シークレットゲストは世良公則、 都会の真ん中で大人のための音楽祭『靭公園MUSIC FESTA FM COCOLO~風のハミング』をレポ―ト
『靭公園MUSIC FESTA FM COCOLO~風のハミング』2019.04.27(sat)靭公園センターコート特設会場
4月27日(土)、靭公園センターコート特設会場にて、FM COCOLO主催の野外ライブ『靭公園MUSIC FESTA FM COCOLO~風のハミング』が開催された。同イベントは、FM COCOLOの『KANと要のWabi-Sabiナイト』でDJを務めるKANと根本要(スターダスト☆レビュー)、『オーディナリー・ナイト』を担当する馬場俊英が中心となり行う恒例のライブイベント。豪華なゲストも話題のひとつで、ここでしか観ることができない夢のコラボが楽しめるとあって、毎回が即完するほどの人気公演。幸運にもをGETした6000人が約5時間のライブを堪能した。
8回目にて初の春開催となったが、春らしからぬ冷たい風が吹きつけたこの日。雨予報はないものの、思わぬ寒さに観客は身を固くする。開演前のオープニングアクトには、シンガーソングライターの須澤紀信が登場し、アコースティックギターの力強い音色と爽やかな歌声を響かせて会場をあたためてくれた。
いつもはテニスの試合などが行われる靭公園センターコートに設置された円形ステージは、360度客席がぐるりと囲む。そこに出演者が登場すると拍手喝采が巻き起こり、スターダスト☆レビュー・柿沼(b)の開催宣言とともにイベントがスタート!1曲目は盛り上がり必至の「ヤングマンY.M.C.A.」だ。そして、W.A.d.A.コールによって迎えられたのは、今回のスペシャルメンバー・和田唱(TRICERATOPS)。お馴染みの振り付けで盛り上がり、「カナメカンレキー!」(根本)とツカミもばっちり決まったところで大爆笑が。スターダスト☆レビューの「夢伝説」に続き、KANが「このシチュエーションに一番合わない曲」とハンドマイクで「エンドレス」を歌うなど、それぞれの持ち曲をまずは皆で演奏。人力で動くステージが回転した馬場俊英の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」では、会場のあちこちで「ボーイズ・オン・ザ・ラン タオル」が掲げられた。
一部後半は、KANオンステージ!「キリギリス」をピアノの弾き語りで披露し、KANらしい世界観にぐいぐい弾き込む。次は、「僕の大好きな曲です」という和田唱のヴォーカルで「プロポーズ」をコラボ。KAN曰く「全部歌ってもらう丸投げコラボ」とのこと。風は冷たいが、KANのロマンチックなラブソングと和田唱の甘い歌声は好相性で心があたたまる。「自分の曲を人に歌ってもらうといい曲だなと思う」とKANもご満悦の表情だ。そして、KANの要望で、“時間差深呼吸”という名のウェーブをゆるーく実施したあとは、「よければ一緒に」で馬場も加わり大合唱に。会場はピースフルな空気で満たされた。1部のラストはこのイベントのテーマソング「靭のハミング」。みんなのハミングがこの曲のサビということで、ハミングの練習をしていると、曇り空から太陽が顔を出してくれた。太陽のありがたみを感じ、笑顔の中、6000人による息ピッタリの美しいハミングが空に響き渡った。
このイベント、お客さん&出演者の平均年齢が高い、野外の長丁場ということもあり、3部構成で2回の15分休憩が設けられているのがうれしい。思い思いに休憩をとったあと、2部は馬場のソロステージから。「今年は雨が降らずに最後までできるかな?」と語ったのもつかの間、「ロードショーのあのメロディ」後半、大粒の雨が!あわててステージにパラソルを準備するスタッフ、雨具を取り出す観客。しかし、続いてのKANとのコラボ曲を演奏するころには通り雨はすっかり止んで快晴となっていた。「1曲だけ用意した弾き語りの時に降ってしまいました…」という見事な雨男ぶりを発揮した馬場に会場からは笑いとどよめきが。馬場パートラストは、根本とのコラボ曲「同じものを見ていた」を。和田もギタリストとして参加し、3人で向い合いブルージーなギターサウンドで迫力のアルペジオを聴かせた。ユーモアたっぷりのMCと素晴らしい演奏のギャップもこのイベントならでは。
スターダスト☆レビュー、KAN、馬場、和田のコラボによる洋楽ロックメドレーでは、和田唱がハンドマイクでクールに決めた「MICHAEL JACKSON/BAD」、根本とKANがフレディさながらに熱唱した「Queen/We Are The Champions」などそれぞれがリードヴォーカルをとりながら楽しませた。2部のラストは和田唱をフィーチャー!作詞・作曲はもちろん、すべての楽器を一人で演奏した最新ソロアルバム『地球 東京 僕の部屋』から「1975」をフルメンバーの贅沢なバンドサウンドで届け、一人きりでステージに立って披露した「シラフの月」ではジャジーなサウンドとせつない歌詞で観客をひきこむ。ソロアルバムではピアノ弾き語りに挑戦したという「Home」ではKANに演奏を託し歌い上げた。彼自身も音楽を心から楽しんでいるのが伝わるステージ。最後は全員が登場し、ハンドクラップの中、ポップ&ロックなTRICERATOPSのナンバー「Shout!」で締めくくった。
3部は総合司会(!?)の馬場が必死に進行するも、自由すぎるKANと根本のトークに振り回され、爆笑が巻き起こる中、やっとはじまったのは、邦楽ロックメドレー!しかし1曲目の「世良公則&ツイスト/あんたのバラード」のイントロから「歌うのは俺じゃない」とヴォーカルの譲り合いがはじまり、なかなか曲にはいらないノリに(笑)。これはもしや!と会場をさんざんザワつかせたものの、そのまま「キャロル/ファンキー・モンキー・ベイビー」「RCサクセション/雨あがりの夜空に」「沢田研二/勝手にしやがれ」など濃厚なナンバーを集めた6曲のロックメドレーを完走!
そして、「やりたい曲はこれじゃない!」という馬場の煽りで鳴らされた次曲のイントロとともに登場したのは、今回のシークレットゲスト、世良公則!颯爽と登場した世良に割れんばかりの歓声が起こり、会場は総立ちに。名曲「銃爪」をフルメンバーで演奏し、世良の大迫力のシャウトがお見舞いされると、会場は熱狂に包まれた。続いて「KANさんもアコギに持ち替えたことだし、ロックンロールでもやりますか」と披露されたのは世良の「宿無し」。根本、KAN、和田、馬場がアコギを抱え、アイコンタクトを交えながら5人で演奏するという貴重なコラボに酔いしれる。続いて「(ここに集まった)6000人に絆が生まれたのでこの曲を」と最新アルバム『Howling Wolves』の中から「同胞たちの讃歌」をアコギ1本で。ダイナミズム溢れる表現力、圧倒的な存在感にその場にいた誰もが息をのむ。別格の歌声を靭公園~大阪の空に響かせた。
すっかり雲もはれ、夕刻となったところで後半戦に突入。スターダスト☆レビューパートでは、最新作から「還暦少年」「You’re My Love」を安定の演奏力で披露した。根本ののびやかなハイトーンヴォーカルが印象的な「今夜だけきっと」では、和田がコーラスで参加。爽やかな初夏を思わせるハーモニーに誰もがうっとり。そして「TRICERATOPS/Raspberry」「KAN/愛は勝つ」「馬場俊英/最後まで」それぞれのヒット曲パートへ。最後はスカジャンで決めた世良が登場し、「燃えろいい女」でこれでもかと盛り上げる。本編終了後、そのままアンコールとなり「愛の歌」、再び「靭のハミング」で大合唱!クライマックスの一体感が会場を包んだ。
最後は「お客さんが無事に家に帰れますように」と客出しSEを出演者自ら楽器を置き、ハミングするお馴染みの「家路のハミング」がすっかり暗くなった会場に響く光景はなんともシュール! 最後までブレない“楽しませたい”という出演者全員の想い、天気まで演出となり笑いと感動を生み出す奇跡は、ここでしか味わえない。平成最後の“風ハミ”は大成功で幕を閉じた。
このライブの模様の一部と楽屋トークを交えたスペシャル番組を、下記日時にFM COCOLOで放送される。
取材・文=岡田あさみ 撮影=田浦ボン、渡邉一生(FM802オフィシャル提供)