【超最速SPICE先行決定】スベらない芸人・兵動大樹が千秋楽で薄スベり!? 出演舞台の第2弾『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』でリベンジを誓う
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
芸人・兵動大樹、落語家・桂吉弥という「関西きっての喋りの達人」が共演する舞台の第2弾『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』が、大阪・ABCホールにて11月30日から12月2日まで上演される。SPICEでは超最速SPICE先行が本日から14日(水)23:59まで実施するが決定した。詳しくは下記の公演情報をチェックしよう。
うだつがあがらない不動産営業マン・菅谷さん(兵動)は、一人暮らしの老婆・林田光子と土地売買の交渉を進めていた。ところが光子は突然、家で亡くなってしまう。交渉がまとまりかけていた矢先の訃報に、菅谷は落胆。光子の息子・林田さん(桂吉弥)とその妻・早苗(三船美佳)らと光子の死について話し合うが、その最中、家の奥から謎の女子高生(清井咲希)が出現。彼女はなんと、光子の幽霊だと言い――。老人の孤独死という社会問題も背景に据え、「人が亡くなったとき、それは遺された人間たちにとって人生の転機」というテーマをもとに繰り広げる「ワンシチュエーション喜劇」。
清井咲希(たこやきレインボー)
人気アイドルグループ「たこやきレインボー」のメンバー、清井咲希も重要な役どころで出演することが決定。清井から「自分との共通点がまったく見えなくて、どう演じようか悩みます」と戸惑いのコメントも発表されたが、そんな彼女が兵動、吉弥とどのような絡みを見せるかも見どころだ。
今回は『〜本日、家に化けて出ます〜』について、主演の兵動大樹と、この舞台シリーズの演出家・プロデューサーである木村淳に話を訊いた。
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
――1作目『はい!丸尾不動産です。〜本日、家をシェアします〜』の千秋楽から1か月以上が過ぎましたが、「丸尾ロス」はありましたか。
兵動:千秋楽の次の日の夕方くらいまでは「丸尾ロス」は出ていましたけど、劇中で亜美さん(青山郁代)が歌っていた曲を聴きながら「もう終わりか」と感傷に浸っていたのは、まぁ夕方まででしたね。
――結構、早くにロスが終わりましたね(笑)。
兵動:長引くかなと思っていたら、かなり早かったですね。でも、一緒に舞台をやったみんなと、この作品ではもう会うことができないのは寂しいですけど。
木村:舞台って儚いんですよ。稽古、本番で熟成されてきて、ようやく出来上がったと思ったタイミングで千秋楽を迎えるものなんです。
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
――本番直前のメンタリティはどうでしたか。以前、インタビューした際は「楽屋からそのままの感じで上がっていくことになるんじゃないか」とおっしゃっていましたけど。
兵動:やはり緊張感はありましたね。そういえば初日、演出の木村さんが、日頃は絶対にそんなことしないのに握手とかしてきて。
木村:ハハハ(笑)
兵動:あれで僕らの胸を高鳴らせました。そうやって舞台へ送り出してもらったとき、「みんなでいいものを作るぞ」というチーム感が出ました。ウルッとまではいかないけど、全員と同志としての絆を感じられました。そして、亜美さんも「じゃあ私、行ってくるわ」と言って、死んだフリをしにいくという。
――オープニングの、青山さんが仰向けで死んだフリをして、それをシェアハウスの住人が見てびっくりするところですね。
兵動:誰かがウケたりすると「よし、いける」と士気が高まったりして。誰か一人でも欠けると生み出せない空気感がすごく良かったです。
――ウケるというえば、『丸尾不動産』は確かにコメディではありますけど、でも狙って笑わせるところは多くはないですよね。
兵動:芸人なので、ホンマはドーンとした笑いが欲しくなるんです。でもこれはお芝居なので、それはいらない。そうじゃなくても、お客さんは十分楽しんでくれている。とても勉強になりました。
木村:ただ、コメディとして気持ちよく帰ってもらうためのフックをどう作るかは、そこはかなり考えました。話の大筋とはちょっと外れているように見える部分も、実は伏線として機能させていたり。ラストのトリックも含めて、早い段階から兵動さんにはその辺りを「どう表現するか」と相談していました。あとは、兵動さんのおもしろさに乗っからせてもらいました。
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
――芸人さんにとっては、ドーンの笑いがお客さんとの信頼の一つの証になりますもんね。
兵動:自分のパートで、「いくぞ!」という感じで気合いを入れてボケたところがスベったりすると、さすがに「あれ……?」と落ち込みましたね(笑)。千秋楽の劇中、アドリブでちょっとした下ネタを言ったんですけど、薄スベりになっちゃって「まあまあ自信あるやついったのにな」って。
――楽日は観られなかったんですけど、どの場面でスベったんですか。
兵動:林田さんとの出会いのシーンですね。アドリブでいつも「スベらない話」をやっている場面。結構、自信のあるエピソードやったんですけどスベっちゃった。それでカーテンコールのときに、木村さんから「千秋楽で下ネタいくって……」と、まだ終わってもいないのに史上最速のダメだしを受けました。
――まさかの壇上で。
兵動:そう。でも、この舞台は全部ドッカンドッカンとなるものではない。キャラクターの感情であったり、きっちゃん(吉弥)の表情の変化であったり、そういうところでお客さんが物語に入り込んでいき、背もたれからグッと前のめりになる瞬間があるんです。その反応が、いわゆるドッカンなんですよね。
――吉弥さんとのダブル主演というところも話題でしたが、ほぼ初めましての状態から、稽古などを通して吉弥さんの素顔を知っていくことはできましたか。
兵動:いやぁ、きっちゃんはこちらが思っている以上に真面目です。っていうか、超真面目。「おもんないな、こいつ」くらい(笑)。
――ハハハ(笑)。
兵動:本当にそれくらい超真面目。僕も真面目なほうですけど、あれだけの人間は芸人の中ではあまり見ない。でも、噺家としての色気はすごくありますよね。だからその振り幅が、きっちゃんの大きな魅力です。
木村:そうそう、色気がありましたね。不思議な艶っぽさがありました。
兵動:古典芸能を演じる人特有のものですね。
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
――そんな吉弥さんと再び、舞台を作りあげるわけですが、第2弾『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』は兵動さん、吉弥さんの役名は変わらないけど、1作目の世界とは別なんですよね。
木村;パラレルワールド的な感じ。林田さんも、性格は全然違います。
兵動:でも、『化けて出ます』というサブタイトルを聞いたとき、2弾目で「捨てたんか」と思いました。
木村:いやいや、本気です(笑)。
兵動:化けて出るとか、「何を『ゴーストバスターズ』みたいなこと言うとんねん」と(笑)。ホースみたいなやつを抱えて家に入っていかなあかんのちゃうかと思ったり。そうそう、第1弾の稽古の真っ最中に、この第2弾の番宣まで撮らされていたんですよ。木村さん、エグくないですか!
――まだ第1弾が成功するかどうか分からない状態なのに!
木村:なんなら、初日の前には第2弾の速報チラシまでできあがっていました。
兵動:木村さん、エグいんですよ。ただ、それだけ木村さんの情熱にみんなが引っ張られているところもあります。
――今回の出演者には三船美佳さんの名前がありますが、兵動さんは意外にもあまり接点がなかったんですよね。
兵動:番組のゲストとしてご一緒したことはあるけど、がっつりと何かをすることはなかったんです。なぜか三船さんはコメディエンヌ的なイメージがあるのと、あとはあの「最強の遺伝子」ですよね。お父様が世界の三船敏郎さんですし。「世界の○○」なんて三船さんかナベアツくらいですよ! 三船さんはトボけた笑いもできそうな気がして、すごい芝居になるんじゃないかなって。
『はい!丸尾不動産です。〜本日、家に化けて出ます〜』 撮影=田浦ボン
――アイドルグループ「たこやきレインボー」の清井咲希さんの出演も決定しました。清井さんは、若返って化けて出る、林田のおばあちゃん役ということで。
兵動:あんな可愛い子なら、2日に1度は化けて出てきてほしいですよ。清井さんはたこやきレインボーでバリバリと活躍しているのを知っていますし、ご挨拶をしたこともあります。それにしても、亡くなったおばあちゃんが若返って化けて出てくるなんて、舞台の出演者じゃなかったら、台本を渡されても読みませんよ!
木村:そんなこと言わんといてくださいよ(苦笑)。
兵動:だけど前作同様、木村さんの手にかかると「え、そんなメッセージになるの」ということに変化するはず。そのあたりは実際に舞台を観に来て、確かめてほしい。
木村:1回目もそうでしたけど、兵動さん、吉弥さんの共演と聞くとお客さんはドタバタ喜劇を想像するはず。でも実は前作も、真面目な裏メッセージが込められていたし、結構泣いている人も多かったんです。2作目も、ド直球にメッセージを入れるのは照れ臭いんで、まず笑いに来てもらって、でもじわじわと想いが広がってくれたらいいなと。
――林田さんは、役名は一緒だけどキャラクター性が違うので、吉弥さんの演じ方も当然変わってきそうですね。
木村:1回目は、吉弥さんにきっちりと林田さんを演じてもらって、それを兵動さんが回収していく形にしました。サッカーでたとえるなら、メッシとイニエスタのような関係性。第2弾の吉弥さんのお芝居は、もっと自由度が高いです。
――前作同様、2人のアドリブによるスベらない話も楽しみです。
兵動:この前の千秋楽でスベったんで、一発目に下ネタをやってやろうかなと思っています!
木村:ちょっと、アイドルがいるんでやめてください!
兵動:同じ下ネタでいったろうかな(笑)。
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン