池田純矢がエン*ゲキシリーズ第5弾『-4D-imetor』で挑戦する新たな演劇の形ーー「生の舞台だからこそできる体験を味わってほしい」

2020.2.16
インタビュー
舞台

●僕、超能力なんてあるわけねえと思ってるんです●

池田純矢 撮影=福家信哉

続いて個別取材に応じてくれた池田。もう少し詳しく話を聞いてみた。

ーー今作はミステリーあり、イリュージョンあり、マジックありと、情報が多いですね(笑)。

まさにノンストップな感じでいこうかなと。構成としてはシンプルではあるんですよね。小難しいわけではなく、今までのエン*ゲキの中では1番ストレートだと思うので。とはいえ、イリュージョンとかがあるんですけど。その場にいていただけさえすれば、物語が楽しんでいただける作りにはなっていると思います。

ーー謎解きは最後に回収する感じですか?

おそらくそうなりますね。序盤から散りばめられてたいろんな謎が、最後の瞬間に全て解けるといった作りにはなってますけども、あんまり言いすぎるとね、バレちゃうから(笑)。

ーー失礼しました(笑)。謎はご自分で考えられたんですか?

そうですね。脚本書いてる段階で結末は先にできていて、その結末に至るまでの伏線の張り方は細かく調整しつつ書きました。でも、僕は絶対誰も解けない謎ってそんなに好きじゃないんです。結論に至るまでのヒントは全部提示されていて、全て見落としていなければ解ける塩梅のミステリーがちょうどいいなと思っていて。だから物語に没頭していただければ、結論を導く段階でお客さんも一緒に謎解きしていけるんじゃないかと思っています。

ーー10年前のプロットの残骸が元になったとおっしゃっていましたが、そこにひらめきがプラスされて今作が完成した?

はい。当時はイリュージョンだのマジックの要素は全くなく、ざっくり言うと量子力学のベースを使って、四次元超能力世界を紐解くという話だったので。今回新たに加わった要素としては、謎解き、イリュージョン。演劇的に面白いと思う部分を掛け合わせると、意外と元にあったベースの作品とすごく馴染みが良くて。

ーーひらめいた瞬間はあったんですか?

プロットを見つけた段階で、自然とこうなるだろうなとは思ったんですよ。変な話ですけど、「この作品の着地点はここ」って知ってた気がするぐらいの感覚。「これはいけるな」という兆しはありましたね。

池田純矢 撮影=福家信哉

ーーエン*ゲキシリーズ#02の『スター ピープルズ!!』も超能力がたくさん出てくるというストーリーでした。

あれはくだらない超能力でした。興奮すると足の裏からヌルヌルした液体が出る超能力とか、手を叩くと粉が出る超能力とかばかりだったんです(笑)。それと比べると今回はザ・超能力。テレポート、透視、サイコキネシス、そういったものを扱ってるので、テイストとしてはだいぶ違うかなと思います。

ーー昔から超能力がお好きだったと。

僕、超能力なんてあるわけないと思ってるんですが、あるとしたら理屈的に解明できなきゃ嫌だなと思ってるんです。宇宙人論もUMA論も、この世のオカルトと呼ばれるものは全て根拠があるはず。それがファンタジックであれ何であれ、根拠がある方がロマンがあるなと思うので。

ーーイリュージョン監修をされている新子さんのブレインダイブも超能力的ではありますけど、マジックですもんね。

新子さんは「僕は超能力者じゃなくマジシャンです」とおっしゃってますが、「ほんとに超能力じゃないか?」と思っちゃうような新ジャンルのマジックなので、今回の作品にはすごく合ってるなって。

ーー新子さんには、こういうことをやりたいんですと相談されたんですか?

そうです。こんな舞台美術と照明があれば、こういう現象は錯覚として起こせるよねとか、物語としてこうなったら面白いなというのを、演出を考えずに脚本の段階で全部書いて。それをお渡しして、“これってどうやったらできますかね?”と相談していく形です。

ーーたとえばその中でできないものはあったりしたんですか?

できないというのはなかったですけど、逆にこういうことができるとなった時に、「そっちの方が面白い」と脚本を変えたりはありました。

●人は間違って成長する生き物。そういう部分を描きたい●

池田純矢 撮影=福家信哉

ーー生駒さんには役をやる上でどういうオーダーをされましたか?

稽古がこれからなので特に何のオーダーもない状態ですが、僕が見えている彼女ならではの魅力とノアという役ががっちりハマってる部分があるはずなので、そこをベースにしていきたいです。人間って生きていく中で自分の中に性格のベースが必ずあると思っていて。役を演じる際、何をベースにしようか考える時に、全く自分にはない部分をベースにしてしまうと、芯がなくなってしまうので、できれば今回は生駒さん本人が持っているポテンシャルと役の接着している部分をベースにして役を作り変える作業が主になっていく感じですね。

ーー生駒さんの役に対するコメントで、「活発で生命力にあふれた女の子が素敵な女性像になっていく」とありましたが、前作の王女サロメにも同じような印象を感じました。池田さんの作品に出てくる女性にはこれといったイメージはあるのでしょうか?

前作は愛の物語で、今作はどちらかというとフレンドの部分のお話ですから、こうであるべきというのは特段ないんですが、僕は全ての役に共通して、「ちゃんと意思がある方がいいな」と思っていて。その意思というのは作品中にも変わるものだと思っているんです。何があってもブレない主人公も確かに素敵なんですけど、やっぱり人は間違って成長する生き物だから、そういう部分を描きたい思いはあるかもしれないですね。

ーー生駒さんとはどういうコンビになっていきたいですか?

生駒さんとは割と気が合うんです。そうですね、親友になりたいです。主人公の渡来がノアに感じたような気持ちを、逆にノアが渡来に感じたような気持ちを、リアルな部分でも与え合えるといいなと思います。

ーーあとTwitterで、“#ネコちゃんかわいい”というハッシュタグがありましたが、これは?

当初は「#フォーディメーター」って長いから略称のハッシュタグを作ろうと思って、Twitterでアンケートとったんですよ。小ボケのつもりだったんですが、「#ネコちゃんかわいい」が圧倒的得票率1位を取ってしまったので(笑)。でも実は本編にも関わりがあるんですよ。「#ネコちゃんかわいい」のハッシュタグを使ってる方が劇場へ見に来てくださった時に、「なるほど」と、わかってもらえるかなと思います。

ーーそれも伏線の1つということですね!

そうですね!(笑)。猫は割といろんなところに登場します。実は自分の衣装のネクタイも猫ちゃん柄だったり(笑)。

ーー本当に楽しみです。最後に一言お願いします!

皆さんに楽しんでいただくためにいろんなことをやるんですが、結局その核にあるものはすごく小さな種で、エモーショナルな感情だと思うんですよ。それを素直に受け取っていただくためにこちらができるのは、面白いものをお届けする、ただ1点だけ。幕が開いて劇場を出るまでの2時間、ずっと楽しく飽きさせない作品にしております。それを直接受け取るのは劇場でしかできないことだから、是非、劇場空間で共有できればと思います。

池田純矢 撮影=福家信哉

取材・文=ERI KUBOTA 撮影=福家信哉

公演情報

※「政府が発令した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を受け、事態の重要性を鑑み、又、公演に向けて必要かつ十分な準備が行えないことから、全公演の中止を決定致しました。」公式サイト(https://enxgeki.com/)より
エン*ゲキ#05『-4D-imetor』
【STORY】
私設研究機関「渡来超能力研究所」の所長・渡来暦は世間からオカルトマニアの変人と噂されながらも、超能力の解明に明け暮れていた。
ある日、研究所の壁面からまるでテレポーテーションのように突如出現する記憶を失った謎の少女・ノア。ルーツを辿る唯一の手がかりは「ノア、必ず帰ってこい。渡来超能力研究所で待つ」と書かれた血まみれのメモ。
時を同じくして、首相官邸ではテロ組織が超能力でも無ければ不可能な手口で総理を人質にとり、立て籠もるという事件が発生。渡来は、ノアやテロ組織ら超能力者を、三次元の肉体を持ちながら四次元世界に干渉できるように進化した新人類"4Dimetor"と推論し、事件の真相を追う。一方、政府の「国立研究所」では何やら不穏な気配が立ち込めていた。
失われた記憶、血まみれのメモ、テロ組織の目的、国立研究所の闇...あらゆる謎が、パズルのピースを埋めるように次々と解き明かされていく。
 
■作・演出 池田純矢 
■出演 生駒里奈×池田純矢 
玉城裕規/松島庄汰 田村心 新子景視 
藤澤アニキ 北村海 町田尚規 前田りょうが 相田真滉 阿南健治 
 
【東京公演】
2020年5月8日(金)~5月18日(月)
会場:紀伊國屋ホール
料金:SS席8,000円 S席7,000円
 
【大阪公演】
5月23日(土)~5月24日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
料金:S席7,500円
 
■公式サイト www.enxgeki.com/ 
お問合せ 公演事務局 0570-200-114(10:00~18:00) 
主催 関西テレビ放送、サンライズプロモーション大阪、バール 
製作 バール 
  • イープラス
  • 演劇
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