フレデリック、[ALEXANDROS]、アルカラら登場 最終回の『GT2019』、17時間超の熱演をじっくり振り返る
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フレデリック
Livemasters Inc. Countdown "GT2019" supported by スマチケ
2018.12.31-2019.1.1 Zepp DiverCity(TOKYO)
年末のカウントダウン・ライブイベントとしてロックファンの間で定着しつつあったLivemasters Inc.主催の『GT』シリーズが、惜しまれながらも終幕を迎えた。昨年12月31日から年明けの1月1日にかけて行われた『GT2019』は、最後の開催というだけあり、このイベントの歴史と功績が浮き彫りになるような内容だった。以下、全16組のライブレポートを通して、『GT』が私たちに残したものとはいったい何だったのか、考えてみたいと思う。
トップバッターはリーガルリリー。前説として登場したLivemasters Inc.代表・岩下氏曰く、今回の『GT2019』には、『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018』に参加し、大きな成長を遂げた4組に出てほしいという強い想いがあったらしく、リーガルリリーはそれに応えるような形で急遽出演が決定した。
1曲目は「スターノイズ」。多展開のイントロが描く果てないロマン、衝突と再生を繰り返しながらきらめく3人のサウンドに会場は早くも釘付けになった。むしり取るように弦をはじくたかはしほのか(Vo/Gt)は衝動の化身のよう。その背後で連打するゆきやま(Dr)も、彼女と目を合わせ笑う海(Ba)も楽しそうだ。上昇のメロに乗って<耳鳴りが止まらないや。>と歌う「the tokyo tower」の昂揚感、そして「リッケンバッカー」の壮絶さたるや。演奏時と、「来年もよろしくお願いしまーす」「今日は楽しんでくださーい」「じゃあ、さようならー」といった脱力系MCとのギャップもまた多くの人を惹きつける。ラストの「ぶらんこ」は、たかはしがマイクの近くで弦をはじいてから8分の6拍子の重厚な間奏が始まるシーンが最高すぎた。
タイムテーブルの時系列とは異なる並びになってしまうが、先に、リーガルリリーと同じく列伝組であるSaucy Dog、Ivy to Fraudulent Game、SIX LOUNGEの話がしたい。
1年間でのライブ本数は計108本。怒涛の勢いで2018年を駆け抜けたSaucy Dogのライブは、その成果がダイレクトに表れていた。研がれた3人のサウンドは鋭利で、観客はじっと見入るような感じに。最初のMCで、「みんな身体ほぐれてます? 心ほぐれてます?」(せと ゆいか・Dr)、「見たら分かるやん、カッチカチやん!」(石原慎也・Vo/Gt)というやりとりをしていたが、いや、無理もない。それほどの迫力があったのだ。
「グッバイ」以降は、石原が手拍子を煽ったり、歌詞に合わせたような身振りをしたり、「分かる?」と言いながら一緒に歌うよう促す。そのようにしてフロアの空気も和らげる様子も、よりストイックになった演奏も確かな成長を感じさせるものだったし、ラストの「いつか」が前年より明らかに前向きな響きをしていたのも良かった。
2年前の『GT』初出演時、会場が埋まらなかったことに触れ、「一生忘れない痛みだと思うけど、こうやって強くなって帰ってくることができました」(寺口宣明・Gt/Vo)と語ったIvy to Fraudulent Game。TOTALFAT、KEYTALKという強烈な2組に続いての登場だったが、それでも自分たちの空間を作ることができたのは3年間の成長によるところが大きい。
耽美的な「夢想家」から「革命」の開放感へ繋ぐ大胆な采配も効果的に作用していたし、ステージングには適度なゆとりが。自身を鼓舞するように鳴らした「10代の頃からやっている曲」=「error」では多くの人がステージへ歌声を返した。「年末年始だけど音楽しかやってなくて、最高に幸せで苦しいです。紙一重なんですけど」と寺口。その狭間を縫うようにもがきながら、アイビーは強くなっていくのだろう。
出演順は10組目。前回の『GT2018』で深い爪痕を残したことが評価されたのか、若手陣の中では遅い時間帯の登場となったSIX LOUNGE。あの時のライブも鮮烈だったが、今回はそれをさらに数段上回る勢い。「やりたいことを思いっきりやって帰ります!」(ヤマグチユウモリ・Gt/Vo)と爆走をかまして帰っていった。
誰にも止められない3ピースサウンドの、このヒリヒリとした感じは、渇望感は何なのだろうか。観客の上げる拳もかなり前のめり気味で、その音に心も身体も突き動かされているのだということが一発で分かる。「ハッピー・ニュー・ロックンロール!」(ヤマグチ)、「イェーイ!」(観客)というやりとりは冷静に考えると意味不明だが、冷静になること自体野暮に感じられるほど最高の瞬間だったのは言うまでもない。魂を削るように音を鳴らしながら何度だって化けていくこのバンドの、真髄を見た気がした。
飛躍した新鋭はもちろんこの4組だけでない。サイダーガールのライブでは演奏開始とともに一気に場が華やぎ、それがとても頼もしく思えた。『GT』には3年連続出演となるが、彼らは毎年、その年にリリースした曲をメインにした選曲で臨んでいる。今回は特に、歌謡的なエッセンスを感じる「化物」辺りが新境地に踏み入ったような感触があった。MCでYurin(Vo/Gt)が「バンドマンの友達ができた」と話をしていたように、2017年に行ったLivemasters Inc.主催、Halo at 四畳半とのスプリットツアーも彼らにとって重要なものだったのかもしれない。cinema staff・辻友貴(Gt)がダンサーとして登場した「メランコリー」を経て、清涼感満点の「エバーグリーン」で終了。最後にYurinが何か挨拶をしていたけれど、後ろで鳴っているバンドの音が大きすぎて、さらにYurin自身も昂って早口になっているからこちらからは聞き取りづらい。そういうのも含めて、良いライブだった。
ここで辻が登場したのでcinema staffの話をしておきたい。cinema staffは、飯田瑞規(Vo/Gt)の喉の不調のため残念ながら出演キャンセルとなったが、この日会場に来ていた辻は、これ以降も様々なバンドのステージに出現。また、9mm Parabellum Bulletとアルカラの間のステージ転換中――本来cinema staffが出演する予定だった時間帯である――には、会場内でcinema staffのライブ映像が放映されるという粋な演出もあった。
「リハーサルだからといって手は抜かないよ!」(渡井翔汰・Vo/Gt)とスタート前から演奏しまくっていたHalo at 四畳半は、定刻になると『GT』への想いを言葉にしてから改めてライブを始めた。1曲目「シャロン」からして漲る気合いが伝わってくる。ステージからの演奏へ観客が歌声を返すことにより構築されるコミュニケーション。「俺にはずっとずっと憧れてた存在がある。俺はいつでもあなたたちのヒーローでありたい!」というMCは少々青臭いが、「音楽の中でだからこそこういうことが言える」という部分をまっすぐやることのできる純度の高さが彼らの魅力である。
メジャーデビューしたのは昨年10月だが、Halo at 四畳半は意外とバンド歴が長い。そんな彼らが、腐らず、頼りがいのある存在になって今年もZeppに帰ってきているのだという事実もとても喜ばしいことだ。Livemasters Inc.との切れない関係を願うようにして、両者にとっての思い出の曲「リバース・デイ」を鳴らして終了。
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また、最終回とはいえ付き合いの長いバンドのみを出演させるのではなく、新たな才能をプッシュアップすることを欠かさないのも『GT』らしい。『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2019』に出演することが決定しているtetoは『GT』初出演。衝動任せの爆音を鳴らし、フロアの気温を一気に上昇させた。福田裕介(Dr)のビートが刺激的な「拝啓」まではアッパーチューン中心。金髪姿の小池貞利(Vo/Gt)が計3回フロアへ飛び込んでいくなど、予測不可能の展開でみんなをワクワクさせる。
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一転、ラストに演奏されたバラード「光るまち」は、それまでの激しい展開とは異なる後味を残していった。ライブハウスにやってきた人の数だけ物語があるのだと伝えるこの曲が、大晦日にわざわざロックフェスにやってくるような人たちに刺さらないわけがない。tetoの鳴らす爆音がどうしようもなく泣けるのは、“こんなヤツら”への愛情に満ちているからだ。「こういう日のために終電で帰ってるんでしょ? じゃあ今日くらい終電は逃そう」と締め括るラストシーンは、とても感動的なものだった。
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以上、7組のライブの模様を最初にお届けした。『GT』はZepp DiverCityという、約2500人キャパの会場で開催されている。これは若いバンドにとっては“広い”と感じる規模であり、実際、サイダーガールは「3年前に(ステージに)立った時には足が震えていた」と言っていたし、Halo at 四畳半も「Zepp DiverCityのステージに初めて立ったのは『GT』に出た時だった」と話をしていた。つまり、ここに立つこと自体が彼らにとって大きな挑戦にあたる。年に1回、これからの成長を期待できるバンドたちにそういう機会を提供することも『GT』が果たしてきた重要な意義のひとつだった。そして、前述の7組の頼もしいライブを観る限り、その試みは成功だったように思う。引き続き、彼らの活躍に期待していたい。
さて、前半戦ではここまで紹介したような若手バンドが多く登場したが、彼らの間に配置された、TOTALFAT、KEYTALK、BIGMAMAもまた強烈な印象を残していった。
TOTALFATは、「今年一、いや、お前らの人生一、ヤバいパーティー始めるぞ!」(Jose・Vo/Gt)と初っ端から「PARTY PARTY」「夏のトカゲ」をぶっ放す。フェスだから当然観客は彼らのファンのみではないが、一体感で以って場をしっかりと作り上げていく姿にはもはや貫禄すら感じる。
「最後の『GT』に送ります。音楽で一緒に種を育てていきましょう!」というShun(Vo/Ba)の言葉で気づいたが、振り返ってみれば、この日の彼らのライブは、たとえ『GT』がなくなったとしても、『GT』が芽吹かせたものは今後もライブハウスの中に在り続けるのだということを伝えてくれていたように思う。そしてそれは、音楽を好きな人、ライブハウスを好きな人の人間力のようなものを全面的に信じているこの人たちだからこそ成し得たことだろう。ラストの「ONE FOR THE DREAMS」ではフロアいっぱいに歌声が咲いたのだった。
「2018年俺らのライブ、ラスト! 『GT』もラスト! 今日は踊るしかねえ!」(寺中友将・Vo/Gt)――と、TOTALFATの次に登場したのがKEYTALKであり、1曲目からいきなり「MONSTER DANCE」なのだから、このタイムテーブルは本当に容赦がない。
「片面焼きの肉は美味い」ということだけをデスボイス+オートチューンで唄う曲「One side grilled meat」といったフェスではわりとレアな曲、最新曲「Cheers!」などを交えたセットリストは、実はそこまで鉄板的な内容ではないが、そんなことなど関係なしに鉄板の盛り上がりを生み出してしまうのがこのバンドのすごいところだ。そしてラストは「Summer Venus」で締め。因みにこの日はダブルヘッダーであり、『GT』でのライブ後、幕張へ急行したKEYTALK。全国のフェス会場をダンス天国に塗り替えていく姿は実に頼もしい。
BIGMAMAのライブは「荒狂曲“シンセカイ”」で嵐のように幕開け。「POPCORN STAR」の躍動感を経ての「秘密」では、リアド偉武(Dr)のスティックが勢いの余り飛んでいったシーンなど、メンバーの昂ぶりを読み取れる場面もあった。MCを挟まずに演奏を続ける構築的なライブではあったが、このバンドの場合、サウンド自体が華やかであるため、空気が固くなりすぎるようなこともない。
ワンマンだとイントロの時点でみんながタオルを掲げ始める「until the blouse is buttoned up」で、東出真緒(Vn/Key/Cho)がそれとなく促すまでそういうことが起こらないという新鮮な状況もあったが、そういう初見の観客もひっくるめて、軽やかな温度感で攫っていった印象。「『GT』に、あなたに!」と金井政人(Vo/Gt)が投げかけ、ラストには「SPECIALS」が演奏された。
さらに、今回が最後の開催であることを受け、2組のバンドが『GT』へ帰ってきた。
1組目はシークレットアクトの[ALEXANDROS]。『GT2015』以来、4年ぶりの出演だった。“転換中はステージに幕が張られる”“『GT』オフィシャルTシャツには彼らの名前はなし(解禁後、物販にTシャツを持って行くとアイロンプリントをしてもらえる仕様)”という徹底した防御により、ライブが始まるその瞬間まで誰が現れるのか分からない状況。それだけに、彼らが登場した時の盛り上がりは凄まじく、悲鳴に近い歓声があちこちから聞こえてきた。
セットリストは既に慣れ親しまれているキラーチューンと、最新アルバム収録曲が共存する構成で、個人的には、元々夏フェスで大きなステージに立つ他バンドの姿を観た時の悔しさから生まれた曲だという「Starrrrrrr」を、“一回りも二回りも成長してホームのフェスに帰ってきた”というシチュエーションで聴けたことにグッときた。実際、この日のライブは、彼らが小さなハコから叩き上げでやってきたバンドなのだということを思い出させてくれるような、情熱漲るものだったように思う。大きなシンガロングを巻き起こし、それを巻き込みながら膨れ上がるバンドサウンド。川上洋平(Vo/Gt)の笑顔はまるでいたずらっ子のようだった。
深夜2時台に登場した9mm Parabellum Bulletは『GT2012』以来の出演。ライブの始まりは「新しい光」、そして「Black Market Blues」、さらに「ハートに火をつけて」――という時点でご想像いただけるかもしれないが、この時間帯の9mmはどうしたってアドレナリンが出まくる。ステージ上を動き回る5人(サポート含む)によるキメはものすごく分厚いし、そのキメの時にみんな一斉に楽器を掲げるような動作をしているのも観ていてテンションが上がる。
「みんな、俺ともっと噛み合ってもらってもいい?」と、菅原卓郎(Vo/Gt)は独特な言葉で観客を煽っている。後半戦では、昨年リリースした配信シングル収録曲を2曲連続で披露したほか、cinema staff・辻を迎えた編成(つまりギターが4本!)で「Talking Machine」「Punishment」を披露。ライブは圧倒的な壮絶さを誇っていた一方、音が止んでいる時にフロアからは飛んでくる声は「あけおめー!」「おめでとう!」といった平和的なものであり、このバンドの愛されっぷりが垣間見えたのも微笑ましかった。
このように猛者が一堂に会するタイムテーブルの中、シークレットアクト=[ALEXANDROS]の直後、かつカウントダウン担当という大役を任せられたのがフレデリックだった。責任重大なだけに緊張しているのか若干の固さは見受けられたものの、ツアー中ということもあり、アンサンブルの精度は抜群。フロント3人がお立ち台に揃うオープニングも目を惹く「シンセンス」から、観客は心身を彼らの音楽に委ねているようだ。
一際幻想的に響いた初期曲「峠の幽霊」、「年越す? 越さない? 越すよね!」(三原健司・Vo/Gt)というこの日ならではのアジテーションから突入した「KITAKU BEATS」、そして年越し前ラスト曲として適任すぎる「オワラセナイト」を終えると、会場内の時計が示す時刻は11:59。間に合った~!と場内が安堵に包まれたあと、舞台袖の出演者も登場し、「オドループ」で2019年を迎えたのだった。
その後、「飄々とエモーション」でライブは終了。去り際には健司が、初出演時はZeppを埋められないような新人バンドだったが、今ではツアーのZepp 2デイズをソールドさせるほどになったのだと報告。「Livemastersを引っ張れる存在になろうと思います」と頼もしい言葉を残していった。
年を跨ぐと、『GT』名物の細美武士&ホリエアツシによる弾き語りセッションへ。このコーナーは細美とホリエの二人(一部、スコット・マーフィーと戸高賢史も登場)が、酒を呷りながらそれぞれの所属バンドの楽曲やカバー曲(ときどきモノマネ込み)などを歌うもの。それだけに例年ゆったりとした時間が流れるのだが、今回はいつにも増して温かな空気だった印象。良い曲を良い歌で聴くことができる、というこの上ない贅沢を堪能することのできる至福の時間となった。途中、細美が「正直『GT』楽しかったな。行きたくねえっていつも言ってたけど、実はすごく楽しみにしてた」と話す場面、ホリエが細美のことを「ミュージシャンとしてこの人に惚れてるんですけど、人間としては面倒くさい人なんですよ。でも絶対周りに仲間がいる。惹きつけるなあ」というふうに語る場面も。
スコット・マーフィー / 細美武士
冒頭に岩下氏を呼び、「どうして『GT』やめるの?」とストレートな質問を投げかけることができるのも、彼およびこのイベントと付き合いの長い細美とホリエならではだろう(岩下氏の回答は「若い世代に新しいイベントを創り、育ててもらうため」とのことだった)。ここ数年とは違って「夏色」(ゆず)で締めず、ラストに「金星」(ELLEGARDEN)を演ることを選んだのも彼らなりのメッセージだったのかもしれない。
「泣いても笑ってもこれが最後の『GT』やで! 一緒に泣いて笑って歌って踊るぞ!」(稲村太佑・Vo/Gt)――残すところいよいよ1組。最後の『GT』を締め括ったのは、ここのところ、絶対的大トリとして君臨していたロック界の奇行師・アルカラだ。奇妙なフレーズの並ぶアンサンブルは姿形こそ闇鍋のようなのに、一度口にしてしまえば、何だか忘れられなくなってしまうような味わいだから不思議。掴みようのない新曲「ギラリちゃん」もかなりの存在感だった。ライブの後半ではcinema staff・辻も参加。cinema staffは、2017年にメンバー脱退の事態に見舞われたアルカラを支えたバンドの一つであり、そのシネマの不在を、今はたくさんのバンドが補い合っている。バンド同士の絆のようなものまで垣間見えた瞬間だった。
「俺たちが『GT』に与えてくれた音楽があります」という流れで始まった「春の海」のアカペラも、これで聴けるのが最後かと思うと切ない気持ちに……というよりかは、相変わらずのシュールさでクスクス笑いを巻き起こし、あっという間に本編ラストの曲へ。岩下氏の好きな曲だという「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」は文字通り全身全霊の演奏。キメ一つひとつのビリビリとした重さからものすごい気迫が感じられた。そしてアンコールの「キャッチーを科学する」~「チクショー」では出演者総出の大団円状態に。ここで岩下氏を呼び込み、みんなで彼を胴上げしたあと、最後の『GT』はフィナーレを迎えたのだった。
アルカラ / Livemasters Inc.岩下氏
――と締め括りたいところだが、この話にはまだ続きがある。そのあと岩下氏から「太佑さん、相談があるんですけど。来年(会場は)押さえてあるんだけど、俺はやらないよ?」と投げかけられた稲村が、驚いたような表情をし、一瞬静止したあと、「いただいてもいいですか?」と返事をしたのだ。終わりと思いきや始まりだった。そんなまさかのサプライズに湧く場内。ステージ袖の細美は大きく丸印を作るようなジェスチャーをしていて、オファーを受ける体勢が既に万全だ。
『GT』はこれにて終了だが、今年から、また新たなカウントダウンイベントが生まれるかもしれない。続報を楽しみに待っていたいと思う。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=佐藤広理、高田梓、西槇太一