HYDE 和歌山バースデーコンサートをKenがサプライズで祝福「僕の人生に悔いはない」

レポート
音楽
2019.1.31
左からHYDE、Ken。(撮影:岡田貴之)

左からHYDE、Ken。(撮影:岡田貴之)

HYDEのアコースティックコンサート「HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY」の和歌山・和歌山ビッグホエール公演が、1月29日と30日に開催された。この記事ではHYDEの地元で行われた2DAYSのうち、彼の誕生日当日、29日公演の模様をレポートする。

「HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY」はHYDEの誕生日を挟み、千葉と和歌山で5公演にわたって行われた。29日の開演時刻を迎えるとステージ上にはダブルカルテット、コーラス、ギター、ベース、ドラム、パーカッション、ピアノ、フルート、クラリネットの総勢17名からなるオーケストラメンバーが登場。続いてHYDEがステージに姿を現すと、客席からは誕生日を祝うかのように大きな拍手が沸き起こった。

荘厳な鐘の音が響く中、HYDEが1曲目に披露したのは2006年リリースのソロアルバム「FAITH」の収録曲「JESUS CHRIST」。HYDEは力強いストリングスに乗せて哀切な歌声で観客を圧倒していく。続く「A DROP OF COLOUR」を歌うと、HYDEは「ようこそ和歌山へ。ここで(コンサートを)やりたかったんです」と、故郷のアリーナ会場での公演が実現したことを喜んでみせた。そして今回の公演のセットリストについて「自分の音楽人生を振り返って歌いたい曲を選びました。延々と暗い曲が並びますけど(笑)、最後まで覚悟して」と話し、オーディエンスを笑わせた。

「この曲を和歌山でやるときが来るとは思わなかった」という次のナンバーは「EVERGREEN」。フルートやクラリネットの軽やかな音色が楽曲に新たな彩りを加え、HYDEも故郷への思いを馳せるように深みのある歌声を届けた。そしてささやくようなボーカルが印象的なイントロから目まぐるしい展開を見せた「SHALLOW SLEEP」、バンドマスターであるピアニスト・hicoがエモーショナルな間奏を奏でたglobe「DEPARTURES」のカバーと、この日ならではのアレンジが光る楽曲が続々と披露されていった。

HYDEはglobeのトリビュートアルバムで「DEPARTURES」をカバーしたことについて「平成が終わろうとしていますが、小室哲哉さんは平成を代表する作曲家だと思います。僕を選んでもらって光栄です」と振り返る。そして「海外で歌うとき、日本の美しさを感じてもらおうと思って作った」という2月6日リリースの新曲「ZIPANG」を熱唱。オリエンタルな空気を漂わせる最新ナンバーでファンを楽しませた。

その後はL'Arc-en-Cielの楽曲が連投された。美しいアカペラから始まった「叙情詩」、サックスを披露した「LORELEY」、解放感にあふれたサウンドとボーカルが響き渡った「In the Air」が終わると、HYDEは全国のライブビューイング中継の来場者に挨拶したあと「さて、今日は何の日でしょう?」と問いかける。ここでオーケストラが「Happy birthday to you」を演奏すると、オーディエンスは「HAPPY BIRTHDAY, HYDE!」と書かれた金色のカードを一斉に掲げた。入場時に配られたこのカードはHYDEへのサプライズとしてスタッフが用意したもの。HYDEはステージに運び込まれたバースデーケーキのろうそくの炎を吹き消すと「何それ! ここで出すように言われてたの? それまで隠すようにって(笑)。見事にやられました」と笑顔を浮かべた。

HYDEは今回のバースデーコンサートの意図を「自分へのご褒美と、皆さんへの感謝を込めてやらせてもらってます」と話し、「四半世紀音楽を作ってきて、少しはみんなの記憶に僕の曲が残ってるんだろうなと。僕にとってもいくつかありますが、残念ながらそういう曲は一生消えません(笑)。一生付いて回ると思うんでよろしくお願いします」と、自身の音楽とファンへの思いを明かした。そして穏やかなアコースティックアレンジの「flower」、YOSHIKIとのコラボ曲「Red Swan」を披露。「VAMPIRE'S LOVE」では赤いバラの花を手にして歌い、曲の世界観を自ら演出した。

後半でも、クラシックギターやフルートが印象深いフレーズの数々を奏で、オリジナルとまったく異なる雰囲気を生み出した「HONEY」、HYDEの妖艶な歌声が場内を満たした「X X X」、迫力あるティンパニやストリングスのサウンドで深みを感じさせた「forbidden lover」と、数々の名曲が「黒ミサ」でしか見られないアレンジで惜しみなく披露されていった。「永遠」ではHYDEが目を潤ませつつ、会場中を見渡しながら歌い上げる。「このコンサートにぴったりな歌詞だなと思って。この曲を聴くと育った景色とか友達とかを思い出します」というHYDEの述懐と共に、VAMPS「MEMORIES」へと突入。HYDEは歌詞の世界を地元に集まったファンにまっすぐな歌声で届けるが時折声を詰まらせ、曲が終わると感極まった様子でしばらく後ろを向いたままに。客席からは凄まじい音量の拍手が贈られた。

最後の曲に入る前、HYDEは故郷での凱旋公演が実現した思いを「ここでコンサートをやりたかった意味をずっと考えてたんだけど、『自分の人生は間違ってなかったな』と、それを確かめたかったんだと思います。たくさんの愛すべき人たちに支えられてこの日を迎えられました。皆さんに出会えたことが最高の誕生日プレゼントです」と語る。そしてラストナンバー「星空」をその思いを込めるように丁寧に歌い上げた。

オーディエンスからスタンディングオベーションが贈られる中、HYDEが最後の挨拶をしようとするとオーケストラがジャズ調にアレンジされた「Happy Birthday To You」を突然演奏し始めた。HYDEが驚く中、ステージ袖からはこの日のサプライズゲストとしてKen(L'Arc-en-Ciel)が登場。客席の大歓声を受けつつKenはHYDEにプレゼントを渡し「ここに日本中のHYDE好きが集まっていると聞きまして。僕もその1人なんで(笑)」と笑顔で挨拶し、HYDEへの気持ちを「HYDEに出会えてないと、男前でこんなに歌がうまい人じゃないと成り立たない曲がたくさんありました。ここまで来れてうれしいです」と明かした。HYDEは「めちゃめちゃうれしいです。ハグしていい?(笑)」とKenとハグを交わし、会場をさらに騒がせた。

そのままKenはステージ上でギターを手にしてオーケストラと共に演奏の準備に入るが、HYDEは「何やるんですか!?(笑)」と動揺。Kenは「言わないで始めていい?(笑)」と返し、「White Feathers」のイントロを奏で始めた。HYDEは息のあったKenやメンバーたちに笑顔を見せてすぐにボーカルを取り始めるが、大サビでステージ上や場内に白い羽根が降り注ぐと再び驚きの表情に。曲が終わり「いつ練習してたの?」と問うHYDEに、Kenは満面の笑みで「HYDEのためなら、うまいこといくのよ」と返していた。

Kenがステージを去ったあと、HYDEは改めてオーディエンスに挨拶。「驚かされっぱなしで……どうしたらいいんですかこれ(笑)」と照れ笑いを浮かべながらも「僕なんか、って言うとみんながかわいそうだけど(笑)。慕って、祝ってくれてすごい幸せ者だと思います。僕の人生に悔いはないし、みんなに会えてよかったです」と何度も感謝の思いを口にし、2時間半以上にわたる「黒ミサ」を締めくくった。

「黒ミサ」を終えたHYDEは2月6日にニューシングル「ZIPANG」をリリース。3月20日にはさらなるシングル「MAD QUALIA」も発売される。

HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY 2019年1月29日 和歌山ビッグホエール セットリスト

01. JESUS CHRIST
02. A DROP OF COLOUR
03. EVERGREEN
04. SHALLOW SLEEP
05. DEPARTURES
06. ZIPANG
07. 叙情詩
08. LORELEY
09. In the Air
10. flower
11. Red Swan
12. VAMPIRE'S LOVE
13. HONEY
14. X X X
15. forbidden lover
16. 永遠
17. MEMORIES
18. 星空
19. White Feathers w / Ken(L'Arc-en-Ciel)

音楽ナタリー
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