「黒猫ホテル」でアナタをたっぷりおもてなし! 東京ゲゲゲイ歌劇団vol. III『黒猫ホテル』稽古場レポート

2019.1.25
レポート
舞台

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2019年1月29日(火)から3日間、東京・EXシアター六本木にて、生演奏によるライブ公演 東京ゲゲゲイ歌劇団vol. III『黒猫ホテル』が上演される。

リーダー・MIKEYのキテレツメンタルワールドを表現するアーティスト集団「東京ゲゲゲイ」は、2016年11月から『東京ゲゲゲイ歌劇団』と題した本公演をスタートして好評を博している。第3弾となる今回は、最新アルバム「黒猫ホテル」の楽曲を中心に繰り広げられるグランドレビュー。日本公演に先駆けて、昨年12月には日中平和友好条約締結40周年記念催事の一環として上海と北京にて上演され、中国の観客を熱狂させている。

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様   Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

日本での本公演初日が目前に迫る中、稽古場に潜入し、怪しく美しいその世界の一端を垣間見てきた。この模様をレポートしよう。

以下、ネタバレあり

稽古場ではステージに置かれたゴシック調の赤い長椅子が置かれ、そこにMIKEYが何かを考えている風に座っていた。一方BOW、MARIE、YUYU、MIKUは黒のワンピースに白のエプロンに白手袋というメイド風衣裳をまとう。それだけならどこかの老舗ホテルの従業員だが、これに網タイツに厚底靴、そして猫耳がついた黒キャップを被るとあっという間にゲゲゲイらしさがあふれ出す。

MIKEYがセンターに立ち横一列に並んだ瞬間、ステージが呼吸を始める。その光景を目にした瞬間、興奮で背筋が震えただけでなく、思わず涙がこぼれそうになった。というのも今回の公演は、前述のとおり最新アルバム「黒猫ホテル」の楽曲を用いたレビューであるというだけでなく、しばらく活動を休んでいたメンバーYUYUの復帰公演でもあるからだ。以前のようにフルメンバーでキレッキレに踊るゲゲゲイの姿を待ちわびていたファンの一人として「YUYU、おかえりなさい!」と声をかけたくなる。おそらく公演に何度も足を運んできた多くのファンも同じ心境になるのではないだろうか。

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

園畑貴之のピアノと松原“マツキチ”寛のドラムの生演奏が響く中、通し稽古がスタート。MIKEYの妖しさと切なさに溢れる歌声が流れ出すと、スイッチが入ったかのようにBOWたちの身体が躍動を始める。お客様を招き入れるような手振りをし、またロングドレスの裾をフラメンコのように動かしたりと艶めかしい仕草も交えるが、ほどなく、高圧電流が身体中を断続的に流れるように、肩、腕、腰、膝など至るところの関節が曲がっては止まり、そして両手をくるくると回す高速デフラワーが咲き乱れるゲゲゲイお馴染みのダンスが次々と炸裂した。

「黒猫ホテル」に収録されている「Black Cat」「Egoist」「愛のフルコース」「黒猫ホテル」などの楽曲をたっぷり歌い上げるMIKEY。もちろんそれだけではなく「ズットスキナヒト」などの人気ナンバーも日替わりで聴かせてくれる。また、マイクを持つのはMIKEYだけではなく、4人もマイクを握って女の本音や情念をラップでさらけ出す。「T・O・K・Y 俺たち ゲゲゲイ」のサビが耳に残る「TG」では、現在のメンバーの状況を歌詞に織り交ぜつつ縦ノリで激しく騒ぎ、歌う。観客とのコール&レスポンスが見えるようだった。

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

今回の内容は前半をBlack、中盤をRed、後半をWhiteとテーマカラーを持たせた構成。メイド服姿のBlackの世界が終わりを告げると真っ赤な衣裳に着替えたメンバーが真っ赤なスタンドマイクを手に刺激的に魅せる。愛を交わす相手に見立ててスタンドに絡んでみたり、武器のように扱ってみたりと、扇情的な表現で観る者を鷲掴みにする。

BOW、MARIE、YUYU、MIKUのソロパフォーマンスのコーナーもある。黒猫風にしなやかに動き回るYUYU、MARIEの色気たっぷりの濃密な時間、MIKUの炎を上げすべてを焼き尽くすような激しい世界、そしてBOWの笑いと狂気に満ちた今様の「狂言」……個性を活かした趣向が随所に盛り込まれていた。

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

観客もゲゲゲイのメンバーのような気分でガンガン踊り巻くって楽しんだ後は、MIKEYがさよならを惜しむようにメロディアスに歌って送り出す。「黒猫ホテル」を後にする切なさをも体感していただきたい。

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

2018年12月20日 中央民族歌舞団民族劇院 北京公演の模様  Photo by Xiaobei/東京ゲゲゲイ北京公演((独)国際交流基金主催)より

昨年9月から2ヶ月間に渡り「ジャポニスム」の一環でフランス・スイスの12都市で26公演のツアーを行い大成功を納めてきた東京ゲゲゲイ。そこで得た大きな自信を糧に披露する今回の公演。アーティストしてのクオリティを上げつつ、それでいて東京ゲゲゲイらしいユニークなキテレツさ満載のライブ公演をどうぞお楽しみに。

取材・文=こむらさき

公演情報

東京ゲゲゲイ歌劇団 vol. III 『黒猫ホテル』
 
■演出・脚本:MIKEY From 東京ゲゲゲイ
■振付・出演:東京ゲゲゲイ
■音楽:MIKEY / 安宅秀紀
■出演:東京ゲゲゲイ
スペシャルゲスト:武田真治(東京公演のみ)
 
■日時:2019年1月29日(火)~31日(木)
■会場:EXシアター六本木
■入場料金(税込):座席指定席:6,800円 アリーナスタンディング:5,800円 U‐254,800円 
 
■主催:(株)パルコ 制作協力 (株)エフスクエア
■お問合せ:スペース 03-3234-9999 月~土・10時~12時/13時~18時(日・祝は休み)
 
■場所・日程
<東京公演>  ※公演終了
大田区民ホール・アプリコ 大ホール
2019年1月19日 (土) 
【お問合せ】大田区文化振興協会 オンラインhttp://www.ota-bunka.or.jp/(24時間対応)
大田区文化振興協会 専門電話 03-3750-1555(10:00~20:00)
 
<茨城公演>
つくばノバホール
2019年1月26日 (土)
【お問合せ】(公財)つくば文化振興財団 029-856-7007 http://www.tcf.or.jp/
 
<高知公演>
高知県立美術館ホール
2019年2月3日 (日) 
【お問合せ】高知県立美術館 088-866-8000 http://moak.jp/
 
<名古屋公演>
愛知県産業労働センター ウインクあいち 大ホール
2019年2月5日 (火)
【お問合せ】キョードー東海 052-972-7466
 
<仙台公演>
電力ホール
2019年2月15日 (金) 
【お問合せ】仙台放送 022-268-2174(平日9:30-17:30)
 
<大阪公演>
なんばHatch
2019年2月23日 (土) 
【お問合せ】キョードーインフォメーション 0570-200-888 (10:00~18:00)

<福岡公演>
福岡国際会議場 メインホール
2019年2月26日 (火)
【お問合せ】ピクニックセンター 050-3539-8330(平日11:00-17:00) http://www.picnic-net.com/

<広島公演>
広島JMSアステールプラザ 大ホール
2019年2月27日 (水)
【お問合せ】TSS事業部 082-253-1010(平日11:00-18:00)
キャンディープロモーション 082-249-8334(平日11:00-18:30)

<富山公演>
オーバード・ホール
2019年3月1日 (金) 
【お問合せ】(公財)富山市民文化事業団 076-445-5610(平日 8:30~17:15)
  • イープラス
  • 武田真治
  • 「黒猫ホテル」でアナタをたっぷりおもてなし! 東京ゲゲゲイ歌劇団vol. III『黒猫ホテル』稽古場レポート