シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第六十四沼 『嫌いな食べ物沼!』
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「welcome to THE沼!」
沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
シンセ番長・齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第六十四沼 『食べず嫌い沼!』
私は基本的に食べ物の好き嫌いが無い。
お肉も、魚も、そして野菜も大好きだ。
ただ、2つだけ、どうしても認められない食べ物がある。
その2つの嫌いな食べ物を意識したのは幼稚園生の頃。
ピンク色した甘いやつ。
そう、「桜でんぶ」だ!
桜でんぶは三枚おろしにした魚を茹で、骨や皮を取り除いたあと、水分をとりのぞいてからホイロでもみながらくだきすり鉢でほぐし、鍋に入れ、酒やみりん、そして塩で煎るのだ。
さらに食紅で桜をイメージしたピンク色に染めて出来上がる。
このように、けっこう手間がかかる食べ物だという事がわかるが、ここまでの工程で作られた桜でんぶなら私は好んで食べるだろう。
しかし、一つわすれてはいけない調味料がある。
「砂糖」だ。
酒、みりん、塩だけなら食べられる。しかし、ここに砂糖を入れるとはどういう事だ!!!!!
私にしてみれば、白米に甘いおかずなんてありえないのだ。
チョコレートをオカズにして白米を食べるのと同様の苦しみなのだよ。
もう一つ言わせていただくと、「ピンク色」である必要性は1億%無くて良し!
Wikiペディアによれば、昔の伝説で、京のあたりの貞婦が病気で食の進まない夫のために、土産神の諭しにしたがって、土佐節を粉にして、酒と醤油で味をととのえ供したところ、夫の食欲は進んで病気もなおったという。
なんて素敵な話なんだろう。
でも私なら妻の優しさなど瞬時に忘れ、迷わず吐き出す。
なんと冷たい男だろうと思われるかもしれない。しかし、無理なものは無理なのだ。
残念で仕方ない。
もう一つ、私の最も忌み嫌う食べ物が「グリーンピース」だ!
トロっとした風味の中華丼に乗ったソレは、口に入れると水分を一気に吸収し、口の中がモクモクになる。
百歩譲って豆の風味は許す。しかし、あの口の中がカワカワになる絶望感たるや、大切な友を失った時のような気分にさせられる。
頼むから入れないで欲しい。入れる意味が理解できない。
きっとグリーンピースを入れる理由があるかも知れない。しかし、調べる気も起きないほど嫌いだ。
アムステルダムに本部を構える「グリーンピース」という国際的な環境保護団体では、核兵器や原子力発電廃止を掲げ、海洋生態系の保護などを重点目標に、非暴力直接活動を行っている。
是非、中華丼にグリーンピースを入れないという条約も掲げて欲しい。
私はここで白状する。40年以上、肩に重くのしかかっていた重圧を振り払うために。
実は、ウチの母は桜でんぶを幼稚園の時と中学生の時、かなりの頻度でお弁当によく入れてくれていた。
グリーンピースもたまに入っていた。
それをすべて取り去り、友達にあげてまわっていたのだ。
母さんごめん。
心やさしき私は、その事が今まで言えずにいた。
ありがとうSPICE。
しかし、まだ母にその事実を直接伝える事が出来ていない。
嫌いな桜でんぶとグリーンピースを食べられるように克服するか、母親にすべてを告白するか、
私にとってはとても重要な人生の岐路にたたされているといっても過言ではない一大イベントなのである。
誰か助けてくれ。