reGretGirlが地元・大阪で「忘れたくないワンマン」ファイナルーー圧巻のアクトで新章の扉を開く
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reGretGirl『忘れたくないワンマン』2019.6.30(SUN)梅田Shangri-La
次世代センチメンタルギターロックバンドとして今人気急上昇の3ピース・reGretGirl。彼らが3月から始まった「忘れられないツーマン」ツアー、そして初ワンマンも含む6月の「忘れたくないワンマン」東京・名古屋公演を経て、6月30日、ついにファイナルの梅田Shangri-Laに到達した。自身の地元・大阪で幕を開け、再び大阪で締めくくった11公演目。メンバーもファンも高まり切った一夜をレポートする。
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ホーム・大阪で迎える最終日とあり、当然この日はソールドアウト。会場は6月の湿度と相まって開演前からむせかえる熱気だ。そして3人が現れステージに並ぶと、平部が照らし出されて「(L)ONLY」のサビから緊張感も漂うスタート! まくしたてるボーカルで急速にテンションを上げクラップも発生させると、さらにスピードアップして「after」「よわむし」と立て続け、より一層に勢いを増す。《きっときっと》のキャッチーなリフレインに観客の手がアップダウンし、リップシンクする人も少なくない。また突き抜けるメロディにのせるファルセットや《何もかも全部捨ててしまおうかな》の語り、耳なじみいいギターやゾクゾクを煽るベースで強力に曲の中に引きこんでから、もう1曲続けて「ブロッサム」へ。平部はフロアに向け目を見開き、たっぷりとためるようにして《花びらは散ってゆく》と放つ咆哮は、詞のごとくサクラの花びらが舞うように伸ばされた手をひらひらと揺らし、まさに忘れられない光景となる。
reGretGirl 十九川宗裕 (Ba.)
そんな序盤のダッシュからひと息つくMCでは、今日の会場・梅田Shangri-Laで動員が3人ほどだったという頃を思い出し「感慨深い場所です」(平部)と話し、次は当時に作ったという懐かしい曲「帰り道」へ。リズム隊が作る高揚への助走や感傷的なメロディが彩って再びサクラの季節の夜が描き出されると、今度は「クラムジーミーツ」で冬の景色から時の移ろい。豊かな展開のそこかしこで聴く者の心をつかんだうえ、「Shunari」の日常をにじませるラフなボーカルからピークへと達する大波もたまらない。またベースも歌う「room」では、哀愁のようなものも感じさせてくれる。
そして「ワンマンだからいつもしないことをしようと思って」(平部)と、次はファンからの質問に3人が順に答えるというスタイルのMCタイムへ。ところが、何を答えても「かわい~!」の反応が起こる十九川に対し、平部が「かわい~って言われにきとるやろ。え~な~!」のツッコミ。前田は「風呂で最初に洗う場所」の問いに「口の中」の回答で、「ウソつけ!……ちゃんと落としてくれてありがとう(笑)」(平部)と、トークでも息の合ったコンビネーションだ。
reGretGirl 平部雅洋 (Vo./Gt.)
だが、そこからは落差をつけて「黒鳥山公園」と「デイドリーム」という泣きのバラードを2連発。時を刻むようなシンバルやハイトーンの十九川のコーラス、平部の泣き出しそうな歌声やミュートからのシャウトなど、どれもがエモーショナルな感触を増幅させ、今日一とも言える扇情的なプレイに、ファンは胸で手を組んで3人をじっと見つめる。曲後にはスッと静寂が訪れる集中っぷりだ。また3音が絡み合ってクラップやハンズアップを起こす「二色浜」と踏み切り音のイントロが印象的な「イズミフチュウ」のあとには決意表明のMCも……。平部は「泣きそうになりました」とここまでを振り返り、「これから僕らは大きくなっていきます。ずっと一緒にいてくれたらなと思います」と気持ちを伝える。加えて「壁にぶつかることもあると思う。(その時)僕らはみんなに何を言ってあげられるかな?って……。頑張れとかそんなことは言えません。でも泣いてもいいよとか、無理すんなとか、僕らなら言ってあげられます。僕らの手は背中を押すための手ではなく、隣でギュッとつないであげられる手でありたい」と胸の内を明かし、いよいよラストスパートに突入!
reGretGirl 前田将司 (Dr.)
鳴り出したのは平部の「いくぞ!」のひと吠えから、彼らの代表曲で疾走感十分の「ホワイトアウト」。手拍子にのってボーカルも荒ぶり、会場には大合唱も響き渡る。さらにそこから加速して最後は「replay」で爆発! 沸点を超えたオーディエンスはもちろん、メンバーにも笑顔が広がって、約3か月におよぶreGretGirlのライブの旅は、盛大にゴールテープを切った。
しかし、余熱が残る会場ではアンコールを求める拍手がやまない。これに応えて3人が再登場すると「ワンマンやから、そりゃ新曲やるよな~(笑)」(平部)と、爽快さも力強さも感じるバンドサウンドで「テレフォン」といううれしい贈り物。そしてとどめは「わすれないように」の言葉を、せつなさも焦燥感も詰め込んだナンバー「ピアス」にのせて観客の脳裏に焼きつける。これに呼応してたくさんの拳が突き上がる光景は、まさにファイナルだからこそのそれ。演奏後、平部が連呼するノーマイクの「ありがとう!」と長くおじぎするメンバーの姿は、今回のツーマンツアーとワンマン公演にかけたreGretGirlの熱量を物語ると同時に、今後も揺らぐことのない真摯な思いを物語っていた。
この日、アンコールの際に発表されたが、彼らは9月25日(水)に3rdミニアルバム『soon』をリリースし、11月からは同作を引っ提げた『coming soon ツアー』へと乗り出す! そのファイナルは梅田クラブクアトロ。ひと回りもふた回りもパワーアップして、もう一度ホームタウンに戻って来てくれるに違いない。
取材・文=服田昌子 撮影=雷