演出・出演の市川猿之助が語る、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』の見どころとは?

インタビュー
舞台
2019.7.31
市川猿之助

市川猿之助

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平成3年に上演されたスーパー歌舞伎屈指の人気作『オグリ』。スーパー歌舞伎Ⅱを生み出し大きな話題を呼んだ市川猿之助と、脚本・横内謙介、演出・杉原邦生がタッグを組み、脚本と演出を一新した『新版 オグリ』が2019年10月~11月まで新橋演舞場にて上演される。本作の演出と、小栗判官役を中村隼人と交互に演じる市川猿之助に語ってもらった。

ーー数あるスーパー歌舞伎の人気作の中で、なぜ『オグリ』を再演しようと思ったのですか?

上演から時間が経っているという事と、物語がしっかりしているので、どうにでもいじることができるという事で選びました。横内さん(横内謙介)がよく言ってるのは、梅原先生(梅原猛)の原作のすごいところは、どこを切り取っても崩れないところ。前作のスーパー歌舞伎​Ⅱ『ワンピース』もそうですが、お話がしっかりしている作品はどこを切り取っても成立する。残念な事に梅原先生はお亡くなりになってしまいましたが、ご存命の内に再演の許可を頂いたので追悼の意味も込めて上演します。

ーー中村隼人さんとの交互出演ですが、Wキャストの魅力は何ですか?

演じる人によって芝居のテイストも変わってきますし、同じ演出と言っても扮装も変えます。彼が小栗判官を演じるときは、私は物語におけるキーパーソンである遊行上人という役で出るので、面白い絡みができるのではないかと思います。役者の上でも人生でも先輩ですし、役柄でもそういう役なので物語と実人生の年齢軸が重なるのも魅力だと思います。私が小栗判官の時は、隼人くんが演じる遊行上人も小栗判官と同じように共に悩みがあるという設定にしようと思っています。共感しつつ並んで歩くみたいな。演じる人によっても解釈がどんどん違ってくるのも面白いところですね。もちろん若手を育てるという意味もありますし、私がラクしたいっていうのもあります(笑)それに何が起こるか分からないので、そういう不測の事態も考えたり、いろんな意味を込めて交互出演というのは必要だと思いました。

市川猿之助

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ーー改めてどんな物語なのか教えてください。

梅原先生の原作のテーマが“ロマンの病”で、小栗判官は自分の理想を追求するために命を懸けている。周りの人々がそれで辛い思いをしていてもどうでもいいと思っているんです。けれど、人生には艱難辛苦(かんなんしんく)があって、実は周りも幸せにならなくては真の意味で幸せじゃないっていう事に気づいていく、言わば青年期から大人への成長物語なのです。当時は次々に女性を愛する事がロマンという事になっているけど、今の時代、それがロマンに結びつかなくなってるよねっていうのは横内さんとも話していて……。ですので、そういう部分は現代に置き換えます。「新版」という事なので今回は脚本を変更しようと思っています。

ーー演出も一新するという事ですが、新たな見どころは?

今までは鬼鹿毛(おにかげ・小栗判官に登場する人喰い馬)の場面が説教節と同じく見どころだったのですが、そことは違うところを見どころとして伸ばそうかなと。今回は地獄の場面がスペクタクルになると思います。地獄で大暴れして血の池地獄で立廻りをやろう、と話しています。血の池でびしょ濡れになるんです。杉原(杉原邦生)がしゃれた演出を考えるんですよ。『ワンピース』でも演出助手で入ってくれていて、演出家を育てると言う意味でも抜擢なんです。今回は彼の中では、最初は白黒の世界から終幕につれてどんどん色がついていくっていうイメージらしいですね。最後は色が差してくる。彼は、地獄の場面は真っ白な世界にしたいって言っています。地獄というと普通赤とか金とかですが、真っ白で閻魔様も白。だけど白になると、二ヶ月とか三ヶ月公演を行うと汚れが目立ってしまう、という現場の意見も出てくるので、相談しながら決めていきます。あと、スーパー歌舞伎の『オグリ』は本格的な宙乗りが唯一なかったんですが、今回は宙乗りもあります。

市川猿之助

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ーー『ワンピース』の時はタンバリンを使った客席もみんなで楽しめる仕掛けがありましたが、今回もなにか考えていますか?

仕掛けは色々と考えています。『オグリ』の最後は、遊行上人が念仏踊りをするんです。歓喜、つまり喜びがそのまま踊りになっていますが、最後は劇場全体が喜びの渦に巻かれればいいなと思っています。本当はお客様も一緒になって踊っていただきたいけど(笑)

ーー市川猿翁さんは公演について何かおっしゃっていますか?

「楽しみにしてる」って言われました。伯父は演出がよく出来た作品だと『オグリ』が一番気に入っています。初演は舞台上が全部鏡張りでしたが、伯父は本来、全部映像を使ってやりたかったらしくて……。平成3年当時で全部映像にすると莫大な費用がかかるからやめましたが、今はLEDでそれができるようになった。伯父のやりたかったことが30年経ってやっとできるなと思っています。

ーー最後に意気込みをお願いします。

テーマは歓喜です。劇場を出るときに皆様が喜んで、歓喜の涙を流すくらいの、幸せになるような芝居を創りたいですね。ビジュアルはこれからなので、楽しみに待っていてください。

市川猿之助

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ますます期待の高まるスーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』。新たに博多座と南座での上演が決定している。

取材・文=一ノ瀬ふみか 撮影=山本 れお

公演情報

スーパー歌舞伎II(セカンド)
『新版 オグリ』
日程:2019年10月6日(日)~11月25日(月)
会場:新橋演舞場
 
原作:梅原 猛 
脚本:横内謙介 
演出:市川猿之助 
演出:杉原邦生 
スーパーバイザー:市川猿翁 
 
出演:
藤原正清後に小栗判官 市川 猿之助(交互出演)
藤原正清後に小栗判官 中村 隼人(交互出演)

チケット料金:1等席 16,500円 2等A席 9,500円 2等B席 6,500円 3階A席 6,500円 3階B席 3,000円 桟敷席 17,500円
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