Awesome City Club アコースティックや名曲カバーも飛び出したUNITワンマン
Awesome City Club
ワンマンツアー「Awesome Talks -One Man Show-」 2015.11.28 代官山UNIT
代官山UNITの会場内に、SEのThe Flaming Lips「Race For The Prize」が鳴り響くと、それぞれの白い衣装に身を包んだメンバーがステージに現れた。完売でギッシリのオーディエンスから拍手と歓声が湧き上がる。ギターを抱えるとatagi(Vo/G)がこぼれる笑顔で「UNIT! オーサム・トークス、ワンマンショー!楽しんでいってくださーい!」と叫ぶと会場中の熱量が一気に上昇し、1曲目は「GOLD」でスタート。atagiの爽やかなファルセットと、PORIN(Vo/Synthesizer)のキュートな歌声の二面性が共存する、どこか異国情緒を感じさせるオーサムを代表する楽曲だ。続く「Children」も、洗練されたオシャレなサウンドに身を任せるのが気持ちいい。センターに立つPORINが「今日は全部出し切るんで、みなさんも最後まで思う存分、楽しんでくださーい!」と全身いっぱいで声を上げれば、オォー!と低い声がこだまする。「続いてダンスナンバーをお送りします!みなさん踊る準備はできてますか?いきますよ?」とカウントを数えると「lt's So Fine」でフロアとステージ頭上にある3つのミラーボールが回り始め、シックなダンスホールに早変わり。さらにディスコティックなグルーヴと絶妙なハーモニーが耳に残る「what you want」に、自然とステップを踏んでしまう。
この日のワンマンならではのコーナー、まずはアコースティック・セット。そのセッティング中のMCでは、オーサムの結成時を振り返った。マツザカタクミ (B/Synthesizer/Rap)が何度もバンドに誘ったが、atagiが中々良い返事をくれなかったこと(atagi曰く「俺、正直、絶対にやりたくないと思ってたから(笑)」との衝撃発言!)、メンバーには可愛い娘を入れようと企んでいたこと、黒人のボーカリストを探してたこと等など、次々に飛び出した。カホンを叩くためにユキエ(Dr)も前に出てきて、ステージにメンバー全員が横並びとなって演奏したのは、ライブであまりやっていないという「P」。「俺が思うPORINってこんなカンジかなっていう曲(マツザカ)」。「イヤな女の子なんですけどね。けっこう共感できる子、多いと思いますよ(PORIN)」という小悪魔的な女の子の一夜の恋を描いたと思われる歌詞を、コケティッシュにPORINが歌い、アコースティック・ギターの音は切なくも爽やかな風を運ぶ。グロッケン(鉄琴)の音色も可愛らしい。バンドセットでやるか迷ったという「Lesson」は、ファルセット・ヴォイスのハーモニーに、アコギのカッティングとカホンが、大人っぽくも洒落た雰囲気を盛り上げる。こちらもワンマンならではの、PORIN&モリシー(G/Synthesizer)二人だけのセッションで「もともとは歌謡曲が凄く好き」というPORINが歌ったのは、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」。モリシーのギター&口笛と会場中の手拍子と共に披露した、PORINの少しこぶしの効いた歌声と、あまりに可憐なパフォーマンスは、男性ファンならずともノックアウトされたはず。喝采の拍手に「緊張した~」とホッとした表情を見せるPORIN。このコーナーの続編をまた観てみたい!
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そして後半戦。元の布陣に戻ると、ここから雰囲気をガラッと変えて、今回のワンマンのハイライト! 東京公演限定の超サプライズなスペシャル・ゲストとして、プロデューサーのmabanuaが登場。巧みに操るフロアタムとシンセサイザーで参加。「Jungle」のイントロで繰り広げたセッションでは、プリミティブな響きが熱く壮大なグルーヴを生み、音の厚みを何十倍にも増幅させて会場を圧倒した。「Pray」では疾走感+ドリームポップなサウンドに心が弾む。「WAHAHA」ではマツザカ&PORINのラップで魅了し、会場中にハンドクラップと曲タイトル通りの笑顔があふれた。
「まだまだみんなと一緒に盛り上がりたいです!まだまだいけますかー!」と叫ぶPORINがメインボーカルをとる「4月のマーチ」は、彼女のアイドル的な魅力と同時に、ステージを引っ張るフロントマンとしての力強さを実感。軽快なギターのカッティングで始まる「アウトサイダー」は、きらめくようなシティポップなサウンドがノリノリで心地いい。この後のMCの流れで、普段しゃべる機会がないユキエが「どうも、みなさん!ユキエです!」と一声上げただけで大歓声! こちらの美少女もお忘れなく。いよいよ本編ラストは、赤い上海風な提灯が天井から幾つか下がってきて「涙の上海ナイト」を演奏。オーディエンスを巻き込んで「トンナンシャーペー」のコール&レスポンスを繰り返し、華々しいアウトロの中で一人ずつメンバーの名前をコールし、ライブ本編が終了した。
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即アンコールの拍手が巻き起こると、再びメンバーが登場。「みんな知ってたよね、あと一曲あるって(笑)(atagi)」。これまでにリリースした、アルバム2枚とシングルから全曲披露し、本当にラストの一曲。その前にマツザカが「思ったけど、俺らってめちゃくちゃMC下手だよね」と自虐を込めて語り出した。上手くないなりに、このツアーを通してお客さんに向けて多くのことをしゃべってきたのは「カッコつけるのやめたんだよね、俺達(atagi)」「最初、カッコつけてたんですよ。超絶カッコいいインディーバンドをやってたから。でももうちょっと普通に楽しくやればいいやって。ありのままに、性格を出せばいいやって思って(マツザカ)」「周りにいろんな先輩や音楽をやってる人達がいるじゃん。もうね、みんな素でカッコいいから。俺達が余計なことやってらんないなぁと。(オーサムのライブは)もうちょっとオシャレな人達かと思ったけど、意外ととっつきやすくて良かったな、みたいなカンジになったらいいなと(笑)(atagi)」「きっとなってますよね?(笑)(マツザカ)」という思惑があったらしい。
「本当にどうもありがとう!今日は1stアルバム、2ndアルバムを出した集大成としてワンマンツアーをやらせていただいたんですけど。こんなにたくさんの人に集まってもらえるようなバンドになるとは、正直思ってなかったので、びっくりしてるし、ラッキー!って思ってます!」「(これからも)気楽に“ラッキー!”っていう気分で音楽を作っていたいし、(お客さんも)今日オーサムのライブ観に行けるじゃんラッキー!っていうぐらいの気持ちで、いつまでもライブに来てくれたらうれしいなと。みんなが気軽に接し合いながら、でっかい所まで行けたらいいなと思ってます!」とatagiが宣言すると、会場から大きな拍手が沸き起こった。「また会いましょう!最後の曲「Lullaby for TOKYO CITY」!」ライブのラストを飾るにふさわしい名曲は、夢のように儚げな感触の中に、心揺さぶられるソウルが感じられ、ゆったりしたリズムなのに踊らずにいられない。ステージ後ろのスクリーンに映し出されるオーサムシティの街並みをみつめながら、この日のライブを噛み締めた。彼らの各地でのワンマンツアーの充実感も伝わってきたし、オーサムの新たな面に幾度となく魅せられた。彼らにとってターニングポイントとなる初ツアーになったに違いない。次回の「Awesome Talks」は来年3月17日渋谷クラブクアトロ、3月22日大阪MUSEにて、対バンのイベント形式で開催される。今度はどんなAwesome City Clubを魅せてくれるか、楽しみに待ちたい。
撮影=古溪一道 文=下村祥子
Awesome City Club
2016年3月「Awesome Talks」東京・大阪にて開催!
オフィシャルHP先行(先着順)
11/28(土)22:00~12/14(月)23:59
>>詳細はこちら
1. GOLD
2. Children
3. It's So Fine
4. what you want
5. 愛ゆえに深度深い
6. 僕らはここでお別れさ
7. P(Acorstic)
8. Lesson(Acorstic)
9. 木綿のハンカチーフ(Acorstic)
10. Jungle(with mabanua)
11. Pray(with mabanua)
12. WAHAHA(with mabanua)
13. 4月のマーチ
14. アウトサイダー
15. 涙の上海ナイト
[ENCORE]
16. Lullaby For TOKYO CITY
2016.03.17 (Thu)
Awesome Talks -Vol.03
東京・渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
2016.03.22 (Tue)
Awesome Talks -Vol.04