本年度アカデミー賞にノミネート! いま世界で最も旬なアーティスト、シンシア・エリヴォが間もなく来日~マシュー・モリソン、三浦春馬をゲストに迎えミュージカル・コンサート開催
(左から)シンシア・エリヴォ、マシュー・モリソン、三浦春馬
ここ数年、海外のミュージカルシーンで活躍するトップスターたちが日本でソロコンサートを開催する機会が増え、とても喜ばしい。と同時に、その流れが今後ますます活発化してほしいと願ってやまない。耳/目の肥えた演劇ファンや関係者をうならせる抜群の歌声はもちろん、舞台で演じた役の名ナンバーから「あ、こんな曲も歌えるんだ!」という嬉しい驚きを与えてくれるお楽しみ楽曲までニクい選曲眼で魅せるセットリスト、さらに曲と曲の合間のMCで垣間見せる当人の素の部分など、耳や目、そして心が満たされる極上の時間を通し、いつしかその人の才能やパーソナリティにすっかり魅了されてしまう。そんなコンサートに今年もいくつ出会えるだろう?と期待で胸を膨らませてしまう。今年は“2020年”という節目の年。その新たな“Decade(10年)”の先陣を切るのにふさわしい人物が年明け早々、日本でソロコンサートを行うという。そう、あのシンシア・エリヴォがやって来るのだ!(2020年1月16日・17日、東京国際フォーラムホールA)
忘れもしない2016年の4月某日。NY・ブロードウェイのバーナード・B・ジェイコブス劇場で観たミュージカル『カラーパープル』。奴隷のような生活を強いられる薄幸の女性セリーが一人の人として自立していくさまを描いた同作で、セリーを演じていたのがエリヴォだ。その体当たり演技とパワフルかつ情感たっぷりの歌声に何度心を揺さぶられ、涙腺を崩壊させられたか……。特に、さまざまな困難を経験したヒロインが最後に「あるがままの自分が愛しい」「私は美しい」と歌う、同作の最大のナンバー「I'm Here」。約152cmという小柄な身体からは想像できないほどの圧倒的な存在感で、劇空間を掌握していた。彼女が歌い上げた直後、余韻を味わうかのような一瞬の静寂をおき、客席がどっと沸きに沸いたのを今でも鮮明に覚えている。あの場で得た衝撃と感動は、20年にわたる筆者のブロードウェイ観劇人生においてもかなりスペシャルなものだったといえる。
ウエストエンド公演でのエリヴォに関する好評を数々目にし、かなりハードルを上げて劇場に向かったのだが、彼女はそんなハードルを軽々と飛び越えていった。とにかく圧巻のパフォーマンスだった。ちなみにこのセリー役で鮮烈なブロードウェイ・デビューを飾ったエリヴォは、同年のトニー賞でジェシー・ミューラー(『ウェイトレス』)やローラ・ベナンティ(『シー・ラヴズ・ミー』)らを抑え、見事最優秀主演女優賞を獲得。2017年には『カラーパープル』のキャスト盤CDでグラミー賞を受賞している。
『カラーパープル』以後、ミュージカルの出演作が途絶えているエリヴォだが、2017年にはラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲス、城田優といった人気俳優たちと共演したスペシャルショー『4Stars2017』で初来日。前述の「I’m Here」などで持ち前の歌声を披露しつつ、MC部分では気さくでちゃめっ気ある表情も見せ、多くの観客を魅了した。また今年11月に全米公開された伝記映画「ハリエット」(日本では3月に公開予定)で激動の人生を歩んだ奴隷解放運動家ハリエット・タブマンを熱演し、第92回アカデミー賞主演女優賞にノミネート。同作では主題歌「Stand Up」(アカデミー賞歌曲賞にノミネート)のボーカルを務めるなど、大きな注目が集まっている。
そんな中で行われるソロコンサートである。現時点で発表されているセットリストには、「I'm Here」や「Stand Up」といった彼女の持ち歌はもちろん、「Don't Cry for Me Argentina」(『エビータ』より)や「Don't Rain On My Parade」(『ファニー・ガール』より)といった往年のミュージカルソングから「クイーン・オブ・ソウル」の呼び名を持つアレサ・フランクリンの代表曲「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」まで、緩急織り交ぜた彩り豊かな選曲だ。シンガー、シンシア・エリヴォの真髄を存分に堪能できることだろう。
さらに今回、スペシャルゲストとしてマシュー・モリソンと三浦春馬が共演! モリソンはブレイクのきっかけとなったブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』からのノリノリのナンバー「You Can't Stop the Beat」やシュー先生という当たり役を得たTVドラマ「glee/グリー」の人気曲「Don't Stop Believin'」を。対する三浦も出演作『キンキーブーツ』から感動のナンバー「Not My Father's Son」の英語歌唱や3月に出演を控える『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』からの楽曲を披露するという。それぞれのソロはもちろん、デュエットや3人そろってのパフォーマンスなど1曲1曲、余すところなく楽しませてくれそうだ。
新年早々、豪華3人の競演を目の当たりにできるとは……幸先良すぎでは? 今から開幕が待ちきれない。
【動画】『シンシア・エリヴォ ミュージカルコンサート featuring マシュー・モリソン&三浦春馬』15秒スポット
文=兵藤あおみ