トランスジェンダー女性を演じる当事者を公募で決定 詩人・文月悠光原案の映画『片袖の魚(仮)』にイシヅカユウ・広畑りからが出演へ
イシヅカユウ
映画『片袖の魚(仮)』の制作がスタート。主演ほかキャスト情報が発表された。
16歳で現代詩手帖賞、史上最年少18歳で中原中也賞を受賞した詩人・文月悠光氏の詩「片袖の魚」(詩集『わたしたちの猫』/ナナロク社/2016刊収録)を原案とした映画。『劇場版 喧嘩番長』シリーズや『はぐれアイドル地獄変』などの商業作品や、『老ナルキソス』『ホモソーシャル・ダンス』などで知られる東海林毅監督が自ら脚本を書きあげメガホンをとる作品だ。なお、文月氏の詩を原案とした映画化は、今回が初めて。
文月悠光氏 撮影=石垣星児
東海林毅監督
また、本作は主役およびその友人役に、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と本人の性自認が異なること)当事者の女性俳優を公募した日本で初めての映画となる。多数の応募者の中からオーディションを経て、主人公のひかり役に選ばれたのは、ファッションモデルとして活躍し、映画『蹄』やNothing's Carved In Stone「Blow It Up」などのMV出演などでも知られるイシヅカユウ。友人の千秋を、性別適合手術後に芸能事務所へ所属し女優・タレントとして活動中の広畑りかが演じる。また、ひかりの同僚役で猪狩ともか(仮面女子)が出演することも決定している。
広畑りか
猪狩ともか
主演のイシヅカユウ、原案の文月氏のコメントは以下のとおり。
イシヅカユウ
新しいことに挑戦するのはいつも不安ですが、お芝居の渦中に身を投じ、自分の中にあるものと自分の中に無いものを重ねて一つの像を作る途方もない作業を楽しんでいます。
ご期待下さい。
文月悠光 (ふづき・ゆみ/詩人)
とても大切な映画です。文月も監督も主演のイシヅカユウさんも、本作に携わる多くの方にとって『片袖の魚』は大きな「挑戦」になります。それが何より嬉しいです。今はまだ稚魚のような心持ちですが、公開までどうか温かく見守って頂けたら幸いです。
『片袖の魚(仮)』は年内に完成、2021年の劇場公開を予定しているとのこと。なお、本作のオーディションは、「トランスジェンダーの役柄をトランスジェンダー当事者が演じる機会が極めて少ない」日本の現状を変えるべく行われた。メガホンをとった東海林監督は自身のWebサイトで、公募・選考を行って感じたことをつづっている。