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マニュエル・ルグリ『スターズ・イン・ブルー』バレエ&ミュージック記者会見レポート

2019.3.7
レポート
クラシック
舞台

(C)羽鳥直志

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2019年3月8日(金)、9日(土)に東京芸術劇場コンサートホールで上演されるマニュエル・ルグリ『スターズ・イン・ブルー』バレエ&ミュージックの記者会見が、3月6日(水)東京芸術劇場にて行われた。

この公演は、バレエ界のレジェンドとも言える存在で、現在ウイーン国立バレエ団の芸術監督マニュエル・ルグリが、彼の信頼厚いプリンシパルクラスのダンサーたちを集め、気鋭の演奏家たちとコラボレートして贈るスペシャル・ガラとなる。出演ダンサーは、ボリショイバレエ プリンシパルのオルガ・スミルノワにセミョーン・チュージン。またハンブルク・バレエ団プリンシパルのシルヴィア・アッツォーニが、怪我で降板した木本全優(ウィーン国立バレエ団プリンシパル)に代わって急遽グループに加わった。演奏は世界的に活躍の場を広げているヴァイオリニストの三浦文彰とピアニストの田村響。またウイーン国立バレエ団の専属ピアニスト滝澤志野も今回特別に参加している。

(C)羽鳥直志

記者発表会では、本公演が世界初演となる新作『OCHIBA』を振付けたパトリック・ド・バナも加わって出演者全員が登壇。

■登壇者
マニュエル・ルグリ (ウィーン国立バレエ団 芸術監督)
オルガ・スミルノワ (ボリショイ・バレエ プリンシパル)
シルヴィア・アッツォーニ (ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
セミョーン・チュージン (ボリショイ・バレエ プリンシパル)
三浦文彰 (ヴァイオリン)
田村響 (ピアノ)
滝澤志野(ウィーン国立バレエ団 専属ピアニスト)
パトリック・ド・バナ(振付家)


まずはマニュエル・ルグリから本公演にかける熱い思いが語られた。「私が初めて日本で踊ってから今年で35年になります。この記念すべきアニバーサリーに、ダンスと音楽がこのように融合した新しいスタイルの舞台に関わることができるのは大きな喜びです。私のダンスだけでなく、素晴らしい技量を持つダンサー、輝ける才能に溢れたヴァイオリニスト、ピアニストを紹介できる特別な機会をいただけたことに、今はただ感謝の気持ちでいっぱいです」

マニュエル・ルグリ (C)羽鳥直志

今回新作の『OCHIBA』でオルガ・スミルノワと初めて踊ることについては、「まさかオルガと踊れるとは! 夢のような気分です。オルガと新作で踊るという提案をしてくれたパトリックにもこの場を借りて改めて感謝したいと思います」

マニュエル・ルグリ (C)羽鳥直志

ルグリとは気心知れた間柄でもあるというパトリック・ド・バナは、自身もベジャール・バレエ・ローザンヌなどでプリンシパルダンサーとして活躍した後に振付家に転じ、現在はヨーロッパからアジアまで世界各国のバレエ団に独創的な作品を提供している。「自分も日本が好きで、また来日することができて嬉しく思っています。今回の新作『OCHIBA』はタイトルから既に日本への思いが込められています。アレッサンドロ・バロッコの『絹』という小説がインスピレーションの元で、究極の絹を求めて旅するフランス人が旅路の果ての日本で一人の美しい女性に出会うという物語を舞踊化しました。まさに触れることもできないような夢のように純粋な存在、そんな女性像を踊ることができるのはピュアで神秘的なダンサー、オルガ・スミルノワをおいて他には考えられません。オルガに私がいかに惚れこんできたか。今ここで告白させてらいます(笑)。初めて作品をご覧になる日本の皆さんのご感想を是非お聞かせください」

パトリック・ド・バナ (C)羽鳥直志

ルグリやパトリックから憧れにも似た熱い思いを打ち明けられたオルガ・スミルノワは、「ルグリさんと共演するだけでも特別なことなのに、まして新作を踊るなんて本当に素晴らしい出来事で、大きなプレゼントをいただいたような思いです。ただルグリさんはウィーンにいて忙しい方ですし、私もモスクワなのでリハーサルの時間を取るのが本当に難しかったんです。そこで私から、それぞれ離れた場所で稽古をつけてもらい、最後に合体するというかたちを提案させていただきました。いわば二重奏というより、ソロをふたつ掛け合わせた作品といえるかもしれません。パトリックさんの振付は新しい芸術の領域に踏み込もうとするもので、シンプルで動きの少ないダンスのなかでどのようにお客様に感じてもらえるか、その難しさにちょっと緊張しています。それでもこうしたチャンスを与えてくれたパトリックさんに、私からは公の場で心からの感謝を申し上げたいと思っています」

オルガ・スミルノワ (C)羽鳥直志

いっぽうでハンブルク・バレエ団のプリンシパルとしてジョン・ノイマイヤーの信頼も厚く、多忙なスケジュールをやりくりして今回の参加となったシルヴィア・アッツオー二も、終始満面の笑みで今回の参加への喜びを隠せない様子だった。「この場所にいられて本当に幸せです。今回の素晴らしいダンサーたちに囲まれて一瞬一瞬が特別な学びの場のように感じています。それぞれ所属するバレエ団は違っても、ライバルというより友達という雰囲気で踊ることができるのも嬉しい。よく学び観察して自分のホームグラウンドに持ち帰りたいと思っています。ルグリさんはバレエ学校時代からの憧れの存在で、私にとっては別の惑星から来た人にも思えます(笑)。ラフマニノフの『ソナタ』を一緒に踊るセミョーン・チュージンも素晴らしいパートナーで、エネルギーをいただいている感じですね。そして共演する素晴らしい音楽家たち!ダンサーにとって音楽家、演奏家は常にオーケストラピットの中にいてなかなか顔が見えない存在なんです。今回、一緒に舞台に立つことで未知な領域に踏み込んで、類稀なる美しい関係を築けるのではないかと思っています」

シルヴィア・アッツォーニ (C)羽鳥直志

共演者それぞれの熱いメッセージが続き、セミョーン・チュージンにマイクが渡ると、もはや感極まった様子で、「僕も日本にはよく来てるんですよ。アーティストにとってこのプロジェクトに参加できたことは大きな名誉です。本当にハッピーで、これ以上は言いようがありません……ぜひ僕たちの踊りをみてください!」

セミョーン・チュージン (C)羽鳥直志

三浦文彰、田村響、そして滝澤志野ら演奏家たちも、普段とはスタイルが異なる挑戦にそれぞれの思いを語る。

「演奏している自分の目の前にダンサーがいる迫力。その臨場感を感じながらリハーサルしていますが、本当に間近に迫るダンサーたちの身体が美しく興奮してます。またオルガさんが踊るサン=サーンスの『瀕死の白鳥』は本来チェロで演奏するものですが、今回はヴィオラで演奏します。弾いてみるとこれが実に新鮮な響きで、自分でも本番が楽しみになってきました」(三浦)

三浦文彰 (C)羽鳥直志

「三浦さんはパガニーニなど難曲にも今回挑戦してますが、自分はショパンをしっとりとお聞かせできればと思っています。それぞれの持ち味で時に華やかに、時にしっとりとプログラムの中でバランスよく演奏ができればいいですね」(田村)

田村響 (C)羽鳥直志

「ルグリさんの『Moment』で演奏につかせていただいて2年になります。時は流れていきますが、作品はひとつの場所に止まっていないように感じています。常に新しい『Moment』が立ち上がる瞬間に立ち会っていますと、人を信じる心が芸術の源になることを改めて思うようになりました。そんな気持ちを大事に演奏していきたいですね」(滝澤)

滝澤志野  (C)羽鳥直志 

マニュエル・ルグリにとってもダンサー人生でも稀な機会となるであろう今回のプロジェクトについて、「志野の言うとおり、人生も振付も踊りも深化していくものです。今を生きるアーティストの手で成長していく芸術を見ていただきたいし、観客の皆さんに一緒に立ち会ってほしいと思います。普段オケピにいて顔が見えない音楽家たちとも、今回は一緒に舞台に立てる。このことは非常に貴重な経験となります。音楽の存在をより大きく感じることができる一方で、音楽とダンスが一層緊密に近づいて非常にデリケートで美しい関係を築けるのではないでしょうか。私たちにとってもかけがえのない経験となるこの『スターズ・イン・ブルー』を、是非劇場で皆さんと分かち合いたいと思っています」ルグリはじめダンサーたち、演奏家たちの挑戦、決意、感動、喜びがどう舞台で花開くか、期待が高まる会見となった。

マニュエル・ルグリ (C)羽鳥直志

公演は、東京公演に続いて3月11日(月)には大阪、3月14日(木)に宮崎、3月17日(日)に愛知と巡演する。

『ソナタ』ダンサー~(左から)シルヴィア・アッツォーニ 、セミョーン・チュージン  (C)羽鳥直志

『OCHIBA』メンバー~(左から)パトリック・ド・バナ、オルガ・スミルノワ、マニュエル・ルグリ、田村響  (C)羽鳥直志

公演情報

マニュエル・ルグリ「スターズ・イン・ブルー」バレエ&ミュージック
 
<東京公演>
■日程:2019年3月8日(金)19:00開演/9日(土)14:00開演
■会場:東京芸術劇場コンサートホール(東京公演)

 
<大阪公演>
■日程:2019年3月11日(月)19:00開演(18:15開場)
■会場:ザ・シンフォニーホール

 
<宮崎公演>
■日程:2019年3月14日(木)19:00開演
■会場:メディキット県民文化センター

 
<愛知公演>
■日程:2019年3月17日(日)15:00開演
■会場:愛知県芸術劇場コンサートホール

■出演:
ダンサー:マニュエル・ルグリ(ウィーン国立バレエ団 芸術監督)
オルガ・スミルノワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)
セミョーン・チュージン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
音楽家:三浦文彰(ヴァイオリン)
田村響(ピアノ)
滝澤志野(ピアノ/ウィーン国立バレエ団 専属ピアニスト)

 
■上演演目
<ダンス作品>
1.『OCHIBA~When leaves are falling~』(新作 世界初演)
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:フィリップ・グラス
出演:マニュエル・ルグリ オルガ・スミルノワ
田村響(ピアノ)

 
2.【変更前プログラム】
『鏡の中の鏡(仮題)』(世界初演)
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:アルヴォ・ペルト
出演:セミョーン・チュージン 木本全優
三浦文彰(ヴァイオリン) 田村響(ピアノ)
【変更後のプログラム】
『ソナタ』
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
出演:シルヴィア・アッツォーニ、セミョーン・チュージン
三浦文彰(ヴァイオリン) 田村響(ピアノ)

 
3.『Moment』
振付:ナタリア・ホレツナ
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ/フェルッチョ・ブゾーニ
出演:マニュエル・ルグリ 滝澤志野(ピアノ)

 
4.『タイスの瞑想曲』「マ・パヴロワ」より
振付:ローラン・プティ
音楽:ジュール・マスネ
出演:オルガ・スミルノワ セミョーン・チュージン
三浦文彰(ヴァイオリン) 田村響(ピアノ)

 
5.『瀕死の白鳥』
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:オルガ・スミルノワ
三浦文彰(ヴァイオリン) 田村響(ピアノ)

 
6.【変更前プログラム】
『白鳥の湖』より第1幕のヴァリエーション
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:木本全優
三浦文彰(ヴァイオリン) 田村響(ピアノ)
【変更後のプログラム】
『ノクターン・ソロ』「夜の歌」より
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン 「ノクターン第21番」
出演:シルヴィア・アッツォーニ
田村響(ピアノ)

 
<演奏曲>
ニコロ・パガニーニ「ネル・コル・ピウ変奏曲」
演奏:三浦文彰(ヴァイオリン)

 
モーリス・ラヴェル「ツィガーヌ」
演奏:三浦文彰(ヴァイオリン)、田村響(ピアノ)

 
フレデリック・ショパン「ノクターン第20番(遺作)」
演奏:田村響(ピアノ)

 
フレデリック・ショパン「華麗なる大円舞曲」
演奏:田村響(ピアノ)

 
*出演者・内容は2019年2月8日現在のものです。
*やむを得ない事情により、内容・出演者が変更になる場合があります。

 
■公式サイト http://danceconcert.jp/