齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第九十一沼 『人生落とし穴だらけ!Pitfall沼!』

2021.3.19
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「welcome to THE沼!」

沼。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れること

という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。

これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

齋藤久師が送る愛と狂気の大人気コラム・第九十一沼 『人生落とし穴だらけ!Pitfall沼!

ボクと妻はアレだ。

アレのため、いつも何かを探している。

サイフ、メガネ、携帯電話、時計。

しかし、TILEという紛失物捜索グッズを導入し、いくらかアレから開放された、、、とおもったが大間違いだった。

https://spice.eplus.jp/articles/280217

我々のアレは、紛失だけに止まらない。

妻は階段にとても弱く、子供の頃に自宅の階段から転落し、片目の視力を強力に落としてしまった。

また、つい数年前も階段から転落し、腕を折り大手術をした。

あんなにオシャレが好きなのに、シャツを後前反対に、そして裏返しに着ていることなど日常茶飯事だ。

 

一方、私もそうとうアレだ。

電気ノコギリで、電ノコ自らの電気コードを切断。

シンセサイザーを足の親指に落とし、爪が取れる。

自分で閉めた楽屋の門に挟まれ、中指複雑骨折。

 

齋藤家ではこんな落とし穴に、毎日毎日、365日ハマっている。

次第にそれは怒りから笑いへ、ネタへ、つまり全てをポジティブに捉え飯の種にしてきた。

このコラムも、ほぼ私たち齋藤家のアレの話ばかりだ。

そこで、このあまりにも酷いアレを作品にしてみた。

ドイツの名門電子音楽レーベルである「MILLE PLATEAUXから、昨年発売した

SAITO」名義のデビューアルバム。

一曲目に「Pitfalls(落とし穴)」というトラックを用意したのだ。

そして、昨年末から毎月一本のミュージックビデオを作ってきた私に、

ドイツのレーベルオーナーから依頼が来た。

ミルプラトー社長:

「お〜い、サイトっさんげんきだんべか?あんのよお、おめさんら、さいぎん、ビンデオつくってっぺ?そごでおねげえがあんだげんどもよお、アレ、あのピッドホールズつうおんがぐのよお、えーぞーつぐっでくんねが?」

SAITO:

「わがっだわがっだ!あせんでねえ、おらだぢ、しごどだげははええっぺがらな。つくっとくで、まあお茶でも飲んであんしんしてまっでろや」

という事で完成したMVがこちら「pitfalls」。日常のSAITO家を夢の中で再現してみた。

軽く地球をぶっ壊してみた

まあ目まぐるしい。自分たちで作っていてもめまぐるしい。

地球は吹っ飛ばさないまでも、だいたいいつも齋藤家はこんな感じなのだ。

そして、なぜこうもアレなのか、いろいろ考えてみたけど、原因がわからない。

そして、先日私たちよりもアレで有名な(医師からも正式に告げられた)イベントプロチューサーから、私に仕事の依頼が来た。

イベントプロデューサー:「久師さ〜ん!お元気っすか?」

私:「元気だよ!お前は?」

イベントプロデューサー:「超元気有り余ってますよ!ところで、出演していただきたいイベントがあるんですけど」

私:「場所はどこ?」

イベントプロデューサー:「淡路島です。淡路島で久師さんにUFOに乗って演奏してもらいたくて!」

私:「え?何?UFO?」

イベントプロデューサー:「そうっす、UFOです。3機あるんですけど、久師さんのために1番デカイの用意しときましたよ!」

私:「え〜っと。うんと。よくわからないんだけど」

イベントプロデューサー:「大丈夫大丈夫!久師さんなら大丈夫ですよ!」

私:「わ、わかった。乗るわ。」

はっきり言って意味がわからなかった。

でも私はなぜかその仕事を受けていた。

飛行機が大嫌いだから、わざわざ新幹線でむかって、UFOで宇宙に飛ぶとかどう考えてもおかしい。

しかし、いざ現場に着くと、スタッフは私の離陸にむけての準備に慌ただしく動いている。

そして、3機の中でも私の乗る最大級のUFOがこちらだ。

まさかの「木製」

しかも、4つある開閉式の窓は手動。

一応閉じてみたが、5cm程の隙間が空いている。

これでは大気圏に突入するときに、一瞬で灰になる。

このイベントは「収録」だという。

つまり配信とか観客をいれて行うイベントでは無い。

もしかして、人知れず私は宇宙の藻屑となってしまう可能性があるのだ。

しかし、ここは男、齋藤久師。乗るしか無いでしょ!

という感じで、UFOに入ってみたら意外と心地いい。

楽器と一緒にUFOに乗り込むと、全ての窓が閉められた。

これじゃあ誰が演奏しているのかわからない。と思いきや。

ちゃんとUFO内部の映像を捉えるカメラが設置されていた。

この原稿を執筆していると言う事は、私は生きている。

そのうち、UFO飛行シーンが配信される事だろう。お楽しみに。

 

淡路島から帰宅すると、こんどはいきなりDOMMUNEから連絡があった。

湯の存在しない今治にある温泉に入って欲しいと。いや、演奏して欲しいと。

私は、人前で裸になるのが苦手で、温泉や銭湯が大キライなのだ。

そのため、修学旅行など一切行った事が無い。

それを知っていてDOMMUNEがなぜ私をアサインしたのか、DOMMUNE宇川くんに聞いてみた。

宇川「マジで言ってんの?わからないの?だって、その場所に行かなくっても音出せるの久師君しかいないじゃんさあ!

つまり、今治には行かないよ!既に今治温泉の映像を録画してきたから、即興で今治温泉郷の音を出してほしんだ」

木製のUFOで宇宙に行った男に怖いものなどない。

しかも全裸にならなくてよい。

やる。

宇川先生に肩を揉ませるアレな齋藤久師。しかも宇川氏に与えられたピンクモエをガブ飲み。

無事、擬似温泉演奏を終え、私は夕刻に釣りに出かけた。

 

真っ暗の川筋、対岸が闇。

釣りをすると必ず土手から落ちて落水を繰り返す事を知っていながら、毎回忘れる。アレだから。

ルアーを闇の対岸に投げたら引っかかって取れなくなってしまった。

水の深さを竿をしずませて簡単に測ってみた。

すると、長靴ギリギリの深さ。

「イケる」

私は意を決して、対岸まで川を横断しようと岸から一歩水に足を踏み入れた。

と同時に予定通り、川岸のぬかるみで大転倒し川にジャボ〜〜〜〜ン!!!!!!!!

 

アレ!?足つかない!川底に足がつかない!深い!

溺れてる!確実に溺れてる!!!!!!!!!!!

 

藁をも縋る気持ちで、マジで枯れ果てた藁を掴み岸に這い上がり一命を取り留めた。

頭のてっぺんまで潜ったのは初めてだった。

しかし、今のスマホは優秀だ。水没してもぜんぜん使える。

落水直後。恥ずかしくて、ここまでしか写せない。顔はZOMBIE

すぐに妻に連絡して迎えにきてもらう連絡をした。

すると暗闇の背後から聞き覚えのある声が

「齋藤さん!齋藤さんですよね?」

彼は去年出会った若い釣り人、中村さんだ。

おそらく私の息子といってもいいほどの年の離れた若いアングラーだ。

中村さん:「大丈夫ですか?」

私:「大丈夫じゃないす!落ちましたw」

中村さん:「もしかして、あのルアーっすよね?」

私:「そうっす!アレっす」

彼は、私が対岸にひっかけたルアーの価値をだれよりも知っている。

落水した時に私の体にひっついたゴミを取ってくれながら(ほとんど老人介護)、彼は自らルアー救出作戦を申し出てくれた。

漆黒の対岸に到着すると、思った以上に何も見えない。しかも薮だらけでなかなか入っていけない。

そこで私は再度足を滑らせて2度めの落水www

しばらくすると中村さんの絶叫が聞こえた。

「あった〜〜〜〜〜!!!!!!ありました〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

まるで、自分のことのようによろこびながらロストしたルアーを見事に発見!!!!!!!!

ルアー救出!英雄 中村さん!

釣り人っていいなあ。温かい。

程なくして妻が到着。

ビショ濡れの私と美青年、中村さんとのツーショットをパシャリ。

好青年すぎる釣り人 中村さん

中村さん:「また会いましょう!今度は一緒に!」

といって、清々しく漆黒の川へ降りて行った。

次の日。

落水したときに着ていた着衣からタバコがw

一緒に溺れたタバコ。乾かして吸おうとしてたら家族に怒られた。

人生、一寸先は闇だ。

しかし、闇を光に変える事もできる。

無数の落とし穴に、これでもかとばかりにハマりまくってもなんとか生きている。

穴を穴とも思わない強靭な心w

これを人はアホという。

しかし、だからこそできる事もある。

何かをイメージして作り出す。

例えば私たちだったら音楽を生み出す。

これには、多少の欠落が必要なのかもしれない。

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