SANABAGUN.高岩遼(Vo)に訊く、バンドを取り巻く環境の変化と過去最大キャパのツアーに挑む現在の心境

動画
インタビュー
音楽
2020.2.21
SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

画像を全て表示(5件)

ジャズとヒップホップとエンタテインメントのクロスロードで踊るバンド、SANABAGUN.を取り巻く空気がいよいよアツくなってきた。初登場の『FUJI ROCK FESTIVAL '19』ホワイト・ステージでの熱演に続き、最新4thアルバム『BALLADS』を引っ提げた全国8か所のツアーも過去最高の盛り上がり。メジャー5年目のさらなる高みを目指し、次に狙うターゲットは2020年3月の東名阪ツアーに決まった。ファイナルの地、過去最高キャパのZepp DiverCity(TOKYO)ヘ向け高まる思いを、バンドの首謀者であり、SANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZなどいくつものグループで活躍する伊達男、高岩遼が語ってくれた。

――はじめまして。個人的な話をすると、SANABAGUN.より先にTHE THROTTLEのライブを観ているんですよ。組んだのは、どっちが先でしたっけ?

同じぐらいですね。2か月違いで、SANABAGUN.が先です。

――全然違いますよね。音楽性が。

違いますね。関わってる人間も、バンドもチームも全然違う。

――ファンも違う?

違いますね。

――使い分けるんですか? それとも特に意識はしない?

いや、けっこう、アンパンマンですよ。顔が飛んできて、クルクルッみたいな(笑)。切り替えがありますね。

――ソロもあるし、いろんな顔がある。SANABAGUN.高岩遼ってどんなキャラですか。

何だろうな……。SANABAGUN.高岩遼は……もともと僕らは路上ライブをやっていて、ベースの亮三とキーボードの祐大がまだいない頃に、みんなステージネームがあって。ラッパーのリベラルは今もリベラルですけど、僕はジョニー・ザ・キッドって名前だったんですよ。だからまあ、ガキ大将感、なんですかね。そういうイメージで。

――アウトローっぽい。ビリー・ザ・キッド的な。

的な。そんなイメージなのかな、SANABAGUN.高岩遼は。そこにちょっとエレガンスさもありつつ。

――じゃあ、THE THROTTLEの高岩遼は。

そっちはアンダーグラウンド、ストリート・キングって感じじゃないですか? THE THROTTLEの高岩遼のほうが、明るいですね。「よぉ、ドライブ行こうぜ」っていう感じ。で、SANABAGUN.高岩遼は、「……乗ってく?」っていう感じ。

――なるほどね(笑)。わかりやすい。だいぶ違うなあ。

でも、無理に演じてるとかじゃなくて。

――ですね。もともと自分の中にあるんだろうな。

たぶんそうだと思います。

――ソロの高岩遼は?

ソロは、ニュートラルですね。自分個人だから。THE THROTTLEもSANABAGUN.もチームだし、兄弟分が多いんで、彼らの思い、彼らの礎、彼らのイデオロギーを僕が背負わないといけないけど、高岩遼ソロは一人なんで。非常にニュートラルな状態で、そうすると、ジャズがうまく歌えるんですね。

――なるほど。マインドの違いが大きいのかな。

ですね。まあ、感覚ですけど。

――もともとジャズの人ですもんね。高岩遼は。

そうです。音大のジャズ課を出て、キャバレーみたいなところで、シナトラのカバーを歌いながら、というのが20代前半だったんで。でも中学校、高校はずっとヒップホップだったし、母ちゃんがハードロック好きで、姉も好きで、クイーンとか、スコーピオンズとかを聴いてたんで。それでいろいろやりだしたんですね。

――ああ、そうか。もともとあったものを、今は全部出せるチャンネルがある。

で、もう一個、SWINGERZっていうのがあって、それは劇団なんですけど。

――これまた全然違う。

違いますね。いつかジャズクラブのオーナーになるのが一つの夢なんで、それの原点がSWINGERZにはあって。いっぱつ原宿にSWINGERZって倶楽部出したいっすねぇ、マジに。あと、去年からアパレル(NSRC)を始めてるんですけど、全員覆面で、自分はCheezeっていう名前で。それは音楽とはまったく関係なく、バイクと車って感じのやつをやってて。あとはSWINGERZの派生で、KMKっていうのがあって。THE THROTTLEからギターの州吾と、SANABAGUN.のサックスの大河と3人でやってるんですけど。“駒込でムキムキになる機会”でKMKっていう、ウェイトチームです。

――よくわからない(笑)。いろいろやりすぎ。

いろいろあって、とっ散らかってます(笑)。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

“音楽があればいいや”っていう感じではなく、富と名声を手にしたい。俺はスターになりたいぜっていう派。

――高岩さんって、アーティストでありつつ、ビジネス脳がちゃんとあるタイプでしょう。そこは意識していますか?

昔からずっと、セルフ(・プロデュース)だったんで。それは上京する前から、自分で全部やりたいというのがあって。ラグビーもやってるけど、ダンスもやりたいし、バンドもやりたいし、絵も描きたいし、全部やりたくて、全部セルフで回してきたんで、そういうルーツはありつつ。やっぱり今、ミュージシャンが一番頭良くないとダメだと思うんですよ。

――うん。なるほど。

それぞれのやり方があると思うんですけど、僕はどっちかというと、“音楽があればいいや”っていう感じではなく、富と名声を手にしたい。俺はスターになりたいぜっていう派なんで。

――それは、ずーっと言ってる気がする。

ずーっと言ってます。なので、ミュージシャンとしては自分が一番頭良くありたいというか、切れ者のほうがかっこいいよなって感じで。ミュージシャンであり、ビジネスマンではありたいなと思いますけどね。でも意識はしてないです、何も。

――去年のアルバム『BALLADS』、良かったです。今も聴いてますけど。

ありがとうございます。何が好きですか?

――やっぱり「Stay Strong」。あれで熱く盛り上がって、「ス・パ・パ・パ・イ・ス」でずっこけるという。何ですか、あのバランス感覚は。

あれがSANABAGUN.ですね。基本、ふざけてるんで。

――SANABAGUN.ってそういうとこありますよね。ダンディーにふざけるみたいな。

本格的にふざけるっていう感じ。それで痛い目を見るのがSANABAGUN.

――なんで痛い目を見る(笑)。

ずっとかっこつけてたほうが、わかりやすかったりするじゃないですか。でもそうじゃないから、わかりづらいって言われることも多いですけど、それがSANABAGUN.なんですね。僕らはよく、SANABAGUN.なりの毒素って言ってるんですけど、SANABAGUN.にはポイズン感がすごい大事で。

――わかる。ライブでも、時にシュールな、上質なコントを見てるような気になったり。

それは最高の誉め言葉ですね。嬉しいです。

――パフォーマンスとしてかっこいいと思いますよ。

エンタテインメントですね。お笑いも好きだし。

――お笑い、誰が好きですか?

スタンドマイク1本でやってる、黒人のコメディとか。コメディってもともと、黒人の文化の一つのスタイルじゃないですか。

――スタンダップ・コメディアン。音楽とも密接な関係でしたよね。ジャズのライブの司会したり。

笑いのツボが、我々日本人とはずれてるんですけど、すごいエキセントリックな、あの表現はかっこいいなと思う。そういうものを、YouTubeで最近よく見てます。特に面白くないんだけど笑っちゃう、みたいな。黒人じゃないけど、Mr.ビーンとか、めっちゃ好きなんですよ。

――わかる。あのセンスですね。

シュールの極みというか、異常に頭が良くないとできないから。大きなくくりで、芸人さんには非常にリスペクトがあります。

――もっと枠を広げて、歌もエンタメも全部ひっくるめて、誰が好きですか?

たくさんいますけど、スタイルだとか、考え方、アーティストとしてのありかたで言うと、日本だと絶対的に矢沢永吉さんですね。永ちゃんです。あとは、北野武さん。僕、映画もすごい好きなんで。ほかにもいっぱいいますよ。尾崎紀世彦さんとか。クールス、レイ・チャールズとか。

――おおー。

でも一番は、やっぱり永ちゃん。というか、キャロルが好きだったんですよ。だからやっぱり、スターといえば矢沢永吉かなと。西洋だったら、フランク・シナトラですね。彼はスターですよね。今日の音楽シーンに非常に大きな影響を及ぼしてるし、時代を変えた人でもあるんで。「アイドル」っていう言葉を最初に捧げられたのはフランク・シナトラだし、ニューヨーカーで、非常にスタイリッシュだった。男としてかっこいいですよね。

――やっぱり、スター性がないと。

そこまで行きたいですけど、まだ全然です。相当遠いんで。でも、その人たちのケツを追っててもオリジナルにはなれないんで。そういう大きなビジョンを持ちつつ、高岩遼のオリジナル・ロードを歩いていく。そういうところに、25歳を超えてからは、シフトしていきましたね。二番煎じにはなりたくないんで。僕なりのスター街道を、うんうん言いながら、歩ませてもらってるところです。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

――最近のSANABAGUN.、絶好調ですよね。ライブもアツいし。

徐々にですけど、キャパが少しずつ大きくなって。目標は、スーパーボールのハーフタイムショーに出ることなんですけど。

――デカイ夢だなあ。

超デカイですけど、そこが目標なんで。まだまだキャパは小さいですけど、一歩ずつ着実に、チーム一丸で上ってる感覚はありますね。あと、新しく亮三と祐大が入ってから、SANABAGUN.の音楽がまた豊かになったんで。セットリストも過去から今の曲までごちゃまぜで、非常にいい感じですけど、まだまだなんで。頑張ろうぜって感じですね。

――ミーティングが多いバンドなのかな。

多いですね。SANABAGUN.は常にスクランブルしてるんで、その感じがいいんじゃないですかね。

――その集団をまとめてるのが高岩遼

リーダーは澤村一平で、僕は黒幕のボスなんですけどね。まとめていくというか、ムードメイカーじゃないですか。SANABAGUN.のメンタル担当というか。もちろんみんなでメンタルを作っていくんですけど、みんなそれぞれ考えてることが違うから、“いや、これはこういうことじゃないかな”って言う役割。

――ああ。なるほど。

かくいう僕も、悩む時期もありましたし、みんなに助けてもらったこともあるんで。でも今はもう、自分はすっきりしてるんで、どういう方向で、どういう音楽をやりたいか、みんなが同じ方向を向いてる状態ですね。

――去年の年末、『BALLADS』ツアーの手ごたえは?

Nao Kawamuraっていう歌手と一緒に回って、アレンジも変えましたし、いろいろと楽しかったですね。僕ら、打ち上げ好きなんで、そこでいろいろあったりしましたけど。言えないですけど。

――そうですか(笑)。

そういうことも踏まえて、非常にスクランブルしてましたね。熱いシーンがあって、いいツアーでした。今までで一番熱いツアーだった気がしますね。

――今、男女比は?

女の子のほうが多いかもしれない。でも最近、野郎も増えてきた感じです。

――どっちも好き?

好きですよ。黄色い声援も嬉しいし、男たちがウォーって叫んでくれるのも嬉しいし。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

第何章かはわかんないですけど、新しい幕を開けるというツアー。最高のベスト的なセットリストで、“これがSANABAGUN.だ、味わえ!”という日です。

――そして次のツアーが『BALLADS“BEYOND”』という。BEYOND=超えて、ですか。

そうですね。ツアー『BALLADS』の続編というよりは、俺たちのここまでの歴史の、最初にストリートで売ってた白盤から、新しい『BALLADS』までの、ベストなセットリストで行くというライブですね。ツアー『BALLADS』のビヨンドじゃなくて、ツアー『BALLADS“BEYOND”』の先、という意味で。これから2020年、2021年へ進んでいくという、ここが千秋楽ではなく、第何章かはわかんないですけど、新しい幕を開けるというツアーですかね。何が言いたいかと言うと、最高のベスト的なセットリストで、“これがSANABAGUN.だ、味わえ!”という日です。

――みなさんぜひ。ファイナル東京、Zepp DiverCityは初?

初ですね。

――行ったことも?

ないです。

――だいぶデカイですよ。自信は?

自信は、あります。「狭かったですね」って言ってやります。

――かっこいい。バンドの集大成にして、始まりが見られるという。

そうです。それが『BALLADS“BEYOND”』ですね。

――もしかして新曲も?

ありますね。楽しみにしてもらえれば。

――2020年は、この勢いで突っ走ってくれますか。

もちろん。ライブもたくさんやりますし、大きな舞台も用意されてるんで。その上で、僕らはミュージシャンとして、ワイドなスタイルでやりつつ、「自分らのルーツはこれだ」という何かを作れたらいいなと、個人的には思ってます。それがジャズなのか、ヒップホップなのか、何なのか、もっと掘っていきたいんですね。しかも頭でっかちな意味じゃなく、楽しくやりたい。“こういう曲やりたいぜ”“こういうフレーズ吹きたいぜ”っていうところは、これまでと変わらず、楽しくやっていこうと思ってます。

取材・文=宮本英夫 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa


 

 

 

 

ライブ情報

TOUR BALLADS BEYOND
2020年3月7日 (土)名古屋ReNY OPENOPEN 17:15 / START 18:00
2020年3月8日 (日)大阪 BIGCAT OPEN 17:15 / START 18:00
2020年3月12日 (木) 東京 Zepp DiverCity TOKYO OPEN 18:15 / START 19:00
 
■料金:オールスタンディング:¥4,000 D代別
一般発売2020年01月25日(土)
 
※詳細は、オフィシャルHPへ
http://sanabagun.jp/

リリース情報

【配信情報】
ライブアルバム『BALLADS Live in Tokyo』
2020年2月26日配信
1. Somebody (Live in Tokyo)
2. Sweet Dreams (Live in Tokyo)
3. 45 (Live in Tokyo)
4. Fever (Live in Tokyo)
5. Punch Me Panda (Live in Tokyo)
6. C.$.C (Live in Tokyo)
7. Mystery (Live in Tokyo)
8. ス・パ・パ・パ・イ・ス ~想い出のお母さんカレー編~ (Live in Tokyo)
9. move on (Live in Tokyo)
10. HSU What (Live in Tokyo)
11. Stuck In Traffic×大渋滞 -REMIX- feat. Nao Kawamura (Live in Tokyo)
12. Stay Strong (Live in Tokyo)
 
「Sweet Dreams feat. 藤原さくら (mabanua remix)」
2020年3月4日配信
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて、上記日程より配信スタート
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、RecMusic、Spotify、YouTube Music

アルバム『BALLADS』
発売中
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
VICL-65255税込:¥3,300 (税抜:¥3,000)
<収録曲>
01. Somebody
02. Sweet Dreams feat. 藤原さくら
03. 45
04. Taco
05. Fever
06. Punch Me Panda
07. C.$.C
08. Mystery
09. ス・パ・パ・パ・イ・ス  〜想い出のお母さんカレー編〜
10. move on
11. Stay Strong
12. 浪漫飛行 feat. Creepy Nuts

<参加プロデューサー>
西寺郷太 (Track 08)
DJ UPPERCUT(Track 11)
Yusuke Nakamura (Blu-Swing,LastElectro) (Track 01&06)
 
・配信
ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにてアルバム全曲配信中
 
■アルバム「BALLADS」特設サイト
■SANABAGUN.オフィシャルサイト:http://sanabagun.jp/
■Twitter:@sanabagun

プレイリスト情報

SNB. Live Standards-Member’s Choice-
SANABAGUN.メンバー自身が、ライブ前の予習マスト曲をセレクト!
シェア / 保存先を選択