森 公美子のデロリスにまた会える! ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』ゲネプロ&囲み取材レポート

レポート
舞台
2026.3.26
ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

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ミュージカル『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』が、2026年3月25日(水)に明治座で開幕。これに先駆けて前日に公開ゲネプロが行われた。主人公は、ひょんなことからギャングに追われ、修道院に匿われることになったクラブ歌手のデロリス。Wキャストで、森 公美子と彩風咲奈が演じる。森は、2014年の帝国劇場での日本初演以来、デロリスを演じ続けてきた。彩風は、宝塚歌劇団退団後初のミュージカル出演となる。森出演回のゲネプロのレポートとともに、ふたりが揃った囲み取材のコメントをお届けする。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

■70年代ディスコブームに沸くフィラデルフィア

演奏にのって手拍子とともに幕が開くと、森 公美子のデロリスが登場。圧倒的な歌唱力とゴージャスなパフォーマンスで、客席の心をつかむ。ミュージカル化にあたり、時代設定は原作映画よりも遡り、1970年代後半のフィラデルフィアへ。ミラーボールがきらめく中、「天国へ行かせて」が響きわたると、明治座はフィラデルフィアのナイトクラブに変わった。

作曲は、『リトル・マーメイド』、『美女と野獣』、『アラジン』など、ディズニー映画の音楽で知られるアラン・メンケン。ディスコ、ゴスペルやソウルなど多彩な要素が、ブロードウェイミュージカルらしい、オリジナル楽曲の中に織り込まれている。

■個性的なシスター、ギャング、クラブ歌手

デロリスは、同級生で警察官のエディのはからいで、修道院に身を寄せることに。そこでは厳しい規律の中で、シスターたちが幸せに暮らしていた。意に反して修道院に連れてこられたデロリスは、ド派手な服を禁じられシスターの服へ。

思えばだいぶ気の毒な境遇だが、彼女の天真爛漫で明るい性格は変わらない。歌への思いも変わらない。芯の強さは、修道院には厄介なものかもしれない。しかし森が演じるデロリスが、悪意なく規律からはみ出してしまうたび、その奔放さがたまらなくチャーミングで、つい頬が緩むのだった。

修道院長役は、鳳 蘭。森とともに、初演以来この役を演じ続けてきた。美術館の宗教画から抜け出てきたかのような佇まいと、切実な歌声が、敬虔さと品格を醸し出す。デロリスへの厳しさも、決して意地悪ではないのだと感じさせる。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

森は、後述の会見で、鳳のことが「大好きすぎて」、「そばにいられるだけで幸せ」だと語っていた。「『今度は、こうやろうと思うんだけど』と、本当に毎回違う新しい修道院長」を模索する鳳への、敬意を熱く語っていた。デロリスと対峙すると、どうしても調子を狂わされる修道院長。それでも鳳の修道院長は、品格を微塵も損なうことなく、さらにはコミカルな掛け合いで何度も客席の笑いをさらっていた。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

そんな修道院のシスターたちは、同じ格好に控え目なメイクでありながら、それぞれに個性的な魅力を放つ。ミラーボールの光を天使だと信じる、見習いシスターのメアリー・ロバート(梅田彩佳)は、あなたの方こそ天使だよ、と言いたくなる清らかさ。小さな体のすべてを使った真っすぐな歌声に胸をうたれた。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』(森 公美子ver.ゲネプロより)

メアリー・パトリック(柳本奈都子)は、シスターのベールでは覆いきれない無垢な好奇心とハッピーなオーラが溢れていた。メアリー・ラザールス(保坂知寿)は、キャラクターをブラすことなく大変身していく姿が、真面目なまま可笑しかった。彼女たちの真っさらな心と真摯さにデロリスの歌が響き、聖歌隊はぐんぐん成長していく。その変化の波に、オハラ神父(太川陽介)は遅れをとるどころかノリノリ。気づけば先陣をきって楽しんでいた。

石井一孝の警官エディは、正義感も恋心もコンプレックスも抱え込みながら、奮闘する。「いつか、あいつになってやる」では、不器用なダンスが石井の歌声に彩られ、エディの真面目でやさしい人柄を引き出すようだった。

本作の不穏さを一手に引き受けるのが、ギャングのボス・カーティスだ。血も涙もない言動のオンパレードで近づきたくない人間性。しかし松村雄基が、その危険な香りを色気に変えて、目が離せない魅力をギラつかせる。

その子分に、岡田亮輔、施 鐘泰、山崎大輝。ギャングとしての仕事ぶりはやや頼りないが、劇中のサスペンスやバイオレンスの要素を程よくコメディに馴染ませる。そして歌とダンスでは、客席を大いに巻き込む活躍をみせた。

話の筋だけを追えば、極めてシンプルだ。その中で物語を深めるのは、登場人物たちの「弱さ」。あれほど力強い歌を聞かせながらも、恋人のカーティスには強く出られないデロリス。学生時代から「汗っかきエディ」と呼ばれ、コンプレックスゆえの消極的な性格のエディ。デロリスとの出会いをきっかけに、自分の知らない「外」の世界があると知ったメアリー・ロバート。珠玉のナンバーに彩られ描かれるそれぞれの変化が、観る者に、一歩踏み出す勇気を与える。

■囲み取材コメント

ゲネプロの前に行われた囲み取材には、森と彩風、2人のデロリスが揃った。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

6度目の出演となる森は、今の心境について「怖い」と率直な思いを口にした。「今回は久々に怖いです。もう6回目なので、ストーリーは分かっています。でも、そのせいで自分の演技が、予定調和になっていないか。初めて起こる出来事として、新鮮な気持ちでそれを受け止められているか。常に戒めがあります」。

森の経験を重ねたからこその緊張感とは対照的に、初のミュージカルとなる彩風は、「まだ何が怖いのかも分かりません。緊張がくるのも、これからだと思います。そういう意味で、ふわふわしていきます」と、実感が追いつかない心境を真っすぐな言葉で語った。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』囲み取材より(左から)森 公美子、彩風咲奈

稽古は、彩風にとって「学びの連続」だったとふり返る。「ソウルフルでハートフル」な森のデロリスに、「私も勇気とパワーをいただきながら、色々なことを発見できた日々でした」。男役トップスターだった彩風ならではの"癖”として、抱きつくべき場面で相手を迎えてしまったり、一歩が大きすぎると指摘を受けたり、エピソードを苦笑いで明かした。

また、彩風にとって、稽古場でアイデアやフィードバックをもらいながら役を作れる過程は、「本当にありがたくて、幸せ」だったという。森もまた、彩風との稽古から学ぶことがあったと語る。また、森が差し入れる手作り料理の話題もはずみ、ラザニア、ボルシチなどが彩風のお気に入りだったことも語られた。風通しの良い稽古場の空気をうかがわせた。

森は、前回の公演で、デロリス役を卒業するつもりだった。

「『シスター・アクト』をやらせていただいて良かったなと思いながら、(自分が演じるのは)終わりにする予定でした。でも、すぐ後に明治座での公演のお話をうかがいまして。私は、明治座という劇場が大好きなんです。『明治座、いいな…。ええっと…ええっと…』と思っているうちに、やらせていただくことになりました。これが本当に最後です!」。

そして森は、「最後に咲ちゃんという素晴らしい女優さんに出会えて、本当にうれしい」と彩風に目を向けた。彩風が目に涙を浮かべていた。

彩風は、「この作品には、受け継がれてきたものと新しい挑戦の素晴らしい融合を感じます。新しい風を吹かせられるように。でも、これまでのものも大切にしたい」と作品への思いを語る。そのうえで、「重圧を感じるのではなく、自分のデロリスをつくっていけたら」と前を向く。

最後に彩風は、「幸せな気持ちになったり胸が熱くなって涙が出たり。感情にかき回される作品です。お客様が色んなことを感じていただき、楽しんでいただけたら」と呼びかけた。森は『シスター・アクト』が本公演期間中に300回記念を迎えることに触れ、「300回と言わず、600回、1000回と、これからも続いていってほしい」と作品への強い愛情を滲ませた。

クライマックスでは、スパンコールをびっしりとあしらった修道服姿のシスターたちが照明を受け、場内は色彩と音と多幸感に包まれる。客席の拍手は、舞台上のキャストはもちろん、観客同士お互いを祝福するような一体感を産んでいた。心が満たされ、心が歌い、踊る『シスター・アクト』だった。

森のからだには歌がつまっているに違いない。そう思わずにいられないほど、終始エネルギッシュであり、そして歌に血が通っていた。

デロリスが周囲を変え、同時に自身も変わっていく物語。

デロリス役が変われば、舞台はまた違った表情を見せてくれるだろう。さらに彩風出演回では、エディ役が廣瀬友祐となる。今度こそ、森のデロリスに会える最後のミサになるかもしれない『天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~』。明治座は、4月21日まで。その後、全国ツアーも予定されている。

取材・文・撮影=塚田史香

公演情報

ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』
 
音楽:アラン・メンケン  歌詞:グレン・スレイター
脚本:シェリ・シュタインケルナー&ビル・シュタインケルナー  追加脚本:ダグラス・カーター・ビーン
原作:タッチストーン・ピクチャーズ映画「天使にラブ・ソングを…」(脚本:ジョセフ・ハワード)
演出:山田和也/鈴木ひがし 
 
キャスト:
森 公美子/彩風咲奈、石井一孝/廣瀬友祐、松村雄基、梅田彩佳、岡田亮輔、施 鐘泰、山崎大輝、柳本奈都子、河合篤子、家塚敦子、保坂知寿、太川陽介、鳳 蘭ほか 

【東京公演】
日程・会場:2026年3月25日(水)~4月21日(火)明治座
公演に関するお問い合わせ
東宝テレザーブ0570-00-7777(ナビダイヤル)
 
は【こちら】から
 
<e+貸切公演>
日程:2026年4月5日(日)
会場:明治座
開演:13:00~
【手数料0円】一般発売
受付期間:2026/1/17(土)11:00~2026/4/5(日)13:00

<e+貸切公演>

日程:2026年4月11日(土)
会場:明治座
開演:13:00~
【手数料0円】一般発売
受付期間:2026/1/17(土)11:00~2026/4/11(土)13:00


貸切公演のは【こちら】から
 

■全国ツアー
【大阪公演】
日程・会場:2026年5月5日(火・祝)~5月7日(木)梅田芸術劇場 メインホール
<お問い合わせ>梅田芸術劇場 TEL:0570-077-039
 
【長野公演】
日程・会場:2026年5月15日(金)~5月16日(土)サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール
<お問い合わせ>NBS長野放送 事業部 TEL:026-227-3000
 
【宮城公演】
日程・会場:2026年5月23日(土)~5月24日(日)仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
<お問い合わせ>仙台放送 事業部 TEL:022⁻268⁻2174
 
【愛知公演】
日程・会場:2026年5月29日(金)~5月31日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
<お問い合わせ>キョードー東海 TEL:052-972-7466
 
※公演詳細は、各地へお問い合わせください。
 

製作:東宝
 
公式サイト https://www.tohostage.com/sister_act/ 
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