ロン=ティボー国際で入賞の實川風さんに聞く
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自分のことばを語れるピアニストになりたい
先月、フランスで行われたロン=ティボー国際音楽コンクールで3位入賞(1位なし)を果たした實川風(じつかわ かおる)さんに今回のコンクールについて、また今後についての話を伺った。
實川さんは東京芸術大学附属高校、東京芸術大学を経て今春、東京芸術大学大学院修士課程を修了した。全日本学生音楽コンクールで優勝するなど小さい頃から優秀な成績を収め、日本音楽コンクール第3位、名古屋国際音楽コンクール第1位、サザンハイランド国際ピアノコンクール第2位(オーストラリア・キャンベラ)など国内外のコンクールで優勝、入賞を果たし若手ピアニストして注目されてきた。
そんな實川さんは今回のコンクールでの結果について「ヨーロッパの伝統ある国際コンクールで入賞できたことはとても嬉しいです。ただ、ファイナルのコンチェルトは本番よりリハーサルの方がいい演奏ができていたので、悔しいですね。結果が悔しいというよりも、自分の演奏に対して悔しいという気持ちがあります」と話してくれた。
コンクールは6日間で予選、セミファイナル、ファイナルのソロ、コンチェルトと4回のステージをこなすハードスケジュールだった。そのため、体力的にも精神的にも厳しい日々が続いたという。實川さんだけでなく出場者の多くが「このスケジュールはクレイジーだ!」と言っていたそうだ。
そんなクレイジーなスケジュールを乗り切るのにパワーをくれたのは現地のお客さんだったという。コンクールでの實川さんの演奏を聴いたお客さんが「素晴らしい演奏だった!あなたなら次に進める!次も頑張ってね!」と声をかけてくれたそうだ。演奏をするたびに声をかけてくれる人が増えていったことは嬉しかったとその時のことを振り返る。
實川さんのニュースが流れてから、ネット上ではイケメンピアニストとして盛り上がっていることについてどう思っているのか聞いてみると「反響の大きさに驚いています。また、今までクラシック音楽やピアノに興味がなかった人たちが注目してくれているのであれば嬉しいです。ただ、歳はとっていってしまいますし(笑)、音楽の魅力はそういう面とは別に年齢を重ねていくことで出てくるものもあります。これからも『また聴きたい』と思ってもらえるように、どの演奏会も最高の演奏ができるように頑張りたいです」と話してくれた。
これからどんな演奏家になっていきたいか尋ねてみたところ「自分のことばを語れるピアニストになりたい」と一言。今後も多くの演奏会が予定されている。『實川風のことば』に耳を傾けてみてはいかがだろうか。