Sexy Zone菊池風磨の第一印象は「ジャニーズなのにキラキラしていなかった!」と森新太郎が笑顔 舞台『ハムレット』フォトコール&会見
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(左から)森新太郎、南沢奈央、菊池風磨、安蘭けい、大谷亮介
ジャニーズの人気グループSexy Zoneの菊池風磨が主演を務める舞台『HAMLET-ハムレット-』のフォトコール(芝居の一部公開)が、9月8日(日)東京グローブ座にて行われた。※本公演は同日18:00から初日を迎える予定だったが、大型台風の接近に伴い残念ながら中止が決定した。
本作は、戯曲ができてから400年余り経った現在に至っても世界中で毎年のように上演されている、言わずと知れた不朽の名作。主要な登場人物全員が最終的に死んでしまう、シェイクスピア悲劇の最高峰“デンマーク王子、ハムレットの悲劇”に挑む菊池は、本作が舞台単独初主演かつ初めてストレートプレイに挑戦することとなる。また、本作の演出は、卓越した演出力で高い評価を得ている森新太郎が務めることとなった。
この日のフォトコールでは1幕の二場から五場までの40分が披露された。前3列を削るほどの大きな盆舞台が設置された変形ステージ。ファンファーレと共に照明が付くと、ステージ下手の階段に腰を下ろして本を読むハムレットと、彼の叔父クローディアス(大谷亮介)と彼の母ガートルード(安蘭けい)を取り囲むようにコーネリアス(花王おさむ)ら重臣たち、ボローニアス(大鷹明良)、レアティーズ(章平)が座っていた。ステージがゆっくりと回る中、クローディアスはハムレットの父であり先王亡き後、ガートルードを妻に迎えると発表する。
父の死と母の早すぎる再婚に狼狽するハムレットだったが、そんな彼のもとに親友ホレイショー(宮崎秋人)が「先王に似ている亡霊が城壁に現れた」と知らせに来る。自ら真偽を確かめようと出かけたハムレットの前に現れた亡霊はまさに父の霊であり、「自分はクローディアスに毒殺された」と告げる。その言葉を聴いたハムレットは復讐を決意し、狂気を装い機会を伺うことに。
彼の変貌ぶりに周囲は驚くがボローニアスは娘・オフィーリア(南沢奈央)への実らぬ恋が原因だと言うのだった―。
菊池はシェイクスピア独特の難解な台詞をしっかりと自分の物にして、復讐に燃える若き王子ハムレット役を誠実にそして熱く演じていた。声色や顔、目のふとした動きで今ハムレットが何を考えているのか、何を決意したのかも手に取るように伝えてくる菊池。この日を迎えるまでにどれだけ緻密な稽古をしていたのかがうかがえるものだった。
そんな彼を役としても支える宮崎の頼もしい存在感、またハムレットに、信頼を寄せている南沢の透明感溢れる演技も見どころ。この後どのような変化を見せていくのか楽しみだった。
フォトコール後に行われた囲み会見には菊池、南沢、安蘭、大谷と森が出席した。
菊池風磨
菊池はまだこの時点では青空が広がる外に目をやりつつ、「夜に台風が来るということでお客さまの事も心配。安全を第一に考えて、今協議中なんですよね」とお客様ファーストの姿勢を見せる。が、「一筋縄ではやらせてくれないのがハムレットだなと」と笑顔も見せ「ですよね?」と突然、森に話を振る。突然のパスにやや狼狽した森だったが「台風より激しいものが吹き荒れる事でしょう。彼の心の中で」と見事な返しをしていた。
本作のオファーを受けた時、菊池は「完全に伝達ミスだと思ったんですよ。僕じゃないと。(中山)“優馬”と“風磨”を間違えてたんじゃないかと3回くらい確認したんですけど、何回確認しても“風磨”だった」と笑いを交えつつ話し出す。いつ頃から実感がわいたのか、という質問に「立ち稽古に入ったくらいから。もう逃げられないんだなと(笑)。それだけ重圧もありましたし、思ってもいなかったですね。(事務所の)先輩方、役者の先輩方も『ハムレットを一度やってみたい』とよく聞いていたので、僕はもうちょっと経験を積み重ねていった時に、ハムレットをやりたくなるものなんだと思っていました。『ハムレットをやりたい』と言えるようになったら(舞台スキルが)レベルアップしたのかなという指標として見ていたので。まさか、まだやりたいとも思ってもない時から……青天の霹靂ですね」と正直な想いを口にした。
森新太郎
森の演出指導の厳しさに話が及ぶと「厳しいですよ~この後も稽古があるんです」と菊池。森は「フォトコールをやったらいろいろと見えてきて(笑)」と笑顔でダメ出し。そんな森に菊池は「昨日言っていた事と180°違う事を言う事があるんです」と突っ込むと南沢たちも思わず笑い出す。「ジャニーさんに近い。懐かしい感じがしました。ジャニーズJr.の時に理不尽な事で怒られていた事を思い出し……あ、森さんが理不尽という事ではないですが(笑)、その場その場で変えることには慣れてるので、楽しくできましたね。変えた分だけよくなっているし楽しめました」とニッコリ。とはいえ「自分の実感で良かったところを(森からも)『さっきのところは良かった』って言われると……抱かれてもいいかな? って」と菊池がいうと一同大爆笑。その言葉に森も「抱いてもいいよ」と返してさらに笑いが起きる。
森としては菊池が初めてのストレートプレイで『ハムレット』に挑戦する事について「本当に大変でした。僕のひと夏を返してほしいくらい」と笑わせるが「でも彼は上に行くしかないし、今日のフォトコールでもまた上に伸びていた」と伸びしろを褒めた。
森は、初めて菊池が自身の芝居(『プラトーノフ』)を観に来た時の印象が最悪だったと語り出す。「うつろな目線で挨拶され、芝居の感想も何も言わなかったので(一緒にやるのは)無理だと思った」と振り返ると、菊池が手を叩きながら大笑い。菊池は「実はその舞台を観に行った時、あらすじは把握していったんですが、(劇中の)言葉が全然分からなくて、お客さんが笑っている場面でも何で笑っているのか分からなくて、周りに合わせて笑っていたんです。これでは『ハムレット』なんてできない! と屍のようになって森さんのところに挨拶しに行ったんです」とうつろな目線の理由を解説。その時の様子を森は改めて「全然キラキラしてなかった。ジャニーズなのに(笑)。稽古序盤もキラキラしてなかったが今ようやくキラキラしてきた」と言い、「本番が始まったらどれだけキラキラするのか」と期待をかけていた。
南沢奈央
南沢はオフィーリア役を「いつかはやってみたかった。森さんの演出でやらせていただき、試行錯誤しながらやってきた。本番を通して成長していきたい」と語る。そんな南沢から見ても菊池の成長ぶりは目を見張るものがあったそうで「日々ハムレットが変わっていく。どんどんかっこよくなっていくのでドキドキしました」と言うと隣で恥ずかしそうにうつむく菊池。「難しい台詞も心から言っている、サマになっていた」と南沢が菊池を見上げながら話すと「そんな真っ直ぐ見つめられると~」と照れくさそうにしていた菊池だった。
安蘭けい
安蘭も最初の頃は菊池を「大丈夫かなあ? と思いながら観ていました。だって初舞台で『ハムレット』ってハードル高いしプレッシャーもあるし。この人はプレッシャーに打ち勝てるのかと心配していたんですが、奈央ちゃんが言う通り日々成長していったので森さんにちゃんとお礼を言いなさいね」と“母親”として言うと「承知しました(笑)」と突然ジェントルぶる菊池。
大谷亮介
大谷は菊池の芝居の話よりも、菊池が差し入れした梨に心を奪われたようで「あんなに美味しい梨は初めてですよ。生まれて初めて食べた」と絶賛。「差し入れ奉行ですよ!」と菊池も乗っかって笑っていた。「僕はハムレットと敵対する役なんですが幕が開く直前になると立派になっていた。安心したと共に僕らもしっかりしないとな」とベテランとして気を引き締めていた。
芝居中にはフェンシングをする場面もある。「真夏の体育館でフェンシングの稽古をしたんですが、床がビシャビシャになるくらい汗かいて」と話す菊池に森が突然思い出したかのように! 「最初に左利きだと言えばよかったのにその事を言わないで右手で全部覚えちゃったんですよ!」と語り出す。取材陣にも驚きが広がる中「僕の都合で左利き用にしてもらえるとは思っていなかったんで。ほら、ゴルフでも左利きの人が右利き用で打つって聴いた事があるし」と“遠慮の塊”で菊池はあえて大変なやり方で覚えてしまったと苦笑いしながら語っていた。ただ、「オフィーリアとキスをしそうになる場面があって、その時も右手を添えてやろうとしたら、森さんが『左手でやればいいだろう』って突っ込んできて。でもそこは別にどっちでもいいんじゃないか?」と菊池がボヤく。すると「結局その場面ごとなくなっちゃったけどね」と森が明かし、またまた大笑いとなっていた。
こんな笑顔が何度も飛び出す会見でした!
菊池の舞台への出演に対しメンバーの反応を聞かれると「びっくりしていました。3度聴きするくらいされた。中島(健人)も興奮していたし、マリウス(葉)は生粋の宝塚ファンなので、僕の事よりも『安蘭さんと一緒なんだぁ!』って身震いしてました(笑)。(佐藤)勝利も、同じ時期にドラマや映画を撮っていたりするので、お互い頑張ろうと話をしていました」と話す。ちなみに中島は観に来るとの事。「お互い刺激を与え合えたらな」と意気込んだ。
なお、4時間もの上演時間となる本作をジャニーさんにも観てもらいたかったか、との質問には「観に来なかったと思います。『長いよ!』って(笑)。だから今の方が観てくれているんじゃないかな」と空を見上げるように話した菊池。最後に「この舞台を駆け抜けた時、何が見えるのか楽しみです」と語っていた。
取材・文・撮影=こむらさき