それは歌姫とともにVRで旅立つ新天地への航海!? YuNi 3rd VR Live「eternal journey」レポート
YuNi 3rd VR Live「eternal journey」より (C)2019 YuNi
2018年に(自称)世界初のバーチャルシンガーとして活動を開始し、透明感に満ちた可憐な歌声と圧倒的な歌唱力、そして歌声とのギャップが激しいトークの面白さで人気を呼んでいる「YuNi」。今年8月からレコード会社TOY'S FACTORYの所属となって、活躍の場を更に広げていく彼女のVRライブが10月24日にバーチャルSNS「cluster」とニコニコ生放送、ビリビリ動画にて開催。VRだからこそできる演出をふんだんに盛り込み、彼女がファンである「ユニチル」と共に新天地を目指した航海(ライブ)の様子をレポートしよう。
YuNiの新天地への旅は空の冒険? 空中帆船上のステージでVRライブの幕が開く…
2018年6月の活動開始以来、その透き通ったような歌声で紡ぎ出されるオリジナル楽曲やカバーソングの数々で、バーチャルシンガーというジャンルを切り開いてきた第一人者・YuNi。これまでプライベートレーベルで活動してきた彼女が、今年8月よりレコード会社TOY'S FACTORYへ所属。そんな新たな旅立ちを飾るVRライブ「eternal journey」のオンライン会場には多数のファンが集結。空港の滑走路上にステージとなる空中帆船が待機する中、ニコニコ生放送側では「ゆにゆにしてきた」という期待のコメントが飛び交い、VRで参加しているファンからはアプリの機能であるエモーションボタンによって、期待の声援がハートや星やジェット風船となって飛び交い、近づく開演の時に向けてファンのテンションはどんどん高まっていった。
そして開演時間を迎えると、満月の輝く夜空に浮かんだスクリーンにYuNiが登場するプロローグPVが流れ出す。そして最新ナンバーとなる「フィルモノローグ」のイントロとともに、ステージ中央にモノクロームのポリゴンブロックがいくつも集まり、輝きとともにYuNiの姿を形作っていく。
「みなさんようこそー! この船はこれよりセカンドステージへ向け出航しまーす」
ダークブルーのロングドレスと、はだけるように覗くノースリーブのシャツをまとったYuNiは、オンライン上に集まってくれたファンに感謝の挨拶を届けると同時に、苦しみもがきながらも自分らしく生きることを貫く気持ちを透き通ったボーカルとともに美しく力強く唄い上げていく。
(C)2019 YuNi
「今日はeternal journeyにお越し頂いてありがとー! 心の準備はできてますかー?」
間奏の間に伝えた「心の準備」というメッセージは、彼女自身にとっても新たな出発点となるこのライブに挑む気持ちの表れだったのかも知れない。
(C)2019 YuNi
続いて静かなイントロとともに二曲目の「Erased」を歌い出そうとした瞬間、突然スクリーンには「充電してください!」というメッセージが映し出され、けたたましいアラート音とともにライブが中断!
「だー! なんだ? なんだなんだ? この音はエンジントラブルー!」
歌声とは対照的なざっくばらんで独特のイントネーションなYuNiの叫びとともにライブが突然中断!
「船が傾いてる! みんな船が傾く逆方向に移動ー! おいそこ見えてっから、早くー!」
YuNiにハッパをかけられたVR組のファンは、ポリゴンブロックで描かれた自分自身の体を動かして、「うげー、船酔いしそうー揺れるーーーーーうーーーー!」とふらつくYuNiと共に甲板の揺れを視覚で体験するという、VRならではのアトラクション演出を楽しむことに。
「どうやら充電切れでエンジントラブルみたいですね、昨日ちゃんと動力確認したのにな! みんな、この船は歌が動力になってます! YuNiはとにかく唄うので、みんなはエモーションボタンを押して応援頼む!」
(C)2019 YuNi
そんなYuNiからのゲキとともに、改めて「Erased」がスタート。ステージから湧き上がるネオンカラーに輝くポリゴンと、ファンからのエモーションボタンで送られる花火やコンサートライトの声援を浴びながら、寂しい世界で互いを求め合う二人の気持ちをYuNiは情感たっぷりに唄い上げると、空中帆船が見舞われていたトラブルも無事に解決。
(C)2019 YuNi
「みんなのおかげで動力も一杯になったみたい! あー、びっくりしたー、あっりがとー!」
笑顔で手を振り観客に応えるYuNiは「旅もまだまだ序盤! どんどんいきまっしょー!」というメッセージとともに光に包まれてステージから去って行く。そんな彼女を追うように、VRで参加しているファン達もステージ上のワープゾーンから次のステージへと旅立っていった。
突然のドラゴン襲来やまばゆい朝焼けの風景…VRライブならではの未知の体験とともに歌声は世界に満ちる
何分かのインターバルを経て、ステージには再び光と共にYuNiが登場。今度は白ベースのアクティブな雰囲気のコスチュームをまとい、
「現在の状況をお伝えいたしまっす、無事ワープを抜け、アベンジャーズスカイからワールドオブデザイアにやってまいりました! 周りをご覧下さい、ここはYuNiの夢が沢山詰まった宝石のような世界です」
と、独特のイントネーションとキャビンアテンダントっぽい口調でライブの雰囲気を盛り上げていく。
(C)2019 YuNi
歌のイメージとはある意味正反対なMCの雰囲気もYuNiの大きな魅力なのだ。 そして新たなステージで送る三曲目は「まさか聞いたことないなんて事はないと思いますが」との前振りと共に、アニメ第二期放映も決定したTVアニメ『宇崎ちゃんは遊びたい』でYuNiが担当したエンディングテーマ「ココロノック」だ。
劇中ではハイテンションな宇崎ちゃんの秘めた乙女心を唄ったこのナンバーを、YuNiは柔らかな笑顔でしっとりと唄い紡いでいく。そしてノックの音に合わせてYuNiがドアを叩く仕草を見せてからのクライマックスでは、様々な光のエフェクトやファンからの声援グラフィックが乱舞して曲を華やかに盛り上げていき、ニコニコ生放送側の画面では「かわいい!」のコメントやギフトグラフィックが飛び交う盛り上がりを見せた。
(C)2019 YuNi
歌い終えたYuNiが一度ステージから消えると、今度はステージの上にポリゴンブロックが集まり、それを椅子のようにして座りながら宙空に浮かぶようにYuNiが登場。そして静かなピアノのメロディとともに始まったのは、彼女のデビュー曲である「透明声彩」のアコースティックバージョン。立ちのぼるたくさんの光の柱とともにまばゆい満月と重なるような位置で浮かび、静かだけど力強いボーカルで紡がれる始まりの歌が織りなす美しさに、ファンも感動と圧倒されるかのようなコメントを残しながら聴き入っていた。
「なんか天候が悪くなってきたなー……ルートを間違えた?」
歌い終えてステージに戻ってきたYuNiだったが、どうも船がルートを間違えたらしくステージ上にはかなり強い雨が降りつけ始める。
さらに画面には空を進む空中帆船の姿が映し出され、周囲には尋常ならざる積乱雲が。
「みなさん、危険エリアに突入しちゃったっぽいです…むむっ? 大きな鳥っぽいモノが飛んでますね。雨、雷、大きな鳥……百手先が読めるYuNiから言わせてもらうと、かーなーりーヤバイ予感しますね」
そんな小芝居がかったMCを繰り広げるYuNiの背後に、何と空を飛ぶ巨大なドラゴンの姿が!
「あれは……ドラゴンキター! 今日ドラゴン出るなんて聞いてないよ!」
激しい雨と嵐の中でドラゴンが帆船に肉迫するという大ビンチの中、YuNiは歌の力でドラゴンを振り切ることを決断。
「YuNiは動力を上げるべく唄います! みんなはエモーションボタンでサポート頼んだ! 船の動力を上げて、一気にこの危険エリアを脱出しよう!」
そして始まった5曲目はYuNiの3rdシングル「花は幻」。360°パンするカメラワークでYuNiを捉えながら、猛スピードで嵐の中を飛ぶ帆船とそれを追う巨大ドラゴンを映し出すスペクタクルな映像が繰り広げられる中、それとシンクロするような夢を流し去っていく雨に立ち向かう歌をYuNiは熱唱。美しさと声量にあふれた歌声とファンの声援によって見事にドラゴンを振り切り、スクリーンには「MISSION CLEAR」のメッセージが。
「みんなありがとう! 危険エリア脱出成功!あードラゴン欲しかったー」
雨上がりのステージでほっと一息をつくようなコメントを残して、YuNiは再びステージから光と共に去って行き、VRライブもいよいよクライマックスへ!
「それではまわりをごらんください ここはトワイライト、新たな旅が生まれる世界です冒険者は必ずこの世界で祝福を受けて旅立つのです! 」
(C)2019 YuNi
白銀のノースリーブロングドレスをまとったYuNiがステージに登場し、いよいよ旅の目的地に辿り着いたことを告げる。そして新たな旅立ちを飾る曲として、12月にoculusから発売されるVRインタラクティブストーリーアクション『ALTDEUS:Beyond Chronos』でYuNiが担当するエンディングテーマ「Dawn」を初披露。
発表自体もこのライブが初というサプライズに加えて、初のオール英語歌詞ということでファンも驚きに包まれながら美しく情感あふれるボーカルに聴き入ることに。曲が進むにつれて周囲の空も夜明けの光で少しずつ明るくなり、曲の雰囲気を盛り上げていった。
「まもなくこの船はセカンドステージに到着します。ラストソング聴いて下さい」
美しい歌と共に進んできたYuNiとの冒険の旅もいよいよ終わりの時が。そのラストを飾るのは、昨年秋に発表されて彼女の音楽活動第二章の幕開けを飾った名曲「Beautiful World」だ。
静かに深まる秋の気配とともに始まる新しい世界への希望をリリカルに唄うこの曲を彩るように、ファンからのコメントとエモーショナルボタンの声援がまばゆいほどの光となってYuNiとステージを彩っていく。そして「新しい朝が始まれば」の歌声とともに朝焼けの空が明るく輝いていく中で、ライブは大団円のグランドフィナーレを迎えた。
(C)2019 YuNi
「eternal journeyにご搭乗いただいたみんな、ありがとー! 途中色々あったけど、みんなで一緒に乗り越えて2nd STAGEに無事到着することが出来ました。これからが本当のスタートです。みんなもついてきてねー」
心からの感謝の言葉と笑顔とともに、朝焼けの光に溶けるようにYuNiの姿が見えなくなって、ライブは大団円で幕を閉じた。最新の技術とYuNiのハイクオリティなパフォーマンスで、VRライブの可能性を見せてくれた今回の「eternal journey」。辿り着いたこの新天地でYuNiがどんなバーチャルシンガーの世界を見せてくれるのか、今後の動きに注目していこう。
取材・文=斉藤直樹
セットリスト
②Erased
③ココロノック
④透明声彩 (Acoustic Ver.)
⑤花は幻
⑥Dawn
⑦Beautiful World