ナントカ世代『その十字路の先を右に曲がった。』京都の寺院内でリーディング公演

2020.10.15
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ナントカ世代『その十字路の先を右に曲がった。』メインビジュアル。

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古今東西の名作文学から落語、果ては女優の個人的な日記まで、様々な作品をあえて誤読し、不条理かつどこか哲学的な会話劇へと変換させる、京都の劇団「ナントカ世代」。2013年に上演した『その十字路の先を右に曲がった。』が今年6月、京都の劇団「人間座」が主催する戯曲賞「第3回人間座 田畑実戯曲賞」を受賞したのを機に、リーディングの形で、しかも京都の名刹[金戒光明寺]で再演する。

『その十字路……』は、イタリアの作家チェーザレ・パヴェーゼの最後の長編小説で、私生児として生まれた男の半生と、帰郷の旅を静謐なタッチで描き出した。ナントカ世代バージョンは、村祭りを控えた農村のある一家と、保険の話をするために訪れた農協の職員の対話から、話が思わぬ方向に進んでいく……という、実は原作ファンなら「あ、その部分を膨らませたか」とニヤリとするとともに、原作とかけ離れてるがゆえに、原作を知らなくてもまったく問題ない群像劇になっている。

ナントカ世代第14回公演『その十字路の先を右に曲がった。』(2013年)より。

劇団主宰で脚本・演出の北島淳は、今回の公演が決まった経緯と公演の内容について、以下のようなコメントを寄せてくれた。

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、例に漏れず、私どもナントカ世代も10月に京都市右京区京北町で予定していた公演をキャンセルすることとなりました。一方で、本年に入って過去に執筆した戯曲が複数の戯曲賞でノミネート・受賞されるなど、これまで戯曲を誉めていただいた経験がないため、正直どぎまぎしています。
ですが、せっかく誉めていただけた戯曲が手元にあるし、せっかく公演に向けて準備をしていた俳優たちも協力してくれるし、ということで、キャンセルした公演の代わりにリーディングを行います。
なかなか舞台も従前のように再開されない中、リーディングという十分な形でのお届けにはなりませんが、妄想を膨らませつつ、素敵な永運院のお庭で目の保養をしながらお楽しみください。

人間や世界の本質に近づいては離れていくような、不思議な感覚を持つ北島の言葉の妙は、リーディングだとより純粋に楽しめるはず。観光客にはあまり知られていない寺院の庭を眺めながら、その世界に浸るという貴重な機会を体験してみよう。一部の回で、すでに事前予約が終了しているが、増席も検討しているというので、劇団の公式ツイッターなどで情報をチェックしてほしい。

【ネタバレ注意】『その十字路の先を右に曲がった。』初演ダイジェスト。

公演情報

ナントカ世代 リーディング公演『その十字路の先を右に曲がった。』

■原作:チェーザレ・パヴェーゼ『月とかがり火』
■脚本・演出:北島淳
■出演:伊藤隆裕、延命聡子、清水風花、土肥希理子、永榮紘実、七井悠、松野香澄、柳原良平

 
■日程:2020年10月24日(土)・25日(日) 14:00~/18:00~
■会場:金戒光明寺 永運院
■料金:無料(カンパ制)
※要事前予約。各回22席限定。
※満席に達した回あり。予約状況や追加席情報などの詳細は、公式サイトでご確認を。
■公式サイト:http://sedai.main.jp/tokusetsu/juujiro.html
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