抜群のチームワークで殺陣を魅せる『NUKIDO〜外から見るか 芯から見るか〜』を観劇、“イケメン”と“いつメン”が引き立たせ合う輝き
『NUKIDO ~外から見るか芯から見るか~』 撮影=渡部孝弘
NUKIDO ~外から見るか芯から見るか~ 2.26(THU)~3.1(SUN) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
2026年2月21日(土)にシアター1010で幕を開け、続く2月26日(木)からの紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAでの公演も無事終幕した『NUKIDO ~外から見るか芯から見るか~』。3月7日(土)の福岡から続く地方公演への出発を前に、東京公演の模様をレポートしたい。
某有名撮影所。ここでは日々様々な作品の撮影が行われ、主役を演じるスターたちがやってくる。そして、スターを“体を張って”支えているのが大部屋役者たち。時に“仕出し”とも呼ばれる彼らは招集がかかれば時代劇から現代劇まで、あらゆるシチュエーションのあらゆる役どころを次々に演じていく、作品作りになくてはならない手練の存在だ。これは、そんな大部屋に生きる役者たちの日常を描いた心温まる人情ドラマである。
ある日、見習いとして大部屋にひとりの新人がやってくる。名はリアル。時代劇への愛情は深いが刀を握るのはほぼ初めてのど素人ということで、主な仕事はもっぱらジャージ姿にゴム手袋でのトイレ掃除だ。しかし、真面目で純粋でフレッシュすぎるほどフレッシュなその人物こそ、話題の次回作、不朽の名作といわれた時代劇のリメイクで主人公を務める期待のルーキーだった! まさかの展開に心乱す大部屋チーム。果たしてリアルは支えるべきスターなのか、それとも頼りない半人前のゴリ押しとして力尽きる運命なのか。刻々と迫る撮影本番を前に、男たちそれぞれのプライドをかけた真剣勝負への思いが動き出す。
リアルを演じる立花裕大は、心身ともに清々しいほどの“イケメン”を全う。世間の色眼鏡やプレシャーに正面から向き合い、全力で本物になろうともがき成長していく様を、繊細かつスマートに見せてくれる。
リアルにライバル心むき出しなのは筋トレ大好きなマサ。演じる笹森裕貴は真っ直ぐに感情をぶつけてくる力強さが気持ちいい。マサとつるんでいるケンボー(石橋弘毅)はマイペースな明るさがウリで、冷静で人当たりのいいハッセ(葉山昴)は頼れる兄貴分といったところか。
上記に加えベテラン枠のオガ(河口博昭)&コガ(西ノ園達大)、殺陣師のマッシー(三浦剛)、助監督のイッチャン(我膳導)と、“いつメン”が揃った時の安定感は抜群で、こうして慣れ親しんだ同士だからこそ、日々、息の合ったチャンバラが成立するのだろうなと思わせる“本物の温度”を感じさせてくれる。さらに、みんなの中心的存在のタニさん(村田雄浩)とサヨさん(飯島直子)の芸達者ぶりもかなりの見どころ。日常シーンから撮影中の様子まで、このカンパニーがすでに一枚岩の“大部屋”として抜群のチームワークを獲得、兼ね役もさらりとこなしつつ、自分たちのリズムとテンポで物語を自在に紡いでいる様子はただただ楽しい。
タイトルとなっている「NUKIDO」とは、立ち回りの技のひとつ「抜き胴」のこと。どんなにカッコいい殺陣でも、斬るものと斬られるものとの呼吸が合わなければ成立しない。チャンバラは、スターと仕出し、“芯”=主役と“絡み”=やられ役の信頼関係あってこそ。真ん中から見える景色と、周りから見ている景色。同じ場に居ながら、それぞれの役割によって得られるものは違う。だからこそ、互いが互いを引き立て合うことでその場は最高に輝きだすのだ。では、彼らの輝きは──ボリュームたっぷり、迫力満点のクライマックスの殺陣が答え。ワクワクさせてくれるその魂の躍動に、大きな拍手を贈ろう。
取材・文=横澤由香 撮影=渡部孝弘(オフィシャル提供)
公演情報
作・演出/福島カツシゲ