口はいわゆる“即完”になったことに感謝を述べたが、「輝きだして走ってく」は人気テレビドラマ『チア☆ダン』の主題歌だったせいか(「できっこないを やらなくちゃ」も劇中歌として使われた)、今回のツアーでは観客の層がさらに広がったようだ。

サンボマスターの曲、1曲しから知らないって全国で言われたから慣れたよ(笑)」と言う山口も、それに頷いている近藤洋一(Ba, Cho)も木内泰史(Dr, Cho)もなんだかちょっとうれしそうだ。

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

シングルのツアーだから、アルバムの時とは違って、セットリストも自由に組むことができたのだろう。この日、バンドが演奏したのは、まさにベストセレクションと言える新旧の代表曲ばかりだ。中盤、ソウルフルな「新しい朝」、アーバンな雰囲気もある「あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ」、そして、「おめえが生きていることを祝福する歌があって何がいけない?」という切実なメッセージを込めた「ラブソング」をじっくりと聴かせると、すべてを肯定する「YES」からラストスパートをかける。

2階席の観客も立ち上がって、1階フロアに負けないくらいジャンプした「できっこないを やらなくちゃ」、山口のタイトルコールに会場中が熱狂した「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。そして、生き続け、またライブハウスで会うことを誓ってから歌った「輝きだして走ってく」。本編最後を飾ったアンセムの3連打では、観客の大きな歌声が会場中を包み込んだ。

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

「酸欠地獄を越えて、酸欠無限地獄に突入(笑)」。

そんな山口の言葉から始まったアンコール。山口はこの日のライブを振り返って、観客の反応がモッシュ、ダイブ、シンガロングと入り混じった「ハイブリッド型(が)新しい感じがして、それが良かった」と言ったが、「輝きだして走ってく」をステップにサンボマスターは結成20周年を目前にして、何やら新たな局面を迎えつつあるようだ。酸欠無限地獄を作り出したバンドとファンの交歓から生まれた熱狂に加え、そんなことをアピールしたこともこの日の大きな見どころだったと思う。

そして、“酸欠上等! 酸欠上等!”のコールの中、「アンコールこそミラクルを起こせ! 良いお年をお迎えください。(でも)、その前にやることがあるだろ!」という山口の言葉に応え、「そのぬくもりに用がある」「さよならベイビー」というファン歴が長い人ほど興奮したアンコールの2曲では、さらに激しいモッシュとダイブが起きたのだった。

取材・文=山口智男 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

サンボマスター 撮影=浜野カズシ

 

セットリスト

サンボマスターワンマンツアー2018~輝きだして走ってく~
2018.12.15 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. 世界をかえさせておくれよ
02. これで自由になったのだ
03. 青春狂騒曲
04. オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
05. 光のロック
06. ミラクルをキミとおこしたいんです
07. 可能性
08. 新しい朝
09. あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ
10. 絶望と欲望と男の子と女の子
11. あなたといきたい
12. ロックンロール イズ ノットデッド
13. ラブソング
14. YES
15. できっこないを やらなくちゃ
16. 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
17. 輝きだして走ってく
<ENCORE>
18. そのぬくもりに用がある
19. さよならベイビー

ライブ情報

ポルノ超特急2018
2018/12/22(土)京都パルスプラザ

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
2018/12/28(金) 大阪府 インテックス大阪

COUNTDOWN JAPAN 18/19
2018/12/31(月) 千葉県 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

キン肉マンカーニバル2019
2019/02/09(土) 東京都 豊洲PIT

ウルフルズ 東名阪Zepp対バンツアー2019
2019/02/22(金) 大阪府 Zepp Osaka Bayside

ビクターロック祭り2019
2019/03/16(土) 千葉県 幕張メッセ国際展示場

ARABAKI ROCK FEST.19
2019/04/27(土)、04/28(日)

JAPAN JAM 2019
2019/05/04日(土・祝)・05/05(日・祝)・05/06(月・振休)
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