フジファブリック、アジカン、くるり、ユニゾンらが祝宴に駆け付けた『FM802 RADIO CRAZY 2024』2日目をFM802 DJ大抜卓人&加藤真樹子が振り返る
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024』2024.12.28(SAT)インテックス大阪
今年で開局35周年を迎える大阪のラジオ局・FM802が開催する、年末恒例のロック忘年会こと『FM802 RADIO CRAZY 2024』(以下、『レディクレ』)。今年は12月27日(金)~29日(日)の3日間にわたり、インテックス大阪で開催中だ。今年で開催15周年を迎える本イベントには、毎年同局に所縁のあるアーティストが数多く出演。ライブステージだけでなく、番組公開収録など多彩なイベントを展開している。
SPICE編集部では『RADIO CRAZY』の模様を各日のすべてのステージが終わった直後に、FM802DJsによるプレイバック対談を実施。2日目は月~木曜の朝と昼にそれぞれ番組を担当している大抜卓人と加藤真樹子が登場。『RADIO CRAZY』初年度からイベントを見届けている2人だからこそ感じる、”ラジオ愛”あふれるステージを振り返ってもらう。
FM802 DJ 大抜卓人、加藤真樹子
対談前、タイムテーブルを見ながら、どのアーティストのステージを観たのか改めてチェックする2人。数多くのアーティストが出演するイベントで重要となってくるこのタイムテーブル。どのアーティストのステージを観て、次にどう動くのか。事前にきっちりと決め込んで動く人もいれば、当日の流れに身を任せる人もいるだろう。大抜は「なんとなく観たいステージは事前に決めているけど、僕らはイベントの合間に番組収録が入ることもあるので会場に入ってしまえば後はランダムに」。加藤は「リスナーのみんなと同じように、タイムテーブルをチェックできる『RADIO CRAZY』公式のフェスアプリをインストールして。絶対観たい! と決めたステージももちろんあるけど、途中で寄り道もしながら」と、ライブの楽しみ方もそれぞれ。
【PICK UP ARTIST】FM802 DJSHOW 大抜卓人(Z-STAGE)
FM802 DJSHOW 大抜卓人
イベントの開幕を告げるトップバッターはアーティストではなく、FM802のDJによるDJ SHOWだ。しかもステージは最もキャパの大きなZ-STAGE。2日目のDJを担当した大抜は「ありがたいことにすごく盛り上がって。バチっとハマった感じがありましたね。選曲については、2日目に出演するアーティストはやっぱりライブを観るのが一番。だから過去に『レディクレ』に出演してくれたアーティストからいろんな曲をかけたけど、なかでもELLEGARDENは僕の番組『on-air with TACTY IN THE MORNING』(毎週月~木曜、朝6時~11時放送)で「月刊細美武士」という番組コーナーをやっているのもあって。細美さんも「楽しんで」と言っていたから、そういう意味も込めてセレクトしたり。あとはフェス好きがハマるであろう選曲で」と、イベントの開幕を大いに盛り上げてくれた。
【PICK UP ARTIST】WurtS(Z-STAGE)
WurtS
加藤&大抜が2人そろってチェックしたのがWurtS。2022年の初登場から今年で3年連続、さらに初のZ-STAGEでのパフォーマンス。堂々としたステージングに、朝から会場は大盛り上がりとなっていた。
「最近のライブではがっつりとEDMゾーンを作っていて。この日もロックに始まり、中盤にEDMで攻めてまたロックに戻る。進化がすごかった! 大観衆をちゃんと抱きしめられるようになっている感じ!」(加藤)
WurtS
「「分かってないよ」はオーディエンスのシンガロングがすごく印象的。今年は武道館公演を経験したこともあって、大きな会場で魅せる演出だったよね。FM802のヘビロを担当したのが2021年12月だったけど、そこから一気にスパークしてる」(大抜)と、ヘビロテパワーの威力の大きさを改めて体感したよう。
【PICK UP ARTIST】never young beach(R-STAGE)
never young beach
R-STAGEで加藤がまずチェックしたのはnever young beach。2018年以来、6年ぶりの登場となる彼ら。この日のライブ直前には、加藤がステージMCを担当している。
「本番前に「ここに来たってことは幸せになりに来たんでしょ? 幸せになる準備は出来てますかー!」って煽ってMCを終えてから、その後イベントのオープニング映像の後にメンバー登場という流れが用意されていたんです。そんな中、私のMC終えて引っ込む時に、入れ替わりで、「イエー!」ってメンバーが出ていきそうになって(笑)。嬉しそうで私も嬉しかったのですが、「まだですー!」って止めるという楽しいハプニングが(笑)。ちょっと久しぶりの『レディクレ』登場だったんだけど、15年目の節目に彼らが戻ってきてくれたのが嬉しかったなぁ」
never young beach
【PICK UP ARTIST】9mm Parabellum Bullet(R-STAGE)
9mm Parabellum Bullet
FM802は開局35周年、そして『RADIO CRAZY』は開催15周年と、2024年はアニバーサリー尽くし。出演者にも「デビュー」や「結成」など、同じく節目を迎えるアーティストが数多く出演。9mm Parabellum Bulletも今年で結成20周年を迎え、アニバーサリーイヤーに『レディクレ』に登場。
「ベースのぶん回しやメタルのフレーズ、ギターソロと、彼らのライブはもう伝統芸の域。今日のセトリもバッキバキに攻めた内容で、これぞ9mm! これがオレの生き様! って感じ。自分たちの今までの軌跡を宣言するようなライブでしたね」(大抜)
【PICK UP ARTIST】SiM(R-STAGE)
SiM
続くSiMもまた、結成20周年を迎えるアーティスト。大抜は彼らの初の海外ライブにも足を運ぶなど、両者の繋がりはファンやリスナーにとって周知の通り。
「今年の彼らはアニバーサリーイヤーということもあって「祝祭のSiM」というイメージ。お客さんを突き放す、ドSなMAHくんのMCがいつもよりちょっとだけ丸くなっているのもまた良くて(笑)。優しさとエネルギーの交わり、僕は今のSiMのライブもすごく好きなんですよ。今年はアメリカツアーを回ったりしたことでバンドの経験値が随分と増えて、洋楽バンドに近い見せ方をするようになっている。今日のステージはそれをすごく感じた気がする」と、長年ライブを観続けてきたからこそ感じる変化もあったという。
SiM
【PICK UP ARTIST】ヤバイTシャツ屋さん(Z-STAGE)
ヤバイTシャツ屋さん
大抜はイベント中盤まではおもにZ-STAGEとR-STAGEを行き来し、続いてはヤバイTシャツ屋さんへ。サウンドチェックから本編さながらのパフォーマンスでフロアを沸かしていたようだ。
「「あつまれ!パーティーピーポー」での大合唱とか、まだお昼間なのに「2025年のカウントダウンやる!」って勝手に言いだすとか(笑)。とにかくお客さんと遊んで暴れ倒して、彼らのおふざけの真骨頂みたいなライブ。でも、そこにちゃんと愛があるのが彼らの魅力。「すこ。」では曲に入る前に「802すこ(好き)!」って言ってくれたのがすごく嬉しかったな」と、ステージからもラジオ愛を感じたという大抜。
ヤバイTシャツ屋さん
しかもそのラジオ愛はステージの上からだけではなく、「ドラムのもりもりもとくんはかなり早い時間から会場入りして、僕がZ-STAGEのトップバッターでDJをしているのをずっと見てくれていたみたい」(大抜)と、イベントを楽しむ姿にも感銘を受けたそう。
【PICK UP ARTIST】flumpool(L-STAGE)
flumpool
「flumpoolはとにかく演奏がめちゃめちゃうまい! それを再確認するようなライブでした。ミドルテンポの「どんな未来にも愛はある」から、ガラっと雰囲気が変わる「夜は眠れるかい?」のヒリヒリした曲への繋ぎも演奏力があるから、すごく惹きつけられたなぁ」(加藤)
flumpool
【PICK UP ARTIST】BLUE ENCOUNT(L-STAGE)
BLUE ENCOUNT
「今年のブルエンはこれまでの楽曲を全曲網羅する、というツアーを敢行していて。アメリカに活動拠点を移していたつーじー(辻村勇太)が一時帰国した時に大阪でのライブを観たんですけど、やっぱりあの4人でのライブはめちゃくちゃ良かった。『レディクレ』には他にも節目となる周年を迎えたアーティストがたくさん出演していたけど、全曲網羅したことでバンドにも自信がついたのか、今日の彼らは「集大成」がステージに一番色濃く出ていた。最終曲の「だいじょうぶ」でしっかりとピリオドを打つ、そんなステージを魅せてくれましたね」(大抜)
BLUE ENCOUNT
【PICK UP ARTIST】PK shampoo(ZONe ENERGY LIVE HOUSE Antenna)
PK shampoo
「実はこれまでチャンスをいくつも逃してて……やっとライブを観ることができました!」と嬉々として加藤が語ったのが、ZONe ENERGY LIVE HOUSE AntennaステージでのPK shampooのパフォーマンスだ。
「ライブを生で観ると、こんなにも歌心があるバンドなんだって驚いて。音の激しさだけじゃなく、ど真ん中にちゃんと歌があって、みんながそれにぐっと心を掴まれている。アンテナステージだけど、PK shampooのワンマンですか? っていうくらいに人がぎゅーっと集まって。熱狂している感じがよく伝わるライブでしたね」
ライブ初見で心掴まれた加藤だが、すでに来年2025年にはPK shampooとのラジオ企画が決定しているそう。「年明け1月6日(月)からの4日間、『UPBEAT!』(毎週月~木曜の11時~14時放送)で、フラワーカンパニーズとヤングなバンドたちとの対談企画「ホップステップヤング道場」を放送します。その企画に、ヤマトパンクスさんも登場してくれますのでお楽しみに!」と宣伝も。
【PICK UP ARTIST】離婚伝説(ZONe ENERGY LIVE HOUSE Antenna)
離婚伝説
「お客さんに向けて“開けた”ライブをする。観ているともう恋をしてしまう、そんなライブ」と、加藤が熱く語ったのは、早くから入場規制がかかっていた離婚伝説。
「ライブ後にメンバーに規制がかかるほどたくさんの人が集まっていたことを伝えると「嬉しいけど観られなかった人がいたのは複雑。また会えるといいな」と答えるくらい心の優しい人たち。「愛が一層メロウ」では「歌って!」と声を掛けると大合唱が起きていて、離婚伝説がそういうバンドになっているんだなと実感しましたね。あと、いち早く新曲初披露も。まだ詳細は言えないけど、来年1月に出るみたいなので、音源が届き次第、番組でも紹介したいですね」(加藤)
アコースティックライブや公開収録などが行われる音波神社にある境内STAGE。エンタメ要素満載で、ライブとはまた違った雰囲気のなかで音楽を楽しめると注目を集めている。ここでは加藤、大抜それぞれがMCを担当するステージを振り返ってもらう。
【PICK UP ARTIST】平部雅洋(reGretGirl)(境内STAGE)
平部雅洋(reGretGirl)
「平部くんは12月29日が誕生日。30歳最後の日のライブをしてくれたんだけど、リラックスした状態でお客さんを巻きこむのがすごくうまいから、境内STAGE特有のアットホーム感にもぴったり。お客さんの笑顔をしっかりと作ってくれましたね。もちろん、楽屋ではお誕生日おめでとうってスタッフのみんなとお祝いして。「明日が誕生日当日だから何もないと思ってた!」ってびっくりしてたのが可愛かったな」(加藤)
【PICK UP ARTIST】FM802料理部 RADIO CRAZY編(境内STAGE)
FM802料理部
料理研究家の肩書を持ち、レシピ本の出版からYouTubeチャンネルまで解説している伊地知潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)と、ミュージシャンきっての料理好きである金澤ダイスケ(フジファブリック)の2人を中心として発足した部活動「FM802料理部」。これまでもFM802のイベントなどでレシピを紹介したり、考案したメニューを実際に販売したりと、さまざまなゲストやリスナーを料理と音楽でもてなしてきた2人。今回、レディクレ編としてステージ上でライブクッキングを展開。試食ゲストに佐藤征史(くるり)、小倉誠司(flumpool)を迎え、自慢の腕前を披露した。
これまでの活動を間近で見てきた加藤は、今回もMCとして登壇し「実は今回、サプライズゲストに新日本プロレスの棚橋(弘至)選手が参加してくださったんです! 昨年は正式な試食ゲストとして登場していただいたんですが、その時に「2023年めんぼう事件」が起きて……。ダイちゃん(金澤)がリクエストした調理器具の中にナッツを砕くための麺棒があったんですけど、ひらがなで「めんぼう」とメモが書かれていたから「綿棒」と勘違いされてしまって(笑)。「この綿棒じゃないよ。これじゃナッツを砕けないじゃん!」って困っていたときに、棚橋選手がまさかの素手で砕いてくれたんです! で、今年もダイちゃん(金澤)が調理器具のリストに「めんぼう」って書いてきて。今回の調理では使わないのに! これはフリだよね? ってことでスタッフはちゃんと用意したのに、いざ本番では麺棒を使おうとしなくて(笑)。棚橋選手の入場曲が流れたとき、2人には完全に秘密にしていたからダイちゃんと伊地知さんの驚きの表情に会場が盛り上がりましたね」とサプライズは大成功したそう。
FM802料理部
フジファブリックの活動休止に伴い、今回のイベントをもって金澤ダイスケは料理部の副部長から名誉顧問へ就任し、料理部を影から見守る存在に。とはいえ料理部は続いていくということで、部長の伊地知の口からイベントなどで金澤の名前が出たり、関係は繋がってゆくのだろう。
【PICK UP ARTIST】金井政人&東出真緒(BIGMAMA)(境内STAGE)
金井政人&東出真緒(BIGMAMA)
『レディクレ』3日目に出演するBIGMAMAからは金井政人と東出真緒が出演。大抜がMCを務めるステージで、ただライブを披露するだけでなく、そこでセレクトした楽曲にもラジオ、DJ、リスナーとの繋がりを感じるエピソードがあったという。
金井政人&東出真緒(BIGMAMA)
「実は今年、僕が休暇を取ったときに番組DJのピンチヒッターを務めてくれたのが金井くん。それをキッカケにバンドと番組との繋がりも生まれるようになったんです。『レディクレ』は一年の集大成ということで、僕らの番組との繋がりを体感したいと思い、今回の『レディクレ』でのセットリストを僕とリスナーのみんなで考えさせてほしいと金井くんに提案していたんです。アーティストに手紙を書くような感覚でみんなでこんな曲が聴きたいな~と決めて、『レディクレ』Youtubeチャンネルでの生配信でふたりに「これ、やってください!」とダーン! と見せたんです。その結果、このセットリストを実現させようと決めてくれたんですが、どうにも時間が足りないと」(大抜)
「あーーーー! それでこのステージで!」(加藤)
「そう! 何曲か削らなくちゃいけない、その曲を境内STAGEでやってもらおうという、贅沢なステージになったんです」(大抜)
「そこまでやってくれるバンドの愛がすごいですね」(加藤)
「普段の彼らのライブではやらないような曲も入っているので……境内ステージのライブも良かったけど、29日のライブはすごく良いと思います!」(大抜)
【PICK UP ARTIST】UNISON SQUARE GARDEN(Z-STAGE)
UNISON SQUARE GARDEN
イベント後半、大抜&加藤の2人は休むことなく次から次へとライブをチェックしていく。大抜が駆けつけたZ-STAGEでは、12月25日(水)に同じくインテックス大阪での主催イベントを終えたばかりのUNISON SQUARE GARDENが登場。
「バンドの20周年を記念したトリビュートライブ『fun time tribute』の後夜祭のようなセットリストで、アニバーサリーをぎゅっと詰め込んだライブ。いつも思うんだけど、本当に3人だけの演奏でこんなにも極めているライブがあるのかって驚かされるよね。達人が3人集まるとこうなるんだって。ライブが終わってステージを降りてきたとき、すごく清々しい顔をしてるのも印象的だった」(大抜)
【PICK UP ARTIST】くるり(R-STAGE)
くるり
大抜と加藤がそろって足を運んだのは、くるり。「年末の『レディクレ』にくるりがいてくれると、それだけでまず安心。全信頼を置くほど、言葉にしなくてもその年にリスナーのみんながどんなことを考えていたかを音で包み込んで応えてくれる。今回はライブ前半にフェスではあまり披露しない「There is(always light)」や「ロックンロール」のような祝祭感を感じる曲が披露されて。もちろん「東京」や「ばらの花」とか、みんな聴きたいでしょ?っ ていう楽曲もやりつつ。そして最後の「潮風のアリア」で暖かく包みこんで、みんなの気持ちを来年に向かわせてくれる。「来年も生きよう」と言ってくれるようなライブを、くるりはいつも『レディクレ』でしてくれる」(加藤)。
くるり
「くるりは音のミルフィーユがすごい! 曲単体も心を惹きつけるけど、それが重なると……。音の抜き差し、ギターのリフ、どれを取ってもとにかくすごい!! 」(大抜)
互いに印象深い曲はあったものの、声をそろえて嬉しかったと語ったのが「琥珀色の街、上海蟹の朝」だ。「みんなが嬉しそうにゆらゆら揺れて踊ってて。くるりの全要素が入ったセットリストだったなぁ」(加藤)と、振り返った。
【PICK UP ARTIST】RIZE(R-STAGE)
RIZE
2024年5月に再始動を果たしたRIZEが2016年ぶり、6度目の出演を果たした。これまでも番組を通じて交流を続けてきた大抜にとっては、感慨深いステージのひとつとなったようだ。
「彼らはいつも会場に現地集合で、リハーサルもなし。ステージで一度だけ音を合わせたら、あとはそのままライブをするのがお約束。そのスタイルは今もそうなんだけど、昔と違うのがメンバーの仲の良さ。これまでは互いに戦い合う、削り合うようなエネルギーでライブをやってきたけど、今はRIZEのライブはこの3人でしかできないと思っているからこそ、お互いを信頼しあうことができているんだってメンバーから話を聞いて。その気持ちを知って今日のライブを観たら、もうエモすぎて……。目の前のステージは彼らの生き様でしかない。フロアの後ろで様子見をしているお客さんも、ライブ中盤にはグワー!!っと前に詰めかけてきたんだけど、その勢いはJESSE本人も感じてたみたい。まるで2日目のカレーみたい。煮込んで煮込んで濃くなっていく感じ」と興奮しきり。
RIZE
ラジオ局が主催となって行われる『レディクレ』。開催後の楽しみといえば、各番組で後日放送されるライブ音源だ。イベント当日の思い出を振り返るのはもちろん、イベントに足を運ぶことが叶わなかった人たちも思いを馳せることができる、ラジオ局ならではの取り組みとなっている。どの楽曲を番組で放送するかはアーティスト次第だが、RIZEのライブ音源がどの曲になるかはすでに決まっているらしい。
「ライブ後にメンバーと話をしていたらJESSEから「タクティが選んでくれ」って言われて。ライブが絶好調のあの瞬間。カレーが一番煮込まれているところを選んだんで!」(大抜)
「えー! すごい! 卓人さんが何の曲を選んだのか、後日のお楽しみですね」(加藤)
【PICK UP ARTIST】w.o.d.(R-STAGE)
w.o.d.
R-STAGEのトリを飾ったのがw.o.d.。パフォーマンスはもちろん、加藤はMCでの言葉も印象深かったという。
「R-STAGEのトリが決まったときはすごく意気込んでいたけど、いざタイムテーブルを見たら裏がエグいって言ってて(笑)。前後に挟まれているアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)やフォーリミ(04 Limited Sazabys)だけじゃなく、フジファブリックといった今年観なきゃいけないアーティストもたくさんいるんだって、尊敬を込めて話をしていて。そんななかで「俺は俺でしかない。小細工とかできない。そう言い続けそう言い続けてきた一年だったけど、今日もまた同じことを思う」って、w.o.d.のロックを真っ直ぐに鳴らしまくっていて、それが本当にカッコ良かった。ライブはゲストにハルカミライの橋本学くんやRIZEのJESSEも出てたんだけど、セトリもガン! と音を鳴らす「1994」から、穏やかな「オレンジ」まで、バンドの振り幅を出しまくって。
今年リリースしたアルバム『あい』ではバンドのいろんな面が良い形でブレンドされていたんだけど、それがライブにもそのまま出ている。彼らにとって、今年は覚悟が決まった一年だったんだって感じるくらい、すごく良いライブだった」と、熱く語った。
【PICK UP ARTIST】CRAZYMAN CLUB BAND(L-STAGE)
『RADIO CRAZY』だけのオリジナルバンド、CRAZYMAN CLUB BAND。2010年の初結成、2019年の再結成とこれまで2度のステージが企画されていたが、今回『レディクレ』15周年を記念して5年ぶりに企画が復活。今年は新ギタリストに佐藤タイジ(THEATRE BROOK)、KOHKI(BRAHMAN)が参加。ゲストボーカルには岸谷香、宮藤官九郎、GLIM SPANKY、スガ シカオ、甫木元 空(Bialystocks)、HARUNA(SCANDAL)らが参加。世代もジャンルも超えたアーティストらの共演はオーディエンスはもちろん、DJ2人も興奮しきり。
「バンドもすごかったんだけど、岸谷香さんがステージに上がったときの本物感がすごい! 「M」のはじまり、たった5音を聴いただけで会場がワーーって騒ぎだして。名曲の持つパワーって本当にすごいんですよ。「Diamonds」ではいろんなバンドTシャツを着た子たちが歌ってたり、音楽ってこんなにも楽しいんだ! って改めて感じさせれた。岸谷さんが「この曲が出たときには生まれてなかった人もいるよね」っておっしゃっていて、実際にそういう子もいたとは思うけど、もう名曲を前にすると年齢なんて関係ないですね」(加藤)
「バックステージでも放っているオーラが違っていたもんね」(大抜)
【PICK UP ARTIST】04 Limited Sazabys(L-STAGE)
04 Limited Sazabys
L-STAGE、R-STAGE、Z-STAGEと時間の許す限り、いくつものステージを観続けていく2人。加藤が続いて足を運んだは04 Limited Sazabysだ。
「GENくんがMCでも語っていたけど、フォーリミは今年、作品のリリースがなくて。FM802にキャンペーンで訪れる機会が少なかったこともあって、「今年の『レディクレ』には呼ばれないかも……」って思ってたんだって。でも「今年も呼ばれてうれしい! (年明け)すぐに新曲出ます!」って披露してくれた新曲「magnet」がキレッキレで! 新曲が良い=バンドが今一番良い状態。来年1月にリリースされる新作EP「MOON」は4曲すべて推し曲って言ってたから楽しみだな。来年のお楽しみというお土産をフェスでくれるのはシンプルに嬉しいですね」(加藤)
04 Limited Sazabys
【PICK UP ARTIST】ASIAN KUNG-FU GENERATION(Z-STAGE)
ASIAN KUNG-FU GENERATION
Z-STAGEのトリを務めたのはASIAN KUNG-FU GENERATION。FM802との繋がりは深く、同局が主催する春の恒例イベント『REQUESTAGE』でもおなじみの彼ら。圧巻のステージに大抜&加藤も興奮気味にステージを振り返る。
「Z-STAGEでのASIAN KUNG-FU GENERATIONは観ているだけでお腹にぐっと力が入るよう。来年に向けての力をもらうライブだったな」(加藤)
「1曲目に入る前、SEのような効果音的な音を作るのが抜群にうまい。余韻に浸らせるようなバンドの空間を音で作って、そこから始まる「君という花」「リライト」と鉄壁の2曲が続く!」(大抜)
「しかもそこから「Easter」! デイヴ・グロール(フー・ファイターズ)のプライベートスタジオでレコーディングした作品で、リリース当時にゴッチ(後藤正文、Vo.Gt)さんが嬉しそうに話をしてくれたのを想い出しましたね」(加藤)
「ライブ終わりに本人と選曲について話をしたら、「この曲はハマるなって自分でも思ってた」って言ってたよ」(大抜)
ASIAN KUNG-FU GENERATION
「これからのフェスセトリに「Easter」が入ってくれたら嬉しいですね! 今日のライブはフロアの一番端にいた人もみんな腕を上げて盛り上がっていて、音楽の持つ力の大きさをすごく感じましたね。数年前からメンバー4人、横並びになってライブをするようになっているんですけど、見た目の良さはもちろん、音楽がドン! と体に入ってくる感じも良い。あと、関係者エリアにバンドマンがいっぱいいる風景もアジカンのライブだなって思っちゃう(笑)」(加藤)
「最後の曲「転がる岩、君に朝が降る」は僕が今担当している番組が2013年にスタートした時、一番初めにかけた曲。今日この曲を最後に聴いたときにいろんなことを考えちゃいましたね」(大抜)
【PICK UP ARTIST】フジファブリック(L-STAGE)
フジファブリック
「最後なんだって……、感慨深く観ちゃいましたね」と大抜がしみじみと語ったのが、2日目のL-STAGEの大トリとなったフジファブリックだ。2025年2月、デビュー20周年という節目で活動休止となる彼ら。現体制最後の大阪でのイベント出演が『レディクレ』でのステージとなった。
「大阪城ホールで開催された、くるりやASIAN KUNG-FU GENERATIONが出演した3マンライブで締めくくったっていいはずなのに……。最後に『レディクレ』を選んでくれたことが有難くて、嬉しかったです。セットリストもすごく前向きな歌詞の曲をそろえていたのも印象的で。しかもメンバーが3人体制になってからの曲だけ。これは相当珍しいんだけど、3人でやってきたプライド、3人で魅せます!っていう思いがあったんだろうな」(加藤)
「ラストの「手紙』」で終わるのも粋で。そうちゃん(山内総一郎)は元々ギタリストだから、鳴らし方が今日の会場にもすごく合っていて、高らかに鳴り響いていましたね」(大抜)
「メンバー紹介の「ギター、オレ!」も聞けましたもんね(笑)。改めて、奇跡みたいな3人だなって思いました」(加藤)
「彼らの音楽は誠実な歌だけじゃなくてユニークな遊びもあって。3人体制になってもそれを継承している。フジファブリック”イズム”をしっかりと見せられたライブだったなと思います」(大抜)
「志村(正彦)くんが亡くなった2009年のクリスマスイブ、その直後の『レディクレ』では映像を流したんですよ。今日のライブではその映像を思い出したんだけど、その景色から今まで、3人は本当に素晴らしいライブをたくさん見せてくれたし、FM802のDJsにとってフジファブリックはファミリーみたいな感じ。本当にありがとうって言いたい」(加藤)
FM802 DJ 大抜卓人、加藤真樹子
大抜卓人は2001年、加藤真樹子は2002年からFM802でDJとして活動している。今年で15周年を迎える『RADIO CRAZY』を初年度から見ている2人。改めて2024年の『RADIO CRAZY』を振り返ってもらった。
「今年はFM802も開局35周年ということもあって、周年アーティストがたくさん出演してくれて、改めて『レディクレ』とともにあるなと感じましたね。セットリストやMCでレディクレのことを考えたり、話してくれたり、ラジオに対してこんなにも向き合ってくれている人たちがいる。そんなフェスは他にはあまりないと思います。お互いの関係値があるからこそできることだと思いますが、ラジオにしかできない繋がりがありますね」(大抜)
「初年度は2日間開催だったんですよね。それが年を重ねるごとに大きくなり、公開収録をするこたつSTAGEや音波神社ができたり、みんなの面白いアイデアからアレもやろう、コレもやろうとどんどん膨らんで。それを面白がってくれるみなさんもいるんです。このSPICE編集部さんもそうだし、他のメディアでもレポートやインタビューをしてくださって、どんどん広がりを大きくしてもらった15年かなという気がする。私たちは一生懸命ラジオをやって、音楽やメッセージを届ける。アーティストとの繋がりや、いろんな人の手もあってここまできてるなと思います」(加藤)
「僕も真樹ちゃんも、802のDJもスタッフもみんな同じ考えがあって、それは僕らにとって『レディクレ』は「一年の答え合わせ」なんです。いろんなアーティストとたくさんの企画をして、ゲストに来てもらってインタビューをして、ライブを観て。一年間ずっと紡いできた物語の答え合わせをこの『レディクレ』でやっている。15周年を迎えて、『レディクレ』初年度の頃と何が違うか。それは答え合わせの内容がより濃厚になってきていること。今年は特に血が濃い人たちがいっぱい出演していたのもあって、DJやスタッフ、みんながリレーションを取って積み上げてきたものがあるなと感じましたね」(大抜)
「『レディクレ』にはFM802と802 DJs、そこに何の繋がりもないアーティストは一切出演していない。それははっきり言えますよね。お互いの関係性をより濃密に感じるようになったのは私たちがそれなりにキャリアを重ねてきたことと、日々のオンエアを通してリスナーのみなさんに育てられてきたから」(加藤)
「今年の『レディクレ』はあと1日ですけど、FM802としては開局35周年のイベントは年明けもまだまだ続きますんで!」(大抜)
「お祭は続きます! この一年は公開収録もすごく多くてリスナーさんにもたくさん会えたし、感謝々々の年でしたね!」(加藤)
「こうやって締めくくりの話をしたけど、まだまだ通過点ですからね」(大抜)
「来年もよろしくお願いします!」(大抜&加藤)
■初日のレポートはこちら
Vaundy、BRAHMAN、DISH//、フレデリックらが集結
『FM802 RADIO CRAZY 2024』をFM802 DJが終演直後に語り合う、初日は落合健太郎&ハタノユウスケ
取材・文=黒田奈保子 写真=FM802提供
イベント情報
ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2024 ーレディクレ15th-』
●日時=2024 年 12 月 27 日(金)、28 日(土)、29 日(日)10:00 OPEN・11:00 START
※OPEN、START 変更になる可能性がございます
※START 時間は改めてステージタイムテーブルをご確認ください
●会場=インテックス大阪
●協賛=日本旅行 / マクセル / サントリー ビアボール / ZONe ENERGY / TESCOM /
●FM802 オフィシャル X=@fm802_pr
●FM802 RADIO CRAZY X=@FM802RADIOCRAZY
●FM802 オフィシャル Instagram=@fm802_pr
●FM802 RADIO CRAZY Instagram=@fm802radiocrazy
●FM802 RADIO CRAZY YouTube チャンネル
https://www.youtube.com/@FM802RADIOCRAZY
●FM802 RADIO CRAZY TikTok=@fm802radiocrazy
●イベントハッシュタグ:#レディクレ
放送情報
FM802 RADIO de LIVE CRAZY-レディクレ 15th-
日時:2025年2月11日(火)
第 1 部 14:00ー 17:51 DJ=樋口大喜・板東さえか
第 2 部 19:55ー 23:48 DJ=落合健太郎・高樹リサ
第 3 部 24:00-深夜 3:00 DJ=浅井博章・田中乃絵