ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団
2015.11.21
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クラシック
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ジョナサン・ノット ©K.Miura
知性派ノットの面目躍如たるプログラム
ノットと東響の蜜月ぶりはいろいろな人から伝わってくるし、実際にそれは演奏にも如実に表れている。「東響はいいシェフに恵まれた」とみんな思っているはずだ。そんな矢先、就任2シーズン目にして驚きのビッグニュースが飛び込んできた。ノットが東響の任期の10年延長(2026年まで)を早々と決めたというのである。
まだキャリア上昇の余地のあるノットのような指揮者にとって、これはなかなかの英断である。いよいよ油が乗ってくる10年を東響と共に過ごすというのは、それだけこのオーケストラに深く惚れ込み、音楽人生を賭けているという証だからである。高い評価を得てきたドイツ・バンベルク響との協業の軌跡を考えると、ワクワクしないではいられない。
さて、11月の東京オペラシティシリーズと新潟定期も、新しさと古さを組み合わせ、ひねりの利いた音楽の旅へと仕立てた、知性派ノットらしいプログラミングだ。メインは親しみやすく、どこか懐かしいメロディーが満載のドヴォルザークの交響曲第8番。バルトークは音楽の民族的要素をモダンな感性と結びつけたが、「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」でも、そうした精神は十分に発揮されている。そして冒頭にはフェルドマン「ヴィオラ・イン・マイ・ライフⅡ」が置かれた。同じ音型が延々と反復されることで有名な作曲家だが、この作品はアルカイックなたたずまいを持ち、珍しくメロディらしきものも登場する。フェルドマン入門にぴったりだ。ハンガリーとチェコ、東欧の民族性を掘り起こしながら、現代と巧みに架橋させるシェフの腕前を堪能したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
まだキャリア上昇の余地のあるノットのような指揮者にとって、これはなかなかの英断である。いよいよ油が乗ってくる10年を東響と共に過ごすというのは、それだけこのオーケストラに深く惚れ込み、音楽人生を賭けているという証だからである。高い評価を得てきたドイツ・バンベルク響との協業の軌跡を考えると、ワクワクしないではいられない。
さて、11月の東京オペラシティシリーズと新潟定期も、新しさと古さを組み合わせ、ひねりの利いた音楽の旅へと仕立てた、知性派ノットらしいプログラミングだ。メインは親しみやすく、どこか懐かしいメロディーが満載のドヴォルザークの交響曲第8番。バルトークは音楽の民族的要素をモダンな感性と結びつけたが、「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」でも、そうした精神は十分に発揮されている。そして冒頭にはフェルドマン「ヴィオラ・イン・マイ・ライフⅡ」が置かれた。同じ音型が延々と反復されることで有名な作曲家だが、この作品はアルカイックなたたずまいを持ち、珍しくメロディらしきものも登場する。フェルドマン入門にぴったりだ。ハンガリーとチェコ、東欧の民族性を掘り起こしながら、現代と巧みに架橋させるシェフの腕前を堪能したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
東京交響楽団 第89回 東京オペラシティシリーズ
11/28(土)14:00
東京オペラシティ コンサートホール
問:TOKYO SYMPHONY
東京交響楽団 第93回 新潟定期演奏会
11/29(日)17:00
新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ
問:りゅーとぴあ