【特集企画】A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』The road to the opening<No.2>顔合わせ~本読みレポート

レポート
舞台
2019.9.3

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ブロードウェイの新進気鋭のソングライティングコンビと日本のクリエイティブチームが、新作ロックミュージカルを共作し、世界に先駆け上演するプロジェクトとして注目を集めるA New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』(以下『FACTORY GIRLS』)。
この作品は、劣悪な労働環境の改善と、働く女性の尊厳を勝ち取ることを求めて、19世紀半ばアメリカで実際に起った労働争議を率いた実在の女性サラ・バグリーと、サラと固い友情を結びながらも雇い主との板挟みで苦しむハリエット・ファーリーを主人公に、今の時代にこそ伝えたい「自由を求めて闘った女性達の物語」を、ロックサウンドのミュージカルナンバーに乗せた、迫力の歌とダンス満載のエンターテインメントとして創り出す、日米合作による画期的な新作。
SPICEではこのかつてないプロジェクトで生み出される作品が、開幕するまでの道程に密着。様々な角度から、作品が立ち上がっていく過程をレポートしていく。

A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』The road to the opening<No.2>顔合わせ~本読み

連載第2回は、8月半ばに行われた「顔合わせ」から引き続いての第1回本読み稽古の様子をお届けする。

夏の日差しが照り付ける8月半ば、都内稽古場は続々とやってくる多くの人々で賑わっていた。今日は『FACTORY GIRLS』キャスト・スタッフ・関係者全てが一堂に会し「顔合わせ」が行われるのだ。すでに様々な取材会などで作品について語り合っているキャストも多く、この日に先立ち個々の「歌稽古」も続けられていたが、やはり関係者一同が揃った大稽古場には、いよいよこの全く新しい試みで生み出されるミュージカルの船出に立ち会う高揚感に満ちている。

そんな中で、主催者、関係者、そしてキャストが紹介されていく。

柚希礼音

柚希礼音

主演は、家族を貧困から救うと同時に自由を求めて19世紀半ばのアメリカ・ローウェルの紡績工場にやってきて働く「ファクトリー・カールズ」たちが、労働環境改善に向けて立ち上がる運動のリーダーとなっていく、サラ・バグリー役の柚希礼音。台本に「背も高いし、堂々としている」と表現されている、柚希の宝塚トップスター時代から変わらない明るい笑顔とスター性が際立つ。

ソニン

ソニン

そして多くの出演者のなかでも重要人物である、ファクトリー・ガールズたちの寄稿集「ローウェル・オファリング」の編集長に抜擢され、女性に注目が集まっている今だからこそ、その流れに添い、社会や会社と折り合いながら女性の尊厳を底上げしていこうと腐心するハリエット・ファーリーのソニン。常に冷静でいつつ、心に強い信念を秘める役柄に挑む、気概と感謝をにじませる。

実咲凜音

実咲凜音

そんな異なる道を進む二人の女性を全く区別することなく「意見が違うことがあっても、私達はいつでも仲間」と言い切り、思いのすべてをキルトの一針一針に込めるアビゲイルの実咲凜音は、気さくな温かさと、やはり元宝塚の娘役らしい凜とした気品が共にあるのが魅力的だ。

清水くるみ

清水くるみ

ハリエットに憧れ、文章を書くことを目指しやがて作家になっていくルーシー・ラーコムの清水くるみは、にこやかな笑顔を弾けさせる。どの女性たちにも言えることなのだが、役柄が劇中でどんどん成長していくだけに、屈託のない笑顔が出発点になるルーシー役が清水にピッタリと合う。

石田ニコル

石田ニコル

白馬の王子様が現れて、幸福な結婚によって新たな人生の扉が開かれることを目指して、向上心にあふれ自分磨きに余念のないマーシャの石田ニコルは、極シンプルな白のカットソー姿だからこそ美しさが更に引き立ち、この時代だけとは括れない、乙女の永遠の気持ちを素直に納得させてくれる。

原田優一

原田優一

そんなファクトリー・ガールズを雇用する側である、紡績工場のオーナー、アボット・ローレンスの原田優一は、紹介されて即座に列から離れ、正面から挨拶をする姿が一同の微笑ましい笑いを誘い、一気に場の空気を掌握するのが原田ならでは。

平野良

平野良

労働新聞「ボイス・オブ・インダストリート」のライター、シェイマスの平野良は、男性に比べて賃金が半分に抑えられていた女性工員たちよりも、さらに安い賃金で働かざるを得ない移民たちの人権を守ろうとする役柄が持つ鋭さを表わしていた扮装写真とは打って変わった、柔らかい雰囲気が印象的。

猪塚健太

猪塚健太

ハリエットこそ自分の妻に相応しいとアプローチし、州議会議員の叔父について学んでいるベンジャミン・カーチスの猪塚健太も、くっきりとした顔立ちからどこかはにかんだような優しい笑顔で挨拶し、劇中その動向が大きなカギとなる人物造形への期待を膨らませる。

青野紗穂

青野紗穂

さらにファクトリー・ガールズの仲間たち、へプサベスの青野紗穂は、マーシャに共通する夢を持ちながら、より現実的な選択をしていく強さのある女性像を演じるに相応しい押し出しがある。

谷口ゆうな

谷口ゆうな

不器用だが優しい心根を持ち、何事にも根気強く歌の上手いグレイディーズの谷口ゆうなは、舞台で常に視線を集める存在感が、おっとりと柔らかい持ち味から生まれることが伝わってくる。

能條愛未

能條愛未

それぞれに様々な事情を抱え、自ら働くことで人生を掴みなおそうとしているファクトリー・ガールズの中でも、ひたむきさが胸にしみるフローリアの能條愛未の佇まいにも、役柄に相応しい静けさがある。

戸井勝海

戸井勝海

ファクトリー・ガールズを生産効率をあげる安価な駒と考えるウィリアム・スクーラーの戸井勝海は、稽古初日に喉の調子が整っていないことを陳謝しながら、マスク越しにもそこに笑顔があることを十二分に伝わる人柄で魅了する。こういう人が主人公たちに立ちふさがる役柄をクールに演じるからこそ、作品に大きな力を与えるのだと感じさせた。

剣幸

剣幸

そして、作品の語り部であるオールドルーシー(40年後のルーシー)と、サラが暮らすことになる6番寮の寮母でルーシーの母・ラーコム夫人を二役で演じる剣幸は、このカンパニー全体の母とも言える存在。あくまでもゆったりとしていつつ、意欲の漲る表情が頼もしくも美しい。

板垣恭一

板垣恭一

大崎聖二

大崎聖二

そこから個性豊かなアンサンブルキャストの面々、さらにこの物語の脚本を書き下ろし、演出を担当する板垣恭一、音楽監督の大崎聖二をはじめ、様々なセクションのスタッフ、関係者の紹介が次々と進み、拍手、拍手の中で顔合わせは終了。キャストたちが丸くなる形にセッティングがチェンジされ、ミュージカルナンバーもすべて入れた本読み稽古がはじまる。

だが、歌と台詞のきっかけ、この間奏の間に台詞がすべて入るか? など、本読みに入る前の各ナンバーと台本のつながりを1幕、2幕と説明していくだけで50分近い時間がかかり、全く新たに生み出されるミュージカルの立ち上げにかかる、途方もない労力が早くも感じられる。こうした一つひとつの地道な作業が、世界初演のミュージカルの創造を支えてゆくのだ。

(左から)ソニン、清水くるみ

(左から)ソニン、清水くるみ

そのままはじまった本読みは、ここに至る歌稽古が如何に真剣に重ねられたかがわかる、キャストの迫力ある歌声が稽古場を満たす中で続いていく。主演の柚希と、ソニンのデュエットにすでにドラマがあり、ストーリー・テラーとして客席に軽妙に語り掛ける剣の台詞術も光る。

台本のト書きを板垣が朗読していく姿にも飄々とした明るさがあり、打ち合わせたミュージカルナンバーの入りのきっかけを示す大崎の指揮もパワフルだ。

板垣恭一

板垣恭一


大崎聖二

大崎聖二

特に、それぞれのキャストの個性が役柄に反映されているのも、書き下ろしのミュージカルの良さを感じさせるし、それぞれが役柄をすでに深く理解し、つきつめているのが初読み合わせとは思えない醍醐味を生み出す。中でも振り幅が大きく、思いきりよく役にダイブしていく原田が、座って読み合わせをしているだけだとはとても思えない、役が生きて動いている様をすでに存分に想起させていて、キャスト・スタッフから度々爆笑が。この稽古場のムードメーカーになるのが確実な原田がいることによって、ファクトリー・ガールズたちに辛い労働を強いている側の人間に軽さを与え、作品全体のエンターテインメント色を確実に濃くしていくことが感じられた。

そのエンターテインメント性という部分では、思いもかけない場面から意外なショーアップがはじまるといった、様々な仕掛けがあり「正直でありつつ、伝え方を工夫する。それが表現というものよ」というハリエットの台詞そのままに、作品がテーマ性を持ちつつ、ミュージカルの楽しさをいっぱいに抱えていることが伝わってきた。

クレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニ―の楽曲の多彩さと共に、A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』本格始動のワクワク感に満ちた1日だった。

公演情報

A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』
音楽/詞:クレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニー
日本版脚本・演出:板垣恭一
 
出演者:
柚希礼音 ソニン
実咲凜音 清水くるみ 石田ニコル
原田優一 平野 良 猪塚健太
青野紗穂 谷口ゆうな 能條愛未
戸井勝海 剣 幸 他
 
<東京公演>
日程・劇場:2019年9月25日(水)~10月9日(水) TBS赤坂ACTシアター 
 
【東京公演・チケット料金】
S席12,500円 / A席10,000円 / B席8,500円 (税込・全席指定)
※未就学児童の入場はご遠慮頂いております。
※車いすでご来場予定のお客様は、予めご購入公演日時・座席番号をイープラスへお知らせください。
  
【東京公演・チケットに関するお問合せ】
イープラス 0570-06-9919(10:00~18:00)
主催:アミューズ/イープラス
 
<大阪公演>
日程・劇場:2019年10月25日(金)~10月27日(日) 梅田芸術劇場メインホール
 
【大阪公演・チケット料金】
S席12,500円 / A席10,000円 / B席8,500円 (税込・全席指定)
※未就学児童の入場はご遠慮頂いております。
※車いすでご来場予定のお客様は、予めご購入公演日時・座席番号をキョードーインフォメーションへお知らせください。
 
【大阪公演・チケットに関するお問合せ】
キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10:00~18:00)
主催:キョードーグループ
 
企画・製作:アミューズ
 
■公演に関するお問い合わせ
アミューズ チアリングハウス03-5457-3476(祝日を除く月~金15:00~18:30)
■オフィシャルサイト
http://musical-fg.com
■オフィシャルツイッター
@factorygirlsjp
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