ロシアの名門ミハイロフスキー劇場バレエが4年ぶりに来日 ドゥアト版『眠りの森の美女』とフランス革命を題材にした『パリの炎』は強力ラインナップ!

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2019.10.21
ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

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2019年も残すところ2カ月余りとなったが、今年のバレエのハイライトのひとつになること必定の公演が控えている。ミハイロフスキー劇場バレエの来日公演だ。11月21日(木)~24日(日)東京文化会館で上演されるナチョ・ドゥアト振付『眠りの森の美女』とミハイル・メッセレル改訂振付『パリの炎』は共に日本初演となり見ものである。

当代随一の名匠ドゥアトが吹き込んだ新風

ミハイロフスキー劇場バレエはロシアのサンクトペテルブルクを拠点とする名門で、日本では「レニングラード国立バレエ」として1981年~2012年まで毎年来日し広く親しまれてきた。ロシア・バレエならではの優美なスタイルに貫かれ、主役やソリストだけでなくコール・ド・バレエ(群舞)の隅々に至るまでの一体感に定評がある。2009年にはスペイン出身の名振付家ナチョ・ドゥアトが芸術監督に就任し(2014年まで務め2019年に復帰)、古典バレエのみならず新たな作品を開拓して世界的に注目度を高めているのは周知の通り。このたびは2016年1月以来約4年ぶり待望の来日であることに加え、魅惑的なレパートリーを披露するので胸躍る。

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

美麗なドゥアト版『眠りの森の美女』

ドゥアト振付『眠りの森の美女』(2011年初演)は古典バレエの最高峰を新たな装いで魅せる話題作。チャイコフスキーの音楽とプティパの原振付を踏まえながらダンスシーンを増やしテンポよく進める。主人公のオーロラ姫の成長そして善と悪の対立をしっかりと描き、アンジェリーナ・アトラジックによる幻想的な舞台美術、洗練された衣裳も相まってドラマティックで美しい舞台に浸ることができるだろう。

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠れる森の美女』

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠れる森の美女』

オーロラ姫は日本でも人気が高いイリーナ・ぺレン、たおやかな演技が魅力のアナスタシア・ソボレワ、今や劇場を担う実力派アンジェリーナ・ヴァオロンツォーワが競演し、さらに悪の妖精カラボスをレジェンド・ダンサーのファルフ・ルジマトフ(ゲスト)が全公演に登板する。

ドゥアトは長らくスペイン国立ダンスカンパニーを率い、ベルリン国立バレエ団の芸術監督も務めたが、音楽性豊かな動きで語る振付に深みがあり、現代最高の振付家のひとり。名匠がミハイロフスキー劇場のダンサーたちと共に創り再演を重ねる『眠りの森の美女』の日本初演に期待が高まる。

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』

よみがえった一大巨編『パリの炎』

『パリの炎』は1932年にワシリー・ワイノーネンがアサフィエフの音楽に振付した全幕バレエで、フランス革命を題材に民衆が蜂起する姿を描く。ガラ・コンサートで主役のグラン・パ・ド・ドゥに接する機会はあるが全幕上演は限られる。キャラクター・ダンスも豊富なのでダンサーの層が厚い団でなければ上演できない演目だ。

ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』

ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』

2013年に改訂振付を手がけたメッセレルは2009年からミハイロフスキー劇場バレエのバレエマスターを務め、芸術監督を経てゲストプリンシパルバレエマスターの任にある。名門バレエ一家に育ったメッセレルはワイノーネン版を実際に見ており、映像や資料、関係者の証言にもあたって復刻した。

主人公のジャンヌとフィリップを、アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ&イワン・ザイツェフ、オクサーナ・ボンダレワ(ゲスト)&ジュリアン・マッケイが競演する。またぺレンが全公演でミレイユ役として出演。要注目は日本初登場のマッケイである。アメリカ出身の弱冠21歳の麗しの王子様は近年主役・ソリスト役として活躍中。SNSのフォロワーも多く発信力がありブレイク必至だ。

ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』

ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』

活気あふれるカンパニーから目が離せない

ドゥアトは今秋ミハイロフスキー劇場バレエで『ラ・バヤデール』を新制作し話題を呼んだばかりで、今後もバレエ界をリードしていくだろう。いっぽうメッセレルはロシア・バレエの伝統を継ぎ、クラシック・バレエを踊れるカンパニーの基盤を固めてきた。来日する2演目には両者それぞれの資質が現れているが、共にバレエ団の看板作品で、踊りの見応え満点。活況を呈するミハイロフスキー劇場バレエによる美と迫力にあふれた舞台を堪能したい。

2019年11月来日「ミハイロフスキー劇場バレエ」PV

文=高橋森彦

公演情報

ミハイロフスキー劇場バレエ
『パリの炎』
全3幕 作曲:B.アサフィエフ 振付:V.ワイノーネン/改定振付:M.メッセレル
 

■日程:2019年11月21日(木)15:30/19:30
■会場:東京文化会館 大ホール
■料金:
[15:30]
SS席22,000円 S席20,000円 A席17,000円 B席14,000円 C席 10,000円 D席7,000円
[19:30]
SS席24,000円 S席22,000円 A席19,000円 B席16,000円 C席12,000円 D席9,000円
 
■予定出演者:
[15:30]
ソリスト:アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、イワン・ザイツェフ、イリーナ・ペレン、ヴィクトル・レベデフ ほか
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
 
[19:30]
ソリスト:オクサーナ・ボンダレワ(ゲスト)、ジュリアン・マッケイ、イリーナ・ペレン、ヴィクトル・レベデフ ほか
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー

■詳細 https://www.koransha.com/ballet/mikhailovsky_ballet2019/
■問合せ 光藍社センター 050-3776-6184

公演情報

ミハイロフスキー劇場バレエ
『眠りの森の美女』

全3幕プロローグ付 作曲:P.チャイコフスキー 振付:N.ドゥアト
 
■日程:2019年11月23日(土・祝)17:00・24日(日)11:30/16:00
■会場:東京文化会館 大ホール
■料金:SS席24,000円 S席22,000円 A席19,000円 B席16,000円 C席12,000円 D席9,000円

■予定出演者:
・11/23(土)17:00公演
ソリスト:イリーナ・ペレン、ヴィクトル・レベデフ、ファルフ・ルジマトフ(ゲスト) ほか
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
 
・11/24(日)11:30公演
ソリスト:アナスタシア・ソボレワ、ヴィクトル・レベデフ、ファルフ・ルジマトフ(ゲスト) ほか
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
 
・11/24(日)16:00公演
ソリスト:アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、イワン・ザイツェフ、ファルフ・ルジマトフ(ゲスト) ほか
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
問合せ 光藍社センター 050-3776-6184
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