記憶や感覚に訴えかける作品 青木陽展『Inverted Spectrum』開催
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青木陽
2016年2月9日(火)~2月26日(金)の期間、ガーディアン・ガーデン(東京都中央区銀座)にて青木陽展『Inverted Spectrum』が開催される。
青木陽は、日常の生活の場をテーマに撮影した作品で、第12回写真「1_WALL」のグランプリを受賞。「90年代の作家たちの流れを取り入れつつ、上手く仕上がった作品」「その上でオリジナルの作品になっており、クオリティーが高い」と、審査員から高い評価を得た。
テーマにしているのは、自身が住むアパートの室内や、普段散策している家の周辺、偶然出会った風景といった生活の中の一場面。人の気配が感じられたり、生活の痕跡が見えるシーンや、無機質で何も撮っていないようで、何かが感じられる一場面を捉えている。
青木陽
一貫した秩序を持たない写真を並べて、それぞれの写真が持つ意味やストーリーを分断してもなお、一枚一枚には人間の記憶や感覚に訴えかける力があり、見る者それぞれにストーリーを想像させる強度のある作品となっている。
作家コメント
ときたま歯が痛むという人がいる。その人は虫歯があるのか知覚過敏か、その人の歯痛の
わけを知り、あるいは同情する。しかしどこまでいってもその痛みはその人のものであり私
の痛みにはならない。
電脳化機器の浸透による写真撮影、開示の一般化には著しいものがあり、一過性の画像、
現れては消えていく膨大な数の写真に溢れています。またその前提として特に90年代以
降、綿密な構想、文脈や物語性など言語を基調とした理論に頼らない表現、ごく私的な空
間の提示、一瞬の感覚の共有を目指す写真表現の試みが広く受け容れられてきました。
写真はある特定の時間、場所を画像にして定着したものです。撮影された目的に係らず、
写真には自然な意味、示されたいつかのどこか、があります。写真は画面の中に限っては
対象の知覚以前の視覚的な感官の共有を仮想的に実現する媒体であり、私たちの写真に
ついての経験は、一方では非常な親密さを感じると同時に、内容の理解の点では非常に曖
昧なものに留まるという矛盾を生みます。青木陽
また、2月18日(木)には審査員を務めたアートディレクター 菊地敦己と青木陽によるトークイベントも開催。予約が必要なので参加したい方はお早目に。
開館時間:11:00〜19:00
場所:ガーディアン・ガーデン
入場無料
<オープニングレセプション>
日時:2月9日(火)19:00〜20:30
<トークイベント>
日時:2月18日(木)19:10〜20:40
出演:菊地敦己(アートディレクター)x 青木陽