紅ゆずる、宝塚歌劇団を退団後、初となる主演舞台『アンタッチャブル・ビューティー』への意気込みを語る「全部生まれ変わりました」
紅ゆずる 撮影=福家信哉
元宝塚歌劇星組トップスター・紅ゆずるの、退団後初となる主演舞台『アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~』が4月16日(金)より大阪松竹座で幕を開ける。演じるのは抜群のスタイルでダンスや演劇経験もあるという女性探偵。大阪・ミナミのはずれにあるシャッター商店街、その片隅に佇む探偵事務所になぜ彼女は探偵志願をしたのか……? 紅を中心に、三田村邦彦や吉本新喜劇の内場勝則、末成映薫らとともにミナミを舞台にしたハートフルコメディーを繰り広げる。
――『アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~』では、紅さんのリクエストで立ち回り(アクション)も披露されるそうですね。
はい。私は男役の立ち回りはしてきたのですが、女性としての立ち回りは経験がないので、やってみたいと思っていました。時代劇を見ていると、男性の場合は体の外側から斬っていくのですが、女性は短剣などを使って体に近いところで斬っているので、男女では立ち回りのスタンスも、手法も変わってくるはずだと。そこも勉強してみたいなという思いから、リクエストしました。
――紅さんは宝塚歌劇団の頃からコメディーに定評があります。コメディーを演じる醍醐味を教えてください。
やはり客席の笑いでしょうか。悲劇だと大体同じ場面ですすり泣く声が聞こえてきますが、笑いはお客様の間(ま)によって毎日、違うんです。舞台側の間合いだけじゃなく、客席の笑いや反応も全部間になるので、特に生の楽しさを感じる瞬間です。同じ公演でも毎日、毎回、その時のお客様によって反応があったり、なかったり。リピーターの方たちが多い回なのか、貸切公演で初めてご覧になる方たちが多い回なのかでまた変わってきますし、そこがまた楽しいところです。私は「お客様にとって舞台が次の日の活力になればいいな」という思いがあるので、喜劇はそれがダイレクトに感じられるし、自分の個性が一番生かせるのかもしれないと今は感じています。
――どういうところが難しいと思われますか?
人ってマイナスの方向に行くのは簡単ですが、プラスの方に働くのは難しいと思うんです。特に、現実的に何か大変な思いをしている方を笑わせることは至難の技です。
紅ゆずる
――紅さんのコメディー原体験は何ですか?
大阪出身なので、土曜日に小学校が終わって帰ったら、お昼のテレビで『吉本新喜劇』を見ながらお好み焼きとか、焼きそばを食べるというのが習慣でしたね。
――『吉本新喜劇』といえば今回、共演者に内場さんや末成さんがいらっしゃいますね。
はい。すごく嬉しいです!「師匠……!」という感じです(笑)。昔から『吉本新喜劇』を楽しみに見ていたので、まさか一緒に舞台に立たせていただけるなんて。光栄です。
――三田村邦彦さんとも共演されます。
私は時代劇が大好きで、小さい頃から見ていました。なので三田村さんとご一緒できることも感動ですね。
――時代劇のどんなところがお好きですか?
ドラマだったら、1時間放送の枠の中で、何時何分頃から立ち回りが始まるとか、主役の身分が判明するとか、大体、決まっているじゃないですか。そのお約束が、分かっているところも楽しいですよね。
紅ゆずる
――今回、出演にあたって「生まれ育った大阪で新しく生まれ変わった紅ゆずるをお見せしたい」とコメントされていました。新しく生まれ変わった紅さんとは?
まず男役ではなくなったことです。女優としてやっていくんだという気持ちで、全部生まれ変わりました。リニューアルですね! これまで男役しか経験がないので、女性の役を演じるとなるとどうなるかわかりませんが、楽しみながらやりたいと思います。最初は「男役というものを払拭させる」と思っていましたが、そうじゃなくていいのかなとも思い始めていて。男役を経験してきた自分にしか出せない部分と役を照らし合わせていけたらいいなと思っています。あと、男性とお芝居をすることもなかったので、そこも楽しみですね。
――最後に、『アンタッチャブル・ビューティー ~浪花探偵狂騒曲~』を、どんな作品にしたいと思われますか?
大阪松竹座で上演するということに意味がある作品にしたいです。大阪の街をテーマにした作品だからこそ、愛する大阪が元気になるものにしたいと思っています。
紅ゆずる
取材・文=Iwamoto.K 撮影=福家信哉
公演情報
演出:竹園元
音楽:甲斐正人
キャスト:
紅ゆずる
三田村邦彦
内場勝則
松島庄汰
松永玲子
末成映薫
江口直彌
2等席 7,000円
3等席 4,000円