climbgrow 田中仁太(Ba)最後のライブ、メジャーデビュー目前に示したバンドの進化と期待

レポート
音楽
2020.2.17
climbgrow 撮影=浜野カズシ

climbgrow 撮影=浜野カズシ

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EL RODAR release oneman live「青天井」
2020.2.11 Veats Shibuya

結成から8年、演奏の疾走感を担ってきた田中仁太(Ba)がメジャーデビューを目前にして、バンドを抜けるのは、歴の長いファンほど残念だと思うが、バンドっていうのは、いろいろな出会いや別れを経験しながら前に進んでいくものだ。インディーズ・ベスト・アルバム『EL-RODAR』のリリース記念であると同時に田中最後のライブでもあるこの日、改めて脱退の理由が語られることはなかったが、メジャーデビューという大きなステップを迎えるにあたって、バンドと田中がそれぞれに自分が進むべき道を歩いていくことを決めたということのようだ。

climbgrow/杉野泰誠(Vo/Gt) 撮影=浜野カズシ

climbgrow/杉野泰誠(Vo/Gt) 撮影=浜野カズシ

「仁太が抜けるという実感は全然なかったけど、演奏しながら、じわじわと実感してきた。こいつが抜けるのはちょっと寂しいけど」と言いながら、「8年間、一緒にバンドをやってきて、思ったのは、仁太はとんでもない女ったれ。仁太に抱かれた人?(と手を挙げさせ)ウソつけ! 男ばっかじゃねえか(笑)。仁太との思い出はそれだけです」と精一杯強がっている(?)杉野泰誠(Vo/Gt)の姿に一瞬、うるっとなったものの、このレポートで何よりも伝えなきゃいけないのは、2時間たっぷり熱演を繰り広げたライブそのものは、決して湿っぽいものではなく、常に変化し続けてきたclimbgrowがさらなる変化と進化を予感させ、期待させたことだ。

1曲目の「極彩色の夜へ」で、《俺はこんな所で終わらせるつもりは無い》と歌い、本編最後の「ラスガノ」で、《此処からが勝負だ》と杉野が宣言したその直後、アンコールで早速、新ベーシストの立澤賢を紹介しがてら新曲を披露したこの日、筆者はまたclimbgrowというバンドに対する見方がちょっと変わったのだった。

climbgrow/近藤和嗣(Gt) 撮影=浜野カズシ

climbgrow/近藤和嗣(Gt) 撮影=浜野カズシ

「(仁太とは)小学校からの付き合い。知られたくないようなことも、仁太は知っている。俺はそういう奴を応援できない人間じゃない。全力で応援して、最後のライブにしたい。仁太ががんばる以上に俺たちもがんばる。俺たちはそれをバンドで見せたい。歌で見せたい」

杉野はこの日のライブにかける思いを、そんなふうに語ったが、さらなる変化と進化を予感させたライブは、田中にとって一番の餞になったんじゃないか。

climbgrow/田中仁太(Ba) 撮影=浜野カズシ

climbgrow/田中仁太(Ba) 撮影=浜野カズシ

満員の観客がいきなりシンガロングの声を上げた「極彩色の夜へ」から「渋谷Veats、ぶっつぶしに来ました!」(杉野)とギターの裏打ちのカッティングが小気味いい「THIS IS」、タイトルを叫ぶ杉野の雄叫びからなだれこんだロックンロールの「LILY」とたたみかけるように繋げると、スタンディングのフロアが波打つように揺れ、血の気の多い観客がダイヴを始める。

「俺らのワンマンで、こんなにたくさんの頭が見えるなんて、すげえ。すげえ。だからこそ、バンドやってきて本気で良かった」

観客の熱い反応に序盤から杉野もゴキゲンだ。しかし、それで満足するどころか、逆にもっと! もっと! となるのがclimbgrowだ。

climbgrow/谷口宗夢(Dr) 撮影=浜野カズシ

climbgrow/谷口宗夢(Dr) 撮影=浜野カズシ

「もっと行こうぜ! 俺たちだったらやれる! どこまでも行ける!ついてこい!」と自らフロアにダイヴをキメながら、ギターをかき鳴らし、強靭な喉を震わせ、シャウトする杉野が観客の闘争心をぐいぐいと駆り立てる一方で、彼をバックアップする3人の演奏が直情型のロックンロールバンドと思わせ、実は曲調の変化に合わせたきめ細かいものであることを、改めて声を大にして言っておきたい。

せつない曲調がおやっと思わせる「過ぎてしまった」の変拍子も含め、8ビートにとどまらない多彩なリズムパターンを使い分ける谷口宗夢のドラム。エフェクターを踏みかえ、多彩な音色を奏でた「街へ」が物語るようにフレーズ、音色ともにいくつものひきだしを持っていることを思わせる近藤和嗣のギター。シンプルに8ビートを刻むことが多い田中は敢えて疾走感を生み出すことに徹していたように思うが、climbgrowというバンドは、曲が持つ魅力を生かすという意味では、とことんストイックに演奏に取り組んでいる。演奏中、近藤がしばしば谷口と向き合うのは、リズムにシビアだからだろう。

杉野のソングライティングもさることながら、ブルージーなガレージロックからエモーショーナルなギターロックまで、思いの外、幅広いレパートリーは、そんなミュージシャンシップの高さによるところも大きい。

「過ぎてしまった」「街へ」の2曲をじっくりと聴かせたバンドは、曲の始まりを杉野による弾き語りにアレンジしなおした「POODLE」からテンポアップ。

climbgrow 撮影=浜野カズシ

climbgrow 撮影=浜野カズシ

「もっと来い! ここに何しに来たか知ってるか? 革命を起こしにきたんだ。よろしく!」と杉野が煽りながら、再びフロアを揺らすと、「未来は俺らの手の中」を観客と一緒にシンガロング。そのままアンセミックな盛り上がりの中、終わっても良かったと思う。しかし、一歩目を踏み出したあの時の思いを今一度、自らの胸に刻み込んだ上で、前述したように思うところを、最後に叫んでおきたかったのだろう。《此処からが勝負だ》という歌詞が曲を締めくくる「ラスガノ」を、最後に駆け抜けるように披露。田中のダイヴとともに本編を終えたが、バンドは一瞬も止まらないということをアピールするかのようにアンコールでは、5月20日にメジャー1stアルバム『CULTURE』をリリースして、全国を回るリリースツアーを開催することを発表した。

そして、人懐っこそうな新ベーシストの立澤を迎え、早速、『CULTURE』から新曲を演奏する。近藤が奏でるブルージーなリフからロックンロールになるところは、いかにもclimbgrowらしい。が、立澤はそこに絶妙にファンキーなプレイを加え、筆者を驚かせたのだった。もちろん、この1曲を聴いただけでは何とも言えないが、跳ねる8ビートを含め、実はダンサブルなプレイを得意としている谷口と、立澤の間には何やら新たな化学反応が生まれそうな予感が。

climbgrow/立澤賢(Ba) 撮影=浜野カズシ

climbgrow/立澤賢(Ba) 撮影=浜野カズシ

立澤を迎えるにあたって、周囲の先輩ミュージシャンから、「“こいつで行くん?”と言われたから、こいつで行きますと答えた」と杉野はMCで明かしたが、キャラを含め、田中とは全然違うタイプの立澤を迎えたことが、改めて田中の存在の大きさを物語る一方で、立澤の加入はバンドに新たな風を吹き込むに違いない。

『CULTURE』は、どんな作品になっているんだろう? それも含め、これからのclimbgrowがぐっと楽しみになってきた。

取材・文=山口智男 撮影=浜野カズシ

リリース情報

メジャー1stアルバム『CULTURE』
2020年5月20日(水)発売
【完全生産限定盤(CD+DVD)】VIZL-1761 / ¥3,000+tax
【通常盤(CD)】VICL-65365 / ¥2,500+tax
*収録曲等後日発表

インディーズベストアルバム『EL-RODAR』
2020年1月8日(水)発売
NRSM-1010 / ¥2,500+tax
01. 群青色の記憶
02. 極彩色の夜へ
03. LILY
04. THIS IS
05. 未来は俺らの手の中
06. ラスガノ
07. RAIN
08. ブラッドインブラッドアウト
09. SCARLET
10. LAVENDER
11. POODLE
12. 風夜更け
13. 叫んだ歌
<各配信サイト>
https://narisome.lnk.to/elrodar

ライブ情報

climbgrow “CULTURE” Release Tour
5/26(火) 千葉LOOK OPEN 18:30 / START 19:00
5/28(木) 仙台enn 2nd OPEN 18:30 / START 19:00
5/30(土) 札幌BESSIE HALL OPEN 17:30 / START 18:00
6/02(火) 神戸 太陽と虎 OPEN 18:30 / START 19:00
6/03(水) 高松DIME OPEN 18:30 / START 19:00
6/09(火) 京都MUSE OPEN 17:30 / START 18:00
6/13(土) 静岡UMBER OPEN 18:30 / START 19:00
6/14(日) 水戸LIGHT HOUSE OPEN 17:30 / START 18:00
6/20(土) 滋賀B-FLAT OPEN 17:30 / START 18:00
6/24(水) 渋谷CLUB QUATTRO OPEN 18:00 / START 19:00
6/26(金) 福岡Queblick OPEN 18:30 / START 19:00
6/27(土) 大分club SPOT OPEN 18:30 / START 19:00
7/02(木) 名古屋CLUB QUATTRO OPEN 18:00 / START 19:00
7/07(火) 梅田CLUB QUATTRO OPEN 18:00 / START 19:00
*各地対バンあり、後日発表

◆料金
¥3,000(ドリンク代別)
*渋谷CLUB QUATTRO / 名古屋CLUB QUATTRO / 梅田CLUB QUATTROのみ¥3,500(ドリンク代別)

フリーライブ
「climbgrow FREE ONEMAN LIVE@B-FLAT」

3/12(木)滋賀B-Flat OPEN 18:15 / START 19:00
<料金>
入場料無料 *ドリンク代のみ¥500頂きます。
本公演受付は制ではなく、オフィシャルツイッターのDM(ダイレクトメール) / オフィシャルサイトでのメールでの予約のみとなります。
<予約開始日時>
2/13(木)20:00 〜
*一週間以内に返信させて頂きます。
【予約方法】
・ご入場の代わりにオフィシャルツイッターDM、もしくはオフィシャルサイトでのメール予約が必要となります。
・climbgrow のオフィシャルツイッターのDM、もしくはオフィシャルサイトのメールフォームに、件名「滋賀フリーライブ」と、お名前をカタカナフルネームでご記入の上送信して下さい。
*オフィシャルサイトのメールは、サイトメニューの中にあるメールボタンをクリックし、普段使用しているアプリを選択してください。メールが立ち上がります。
【注意事項】
・必ずライブ当日に来れる方のみ予約をお願い致します。 ・お一人様につき2名まで予約可能とさせて頂きます。その場合は代表者のお名前と枚数を2枚とご記入下さい。 ・受付は先着順となります。定員に達し次第、受付を終了とさせて頂きます。 ・頂いたメールに整理番号を入れて返信させて頂きます。 ・当日は開場の15分前に整理番号順に入場整列を行います。 その際に返信した整理番号入りのメールの確認が必要となります。(15分前に来られないお客様は、列の後方に並んでのご入場になります。ご了承下さい。) 

<ほかライブ情報>
02/16(日) “SIX LOUNGE TOUR 2020“THE BULB””岩手the five morioka
02/23(日) “META tex Anniversary Party!!”@京都MOJO
02/28(金) “ircle presents「HUMANism〜場外乱闘編〜”@心斎橋JANUS
03/05(木) “WOMCADOLE旗鼓堂堂ツアー”@山口LIVE rise SHUNAN
03/07(土) “WOMCADOLE旗鼓堂堂ツアー”@福岡Livehouse CB
03/08(日) “WOMCADOLE旗鼓堂堂ツアー”@熊本Django
03/14(土)、15(日) “TENJIN ONTAQ 2020”@福岡天神地区8会場
03/16(月) “FACE IT!!”@大分club SPOT
03/21(土) “SANUKI ROCK COLOSSEUM 2020”@高松市内7会場
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