ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド【2020年春編】

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2020.3.30
ブロードウェイでおなじみの小冊子、PLAYBILL

ブロードウェイでおなじみの小冊子、PLAYBILL


新型ウイルスの影響で、2020年3月12日から4月12日まで全作品が公演中止、という前代未聞の事態に陥っているブロードウェイ。春の開幕ラッシュの真っ最中だったため、既に初日を秋まで延期した公演もあり、また6月に予定されていたトニー賞も延期が発表された。ほかの公演もどうなってしまうのか、心配は尽きないが、海の向こうでネガティブになっていても何一ついいことはないのでここは通常営業で。ロングラン作品を3本ずつピックアップしてちょっと長めに紹介するコーナーに続き、4月13日以降に開幕・再開する予定のミュージカルをいつも通り(ちょっとだけ形式を変えて)、とりあえず全部!お届けする。

■『ウィキッド』

『オズの魔法使い』に登場する“西の悪い魔女”エルファバと“南の善い魔女”グリンダにスポットを当てた前日譚。と言うと夢々しいファンタジーのような印象を与えてしまうかもしれないが、社会の在り方にまで思いを馳せさせられる、示唆に富んだストーリーが最大の魅力だ。それをゾクゾクする音楽(スティーヴン・シュワルツ)とスペクタクルな演出(ジョー・マンテロ)とで描き出す、今上演されている中では筆者が一番好きな作品。特に一幕ラストの、エルファバが決意の歌を歌い上げながら空高く飛び上がるシーンは圧巻、必見、思い出すだけで鳥肌ものだ。劇団四季による日本版は、訳詞の見解の不一致により筆者的にとっては別物なので(私見です)、観たくなったらブロードウェイに行くしかない。

■『ブック・オブ・モルモン』

日本では馴染みの薄いモルモン教を題材にしていること、アフリカ人役が大勢必要なことから、日本での上演はないだろうと、開幕してすぐの2011年に観て以来ずっと信じてきたのだが。先日ロンドンで観て、今なら意外とアリなんじゃないかという気がしてきた。既に古典…とは言わないまでも名作の域には入ってきているので、勢いそのままにお届けするのではなく、「向こうで10年近く超満員なのはこんな作品です」という紹介的な上演でも十分価値はあるし、何よりその不謹慎な面白さは日本人にこそウケると思うのだ。という妄想はさておき、音楽と振付も最高に楽しく、英語もとても簡単なので普通にオススメ。

■『アラジン』

そんな『モルモン』と同じケイシー・ニコロウの演出・振付作品。つくづくエンターテイニングな人だ(ほかに『サムシング・ロッテン!』『ミーン・ガールズ』『ザ・プロム』なども担当)。エンターテイニング過ぎるのか、トニー賞からは軽視されがちだが、とにかく盛り上がりたいなら彼の作品を選んでおけばほぼ間違いないのでは。また、こちらは『ウィキッド』と違って劇団四季による日本版も素晴らしく、原作のアニメ映画に昨年公開された実写映画にと参考資料がたくさんあるため、予習してから観たい派には最適の作品だ。

【2019-2020シーズンの新作】

*情報は3月29日時点のもの

■4~6月に始まる予定だった作品

『Caroline, or Change』秋に延期
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/

『Flying Over Sunset』秋に延期
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/

 

『シング・ストリート』プレビュー開始日未定
同名のアイルランド映画(副題「未来へのうた」)の舞台化。オフでの好評を受けてBW入り。
https://singstreet.com/


■既に始まっていた作品

『カンパニー』プレビュー期間中に中止に/開幕日未定
ソンドハイムの傑作コメディを『ウォーホース』の演出家でリバイバル。P・ルポンが出演。
https://companymusical.com/

『David Byrne’s American Utopia』秋に再開幕
ミュージカルに近いコンサート。期間限定公演として開幕→延長が決定→再演が決定。
https://americanutopiabroadway.com/

『ダイアナ』プレビュー期間中に中止に/開幕日未定
ダイアナ元妃の人生を『メンフィス』の作家と『カム・フロム・アウェイ』の演出家で。
https://thedianamusical.com/

『Girl From the North Country
ボブ・ディランの楽曲がちりばめられてはいるが、作りとしては完全にプレイ。要英語力。
https://northcountryonbroadway.com/

『Jagged Little Pill』
アラニス・モリセットの同名アルバムをミュージカル化。『ピピン』の演出家の最新作。
https://jaggedlittlepill.com/

『ムーラン・ルージュ!』
バズ・ラーマン監督映画をアレックス・ティンバースが演出する話題作。人気沸騰中!
https://moulinrougemusical.com/

『ミセス・ダウト』プレビュー期間中に中止に/開幕日未定
同名映画を『サムシング・ロッテン!』の作家兄弟と売れっ子演出家J・ザックスが舞台化。
https://mrsdoubtfirebroadway.com/

『SIX: The Musical』プレビュー期間中に中止に/開幕日未定
ロンドンで大ヒット中。ヘンリー8世の6人の妻がガールズパワーを炸裂させる痛快作!
https://sixonbroadway.com/

『Tina:ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』
ロンドンでの好評を受けてBW入り。オリヴィエ賞ノミネートの主演女優が続投!
https://tinaonbroadway.com/

『ウエスト・サイド・ストーリー』
ヴァン・ホーヴェ(演出)とケースマイケル(振付)が名作を大胆にアレンジ。期待大!
https://westsidestorybway.com/

【ロングラン作品】

■日本で既に上演された/されている作品

『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯は本当に魔法。
https://www.aladdinthemusical.com/

『シカゴ』
『オペラ座の怪人』に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。出来は割とキャスト次第。
https://chicagothemusical.com/

『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/

『オクラホマ!』
1943年初演の名作を21世紀の解釈でリバイバル。2019年トニー賞。1月19日まで。
https://oklahomabroadway.com/

『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/

『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやくに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。
https://wickedthemusical.com/

■日本未上演の作品

『Ain’t Too Proud』
『ジャージー・ボーイズ』チームが描くテンプテーションズの軌跡。3月より新キャストに。
https://www.ainttooproudmusical.com/

『ビートルジュース』
ティム・バートン監督映画の舞台化。映画を見ておかないと厳しいかも?6月6日まで。
https://beetlejuicebroadway.com/

『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/

『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/

『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/

『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、生レリゴーは最高。今秋から日本で上演!
https://frozenthemusical.com/

『Hadestown』
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/

『ハミルトン』
開幕5年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/

『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/

このころのような活気が戻ることを祈念して

このころのような活気が戻ることを祈念して

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