RADWIMPS×ゲスの極み乙女。の"胎盤"で絵音の「トレモロ」や野田の「ロマンスがありあまる」も飛び出した
RADWIMPS 撮影=植本一子
北の大地でRADWIMPSとゲスの極み乙女。が共演。お互いの曲も披露し、リスペクトと愛に溢れた『胎盤』ツアー第5夜の模様が到着した。
対バンツアーはやはり特別だ。
オーディエンスとRADWIMPS、そこに対バンアーティストとそのファンが加わり、その日の空間を作り上げる。ゲストアーティストによって、会場の空気、バンドのテンションが全然別物であるのが面白い。「熱量」と言ってもその質は全く違うもので、ライブが生き物であることを改めて実感させられる。この夜の対バンライブは同世代のミュージシャン同士のリスペクトと愛に溢れ、オーディエンスは終始踊り続け、会場はものすごい熱気に包まれた。
外は気温5℃。一足早く冬を迎えた札幌にて、ゲスの極み乙女。を迎えた第五夜。
ゲスの極み乙女。 撮影=植本一子
ゲスの極み乙女。の「キラーボール」で幕を開けるや否や、「待っていました!」と言わんばかりに躍り狂うオーディエンス。ほな・いこかのタイトでパワフルなドラム、休日課長の歌うベース、ちゃんMARIの熱く叙情的なピアノに川谷絵音のグルーヴィな歌。極めてセッション性の高い、ソリッドなアンサンブルが降り注ぐ。
「コポゥ」とおなじみの挨拶で、オーディエンスとコール&レスポンスをし、さらに会場を温めたちゃんMARI。休日課長に絶妙な切り込みでツッコミを入れる川谷、コミカルでシニカルなMCに客席からドッと笑いが起こる。ストイックで熱量が高い演奏から一転、親しみやすいキャラクターのギャップ感も、彼らのライブの魅力の一つであることが伺われる。
RADWIMPSは高校時代から聴いていたけれど、実は野田と3歳しか違わないという川谷絵音。大学時代もバンドや弾き語ったりしていたと話し「トレモロ」の一節を歌うと、すかさずオーディエンスの大合唱が加わる。ライブ中盤、今度はバンドで「ふたりごと」をカヴァーし、ファンを喜ばせた。
ゲスの極み乙女。 撮影=植本一子
灼熱のバトンを受け継いだRADWIMPS、Zepp Sapporoでのライブは2011年4月に「絶体延命ツアー」で訪れて以来となる。
既にかなりの熱気を帯びたオーディエンスを更に煽るべく、アグレッシブなステージが繰り広げられる。日々そのグルーブが強靭さを増していくサポートドラムの森瑞希と刃田綴色に、フロント3人がステージの最前にグッと出てくる姿は圧巻である。それに応える割れんばかりのオーディエンスの歓声。きっとこの日を、日々の生きる糧に、楽しみにしていたであろう気持ちが会場に溢れ、彼らの演奏と共鳴する。今日は一層、オーディエンスの歓声の粒子が細かく、密度が濃い。
「トレモロ」を弾き語った川谷に呼応するように、さっき練習した、と「ロマンスがありあまる」を弾き語る野田。オーディエンスの喜ぶ声が反響する。
RADWIMPS 撮影=植本一子
「年齢がそんなに変わらないのに、9年前の曲がその人の中に残ってくれていて。そして今、ミュージシャンとなって新たな音楽を生み出しているという事実。これは10年続けて初めて味わうもので、途轍もない感動(野田)」という感謝の言葉と共に演奏された「ふたりごと」。今をときめくバンドによるカヴァーと、オリジナルを同日に生で聴けてしまう豪華さは、この夜のハイライトであった。
アンコールでは「やっぱり来てもらったからには一緒に歌いたい(野田)」と、川谷とちゃんMARIを呼び込む。川谷が「ずっと聴いていたのだけれど、不安で一人、さっきカラオケに行って練習してきた」という「最大公約数」のセッションに、歓喜の声が上がる。
「贅沢疲れしてんな?欲しがらないとやらないよ!」と野田の言葉に、オーディエンスからは「欲しい!!」の大合唱。「これ歌ってたって小耳に挟んだから、本家本元を(野田)」と歌い始めたのは「トレモロ」。狂喜乱舞するオーディエンスと今日一番の大合唱で熱狂の第五夜を締め括った。
次はちょうど中日となるZepp Nagoya公演。この夏、野田が楽曲提供をし、公私共に交流の深い先輩であるハナレグミを迎える。
撮影=植本一子
RADWIMPS 撮影=植本一子