「鼓童」の浅草特別公演『粋』が千穐楽 ”平成中村座”以来7年ぶりに浅草の舞台に神輿が登場
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
2019年6月27日(木)より浅草公会堂にて、太鼓芸能集団 鼓童による浅草特別公演『粋』が上演され、6月30日(日)に千穐楽を迎えた。千穐楽のアンコールでは三社祭で使用される神輿がサプライズで登場。この神輿が浅草の舞台に登場するのは、2012年5月の“平成中村座”以来、7年振りとなった。
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
鼓童は、佐渡を拠点に、太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる太鼓芸能集団。1981年にベルリン芸術祭にてデビューし、以来、50の国と地域で6,000回の公演を行ってきた。中でも、多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」をテーマとした『ワン・アース・ツアー』は世界各地で3,900回公演。また、劇場公演のほか、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」や、異なるジャンルの優れたアーティストとの競演、世界の主要な国際芸術祭、映画音楽等に参加し、その創造的な活動・ライフスタイルや理念は、世界のアーティストや芸術関係者から注目を集めている。
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
『粋』は今回が初演。三宅、モノクローム、大太鼓、屋台囃子をはじめとする、いわば鼓童の“古典”といえる曲が詰まった人気公演『道』(演出:船橋裕一郎)を浅草公演のためだけに再構築した作品だ。演出の船橋裕一郎が、“粋”な浅草の町、浅草の人々にインスピレーションを得て、浅草の土地ならではの音楽を創り出した。いわば、地域限定のご当地公演ともいえる公演だ。鼓童が浅草公会堂で初夏に開催する公演は、2013年から続き、今年で7年目を迎える。今年の三社祭には鼓童メンバーも参加し、神輿を担いだという。
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
『道』は、2019年5月より開催されている今年の全国ツアーの演目でもある。鼓童の前身である佐渡の國鬼太鼓座も含め、約半世紀の歳月をかけて継承し、練り込まれた、鼓童にとって根幹ともいえる作品だ。『道』『粋』ともに演出を務める鼓童代表・船橋裕一郎は、「“太鼓”は、叩けば音が出るというシンプルな楽器ではあるが、その音や響きは複雑にして、多彩、ひとつとして同じにはならない」と語る。鼓童のメンバーは、日々、その“太鼓”の表現・可能性を模索し、創作を続けている。
撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)
『粋』千穐楽にあたってのコメント
船橋裕一郎<鼓童代表&「粋」演出>
初日から満員で盛り上がっていたのですが、最後のフィナーレで神輿を登場させていただき感謝しています。「恐れ多いお願いをしてしまったな」と寝れない日々が続きましたけど、鼓童の皆で担がせて頂けて貴重で幸せな時間でした。
浅草は(町会のみなさんと)お付き合いさせて頂く中で、こういう大人になれたらいいなと思う「粋」な方が多くいらっしゃいますので、いつも勉強させていただいてます。浅草に鼓童の拠点を持つことができ、ようやく「ただいま」と言える場所になりつつあります。
(今年参加させて頂いた)三社祭も皆さんに温かく迎えて頂けて、青年部の皆さんとも神輿を通じて繫がる事ができました。これからも引き続きお世話になれたらと思っています。
冨士滋美<一般社団法人 浅草観光連盟 会長&仲見世商店街振興組合 理事長>
神輿は今まで“平成中村座”で出した一回だけになります。(今回、神輿を出すにあたり声をかけたところ)町会の皆さん二つ返事で「いいですよ」と集まってくれました。(鼓童さんは)我らの仲間です!
神輿を形にするには人を集めるのが一番大変なので、今回は(多くの町会の皆さんが集まってくれて)頼もしいなと思いました。
鼓童の皆さんをみていると、三社祭で代々神輿の担ぎ方を伝えていくのと同じように、(太鼓の技を次の世代、次の世代へと)伝えていっているなと感じています。
歴史をどんどん次へ伝えるのが大事なので、そういう意味でも(鼓童は浅草に)ぴったりだと思いました。
左から 船橋裕一郎、冨士滋美 撮影=岡本隆史(Takashi Okamoto)