ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」舞台最速レポート!

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2015.11.14
演劇「ハイキュー!!」 撮影ー坂井美碧織

演劇「ハイキュー!!」 撮影ー坂井美碧織

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想像を絶する熱量とクオリティ

いよいよ11月14日に初日を迎えた、話題のハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。
当日昼から行われたゲネプロの最速レポートを劇場の興奮そのままにお送りする!

春一原作、コミックス累計発行部数1800万部突破。集英社「週刊少年ジャンプ」連載中の人気マンガ『ハイキュー!!』。高校バレーの世界を熱く描いたこの作品はまさに「友情、努力、勝利」を瑞々しく描いた傑作だが、その舞台化ということで期待値は発表時からうなぎのぼりだった。

ハイパープロジェクション演劇と銘打ち、最新映像技術とアナログ手法である「演劇」を融合させるという今回の作品、脚本には今日本演劇界で最も注目すべき人物である、「柿喰う客」主宰の中屋敷法仁。演出に音楽、映像と役者の融合に関しては業界随一のウォーリー木下を迎え、主演の日向翔陽役には子役から本格俳優へ成長を続ける須賀健太とまさに磐石の布陣である。

期待値が高い分、若干の不安も感じていたのは事実である。しかし幕が開くとその不安は消え去るどころか、本当に新次元の演劇を目のあたりにすることになった。

舞台は須賀演ずる翔陽が烏野高校の試合を見ているところから始まる。「小さな巨人」と言われた選手に憧れ、背が低いながらも持ち前の反射神経と運動力、そして情熱でバレーボールに打ち込む翔陽。対するようにセンスに溢れるが人に合わせることが出来ず、王様と揶揄される木村達成演ずる影山飛雄。中学の時対戦したライバルである二人が同じ烏野高校に入学したことから動き出すストーリーは、原作に忠実でありながらその演出は想像を遥かに超えていた。
 

日向と影山の関係性も見どころの一つ 撮影ー坂井美碧織

日向と影山の関係性も見どころの一つ 撮影ー坂井美碧織

舞台背面と足元に映しだされるプロジェクションマッピングの映像、原作のイラストや、演者の動きとシンクロするように映しだされる役者本人の動画、坂になっている舞台面がドラスティックに動く部分も衝撃であったが、そこで行われる「芝居」は非常にアナログ。

沢山の演者が白いフードを被り、ある時は学生、ある時は影で対戦相手を表現する。須賀を担ぎ上げ高くジャンプするスパイクを見せたかと思うと、セットを転換して舞台を坂ノ下商店に変える、まさにこれは小劇場演劇の手法なのだ。

最新技術であるプロジェクションマッピングや舞台装置と人の発想と力で行われる演劇的アプローチ、それが完全に一致していた。それ故観客は演劇の凄さ、最新技術の凄さをともに体感できるのである。
 

プロジェクションマッピングと漫画、そして演劇の融合 撮影ー坂井美碧織

プロジェクションマッピングと漫画、そして演劇の融合 撮影ー坂井美碧織

その技術と演出以上に素晴らしいのは若き演者たちである。
読み切りの時から『ハイキュー!!』が好きで、オーディションに受かった時はほんとうに嬉しかったと語った須賀健太を中心に、全ての演者が信じられないくらい動き、飛び、躍動している。バレー対決のシーンもただ向き合うだけではなく、時に入り乱れ、群舞のように混ざり合い、見ているものを圧倒しつつ引き込んでいく。

何よりもどの演者もジャンプが高いのである。本当に「頂の景色」を掴みに行くように見える彼らの熱演こそが演劇「ハイキュー!!」を傑作たらしめているのではないかと思う。

ライバルである青葉城西高校との激闘は今作のハイライトの一つ。囲み会見で「戯曲では決着は決まってるけど、どちらも負ける気無いですからね、みんな」と演出のウォーリー木下が語ったように、舞台というコート上にいる誰もが勝利を目指しているその熱さは見るものを感動させる。
その中でも青葉城西キャプテン、遊馬晃祐演ずる及川 徹の爽やかな演技とバレー経験者ならではのしなやかな動きが目を引きつけた。

橋本祥平演ずる西谷 夕と冨森ジャスティン演ずる東峰 旭の苦悩と帰還。日向と影山のバレーを通じて生まれる仲間としての信頼など、全ての演者にきっちりと見せ場を与えつつ、原作のリスペクトを忘れない完成された中屋敷の脚本も冴えに冴え渡っている。

取材会見で須賀が語った「素晴らしい最新技術は頼もしい味方であり、一番のライバル、一緒に作品を作っているからこそ負けたくないって気持ちは各セクションのスタッフさんに思っています」という言葉がこの作品の素晴らしさの根底にあるのではないか。作品のキャッチコピーである、「独りじゃないから、信じて飛べ。」演者の熱、制作陣の熱、それぞれがその熱を感じながら切磋琢磨した思いを表している言葉に思えた。
 

演劇の力と最新技術が融合、日向が飛ぶ! 撮影ー坂井美碧織

演劇の力と最新技術が融合、日向が飛ぶ! 撮影ー坂井美碧織

「演劇ファンの人にも、2.5次元舞台の架け橋になれたらと思っています」と語った須賀の言葉の通り、アニメ原作舞台に偏見を持っている人にこそ見て欲しい演劇「ハイキュー!!」

ゲネプロ終了時の関係者各位の「これはヤバい…凄い…!」というざわめきは本物である!

左から影山飛雄役木村達成、日向翔陽役須賀健太、及川 徹役遊馬晃祐、岩泉 一役平田雄也 撮影ー坂井美碧織

左から影山飛雄役木村達成、日向翔陽役須賀健太、及川 徹役遊馬晃祐、岩泉 一役平田雄也 撮影ー坂井美碧織



©古春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会

公演情報
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」

<公演日程・会場>
東京:2015年11月14日(土)~23日(月・祝) AiiA 2.5 Theater Tokyo
大阪:2015年11月27日(金)~29日(日) シアターBRAVA!
宮城:2015年12月5日(土)~6日(日) 多賀城市民会館 大ホール
東京凱旋:2015年12月10日(木)~13日(日) AiiA 2.5 Theater Tokyo

<スタッフ・キャスト>
原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
演出:ウォーリー木下(ウォーリーキノシタ)
脚本:中屋敷法仁(ナカヤシキノリヒト)

出演:
■烏野高校
須賀健太/木村達成/
小坂涼太郎 三浦海里 塩田康平 橋本祥平
川原一馬 田中啓太 猪野広樹 冨森ジャスティン/
■青葉城西高校
遊馬晃祐 平田雄也 坂本康太 有澤樟太郎
和田雅成 齋藤健心 金井成大 畠山 遼/
■烏野高校 OB
山口賢人 坂口慎之介/
■烏野高校 顧問・コーチ

内田 滋 林 剛史

 

 

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