音月桂がファムファタールな女性に 舞台『ある馬の物語』全キャストと公演詳細を発表
(左から)成河・別所哲也・小西遼生・音月桂
2020年6月17日(水)〜7月12日(日)世田谷パブリックシアターにおいて、『ある馬の物語』が上演される。このたび全キャストおよび公演詳細が決定した。
すでに、成河、別所哲也、小西遼生の出演は発表されているが、彼らの運命を変えていくファムファタールともいうべき女性を音月桂が演じることになった。
また、大森博史、小宮孝泰、春海四方、小柳友の個性あふれる魅力的な出演陣に、馬の群れをアグレッシブに形成する9名のキャストたち。総勢17名の出演者が、実力派のスタッフとともに、百数十年前のロシアの話を現代の我々の話として立ち上げていく。歌やダンスもふんだんに取り入れながら展開していく見どころ満載の舞台となる。
本作品は、ロシアの文豪トルストイの小説(原題『ホルストメール』1886 年刊行)を舞台化。1975年に本国ロシアで初演されて以降、国際的に評価の高いこの作品を、白井晃が新演出で立ち上げる。
演出/白井晃コメント
「ホルストメール」は馬の話です。しかし人間の話です。原作者レフ・トルストイが活躍したのはロシア革命前の帝政ロシア後期。彼の非暴力、博愛といった思想や哲学が、今再び必要とされている気がします。民衆を圧迫する貴族社会への疑問は、格差の広がった現代社会への懐疑と相似形をなすようです。所有することの虚しさを私たちはそろそろ気づいて良いはずです。この物語は、老いた駿馬の生涯を通してそんなことを教えてくれます。ロシアの劇団が40年近く前に音楽劇として立ち上げたのは、ベルリンの壁が崩壊する前のソ連時代です。日本の経済や社会の構造も大きく変化した中、今回の創作は、この作品に新たな意味合いを持たせてくれる、そんな予感がしています。
成河コメント
馬を演じます。演劇という表現の可能性がふんだんに盛り込まれた、非常に挑戦しがいのある戯曲です。トルストイが見つめた社会と人間の業、人生哲学はこの時代にどのように響くのか。去勢されたまだら馬、ホルストメールの眼差しが今の私たち自身を見つめる「目」になれるよう、丁寧に理解を深めて行きたいと思います。
別所哲也コメント
トルストイ原作の「ある馬の物語」。人間と人間の演じる馬達が解き放つ、差別、愛憎、命の意味。現代社会にも通じる様々な要素を、造形する人物像、モノガタリを通じて表現するダイナミズム。そして、初の白井晃さん演出、初の成河さんとの共演、初の世田谷パブリックシアター。初めてづくしのダイナミズム。楽しみです!
ホルストメールは、天性の俊足を持つ駿馬だったが、人間の嫌う「まだら模様」に生まれついたがために、価値のない馬と見なされて育てられた。ある日、厩舎に凛々しい公爵が現れた。主人は見た目の美しい馬をすすめたが、公爵は一目でホルストメールの天性の素晴らしさを見抜き、彼を安価な値段で買い取った。侯爵との生活はホルストメールの生涯で、唯一の最も輝かしく幸福な日々となった。だがある日、公爵の気まぐれから、ホルストメールは競馬に出走することになる。その競馬場で侯爵の愛人マチエは、若く美しい将校と出会い姿を消してしまう。公爵は気が動転し、ホルストメール を橇そりに繋ぎ激しく鞭打ち走らせた。ようやくマチエに追いついたとき、ホルストメールは力尽き、病に倒れてしまう。その日からホルストメールと侯爵の流転の人(馬)生がはじまった・・・。
公演情報
【会場】世田谷パブリックシアター
【演奏】上原弘子 小森慶子 ハラナツコ 村上大輔
【公式サイト】https://setagaya-pt.jp/