三浦文彰(ヴァイオリン)

三浦文彰(ヴァイオリン)

三浦文彰(ヴァイオリン)

チャイコフスキーとメンデルスゾーン、2大協奏曲の魅力をたっぷりと

 2009年に難関コンクールのひとつであるハノーファー国際コンクールを、史上最年少の16歳で制覇したヴァイオリニストの三浦文彰。その後はヨーロッパのみならず、日本でも著名オーケストラとの共演を重ねるなど充実した活動を展開してきた。そして今秋、エイベックス・クラシックスよりファン待望の協奏曲の録音をリリース。プログラムはチャイコフスキーとメンデルスゾーンという2大名曲で、共演はハンヌ・リントゥ指揮のベルリン・ドイツ交響楽団だ。
「ハノーファー国際コンクールのファイナルで演奏したのが、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でした。そのため、コンクールの後も演奏を求められることが多く、かなり弾き込んできた作品ですね。協奏曲を録音するにあたっては、まずチャイコフスキーというのが自然だったと思います。カップリングは、妙にひねらずに、歴史的な名作であるメンデルスゾーンを選びました」

 この2作品の録音は数多く存在するが、ハイフェッツ、スターン、そしてミルシテインらの巨匠の演奏が好きだと語る三浦。それを真似する訳ではないが、より古風なスタイルを求めて演奏することもあると語る。
「メンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は歴史的な傑作ですが、かなり対照的な部分を持った協奏曲だと言えるでしょう。メンデルスゾーンの場合は、徹底して上品、気品溢れる作品であると思いますし、チャイコフスキーの場合は、どこからもロシアの大地の匂いが立ちのぼってくるように感じます。チャイコフスキーの協奏曲が、初演時にそのロシア的な部分があまり受け入れられずに酷評されたとは、今では想像もつきませんよね。また初演予定の名手アウアーに断られ、アウアーの弟子たちが取り上げるようになってから、アウアー自身も演奏するなど、理解されるまでに時間のかかった協奏曲だと思います」

 今回の録音では、リントゥ指揮ベルリン・ドイツ響がどっしりとした演奏で、チャイコフスキーでもメンデルスゾーンでもソロ・ヴァイオリンをしっかりと支えているのが印象的であった。
「リントゥさんはベルリン・ドイツ響と何度か共演したことがあり、オーケストラのことを非常によく理解していて、ダイナミックな音楽を創り出してくれました。それも今回の録音の聴きどころの一つですね」

 すでにチケットは全公演完売となっているが、このチャイコフスキーとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏する大規模なツアーも行われる。それは『究極の協奏曲コンサート』と名付けられたツアーで、ピアノの辻井伸行、ヴァイオリンの三浦文彰、そしてクリストファー・ウォーレン=グリーン指揮の読売日本交響楽団が16年2月に全国8ヵ所のコンサートホールをまわるというものだ。辻井はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番または第3番を、三浦はメンデルスゾーンまたはチャイコフスキーの協奏曲を演奏する(プログラムは公演により異なる)。
「これまでにこういう形の協奏曲のツアーがあったかどうかは分かりませんが、ピアノ音楽ファンにもヴァイオリン音楽ファンにも、どちらにも喜んでもらえるような名曲によるコンサート・ツアーとなりますね。約2週間で関東、関西、中部、九州を回るというスケジュールですが、ひとつのコンサートでピアノとヴァイオリン、それぞれの名作協奏曲を味わえるというのは、画期的な試みだと思います。しかも同じ指揮者とオーケストラで日本各地を訪ねるというのは、自分でも経験したことがないですね」

 各地での演奏会の時には、地元の美味しいものを食べてリフレッシュするなど、自分なりの気分転換の方法を持っているという。

 また三浦は、16年1月には東京・名古屋・大阪で開催される『月夜に煌めくエトワール』というバレエ公演にも参加する。これはパリ・オペラ座バレエのエトワール、エルヴェ・モローらが踊り、三浦も舞台上でヴァイオリンを演奏するという興味深い公演だ。

 5月には、ピアニストの田村響とのリサイタル・ツアーも予定されており、これからの日本の音楽界を担う若手に、今後さらなる注目が集まることは間違いないだろう。

取材・文:片桐卓也 写真:藤本史昭
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)

辻井伸行 × 三浦文彰『究極の協奏曲コンサート』
出演:辻井伸行(ピアノ) 三浦文彰(ヴァイオリン)
クリストファー・ウォーレン=グリーン(指揮) 読売日本交響楽団
2016.2/16(火) 市川市文化会館 2/17(水) 愛知県芸術劇場コンサートホール
2/18(木)、2/19(金) フェスティバルホール 2/21(日) 岡山シンフォニーホール
2/22(月) 福岡シンフォニーホール
2/24(水)、2/25(木) Bunkamuraオーチャードホール
2/27(土) よこすか芸術劇場 2/28(日) 栃木県総合文化センター
※全公演完売

三浦文彰 ヴァイオリン・リサイタル
共演/田村 響(ピアノ)
2016.5/20(金)〜5/31(火)(全6公演) 上田、福岡、大阪、札幌、名古屋、東京
※詳細は2016年1月以降に下記ウェブサイトに掲載予定。
http://avex.jp/classics

『月夜に煌めくエトワール』
2016.1/10(日)、1/11(月・祝) Bunkamuraオーチャードホール
1/13(水) 愛知県芸術劇場コンサートホール 1/14(木) フェスティバルホール
※詳細は各ホールのウェブサイトでご確認ください。


チャイコフスキー&メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
エイベックス・クラシックス
AVCL-25878 ¥3000+税

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