「昭和日常博物館」の特別展『昭和モード・型紙型録』~懐かしの空間で見る、昭和の女性ファッション
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『昭和モード・型紙型録』展エントランス
今見てもお洒落! 美しく愛らしい“昭和モード”の世界がここに
昭和30~40年代を中心とした<昭和の暮らし>をテーマとする「北名古屋市歴史民俗資料館(昭和日常博物館)」で、昭和の女性ファッションに焦点をあてた特別展『昭和モード・型紙型録』が開催中だ。
1990年に「師勝町歴史民俗資料館」として開館(2006年の市町村合併に伴い現在の名称に)したここは、’93年に開催された企画展『屋根裏のみかん箱は宝箱』を機に、昭和の暮らしの中で使われてきた日用品の収集・展示をスタート。現在は、昭和30年代の街並みを再現した常設展示とともに、毎回趣向を凝らした企画展や特別展を年に3本行っている。
1・2階の「北名古屋市東図書館」から一変、3階に足を踏み入れた途端、昭和の世界へタイムスリップ!
今年度の特別展は、昭和の衣食住の中から“衣”に着目したものだ。明治以降、日本人のファッションは着物から洋服へと徐々に移り変わり、昭和期に大きく変貌する。特に戦後は、復興のため活動的な衣服が求められたりアメリカ文化が流入したことで洋装化が一気に進むも、既製服の流通がまだ少なかったため洋裁店や各家庭で作られるようになり、洋裁ブームが到来。洋装がすっかり主流となった昭和30年代には、テレビやファッション誌の普及により歌手や女優がファッションリーダーとして注目を集め、服飾関係の雑誌には最新ファッションの写真と型紙が掲載された。洋服づくりに欠かせないミシンは、昭和35年に普及率69.5%、ピーク時の昭和52年には85.3%と、各家庭で大活躍していたのだ。
ミシンで洋裁が行われていた、一般家庭のお茶の間を再現した部屋
『昭和モード・型紙型録』は、こうした時代背景をふまえ、実物の洋服はもちろん「型紙」にもスポットを当て、当時の雑誌をひも解くことによって昭和の最新モードや洋装カルチャーを紹介している。なかでも注目なのが、当時の型紙をもとに実際の1/2サイズで再現した洋服で、洋裁をしていた家庭から集めた古い生地を使って仕立てたコートやワンピースなど、素敵なお出かけ服全25点を展示。絶妙なサイズのレプリカによって見慣れた実用品ではなく作品として鑑賞することで、そのお洒落さを再認識できるはずだ。
サイズは実際の1/2ながら、大人服の美しいシルエットで再現
女性ならいまでも「着てみたい!」と思う服に出会えるかも
1/2レプリカのもととなったモデル写真と型紙も併せて展示
ショーウインドーを模した展示も。こちらは当時の実際の洋服
昭和30年代のファション雑誌も多数展示されている
また、常設展示の充実ぶりもかなりのもので、その中核をなすのは昭和30年代の街並みを再現した空間だ。白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の“三種の神器”が普及し、高度経済成長の流れのなかで日常生活が最も大きく変化したこの頃。駄菓子屋や電器店、理容店、一般家庭の庭先など街を構成する建物から看板、商品や小物に至るまで微細に再現された空間は、実物ならではの存在感と迫力に圧倒される。さらに昭和期64年の間、人々に愛用された日用品の数々もブースごとに細かく分類されてギッシリと並び、見応えたっぷり! 時代の流れとともに失われつつある貴重な資料の数々は、昭和を生きた世代には懐かしく、昭和を知らない世代には新鮮な体験となるはず。
子どもたちの賑やかな声が聞こえてきそうな駄菓子屋さん
昭和の食卓が再現された部屋も
■会期:2015年11月1日(日)~2016年1月31日(日)
■会場:北名古屋市歴史民俗資料館「昭和日常博物館」(愛知県北名古屋市熊之庄御榊53)
■開館時間:9:00~17:00
■休館日:12/7・11~21、12/28~1/4、1/12・18・25
■入館料:無料
■アクセス:名古屋駅から名鉄犬山線で「西春」駅下車、市内循環バス・きたバスで「市役所東庁舎」停下車すぐ
■公式サイト:http://www.city.kitanagoya.lg.jp/rekimin/