GRANRODEO、約1年半ぶりの有観客ワンマンライブ 『GRANRODEO limited SHOW 2021』 3月14日東京公演オフィシャルレポート公開
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
2021年2月末、西川貴教ら豪華ゲストアーティストを迎えた15周年アニバーサリー主催フェス“GRANRODEO 15th ANNIVERSARY FES ROUND GR 2020”を大成功のうちに終えたGRANRODEOが、約1年半ぶりとなる有観客ワンマンライブ 『GRANRODEO limited SHOW 2021』を、2021年3月13日(土)より2週にわたり、東京・Zepp DiverCity、大阪・Zepp Osaka Baysideにて各2days開催した。
GRANRODEO自身もカメオ出演を果たし、若手俳優出演による実写ショートムービー『ロストマインズ』と楽曲を融合した、3月10日(水)リリースの2ndミニアルバム『僕たちの群像』ナンバーを中心としつつも、新旧の人気曲を盛りこんだ濃縮度の高いセットリストで、ライブバンドとしての圧倒的な実力を改めて見せつけた。そんな“limited SHOW 2021”、3月14日(日)東京公演2日目の模様をお届けする。
前日の大雨から一転、春の訪れを感じさせる晴天に恵まれたZepp DiverCity。開演時間の17時を回ると、暗転した場内にギターのハーモニクスの音色が、学園ドラマの『ロストマインズ』の世界観に合わせて、懐かしい学校のチャイムを鳴らす。フォークロアを感じさせるBGMをバックに、メンバーがシルエットとなってステージに現れると、沸き上がる大きな拍手。スポットライトを浴びたe-ZUKAが軽快なアルペジオを奏で出すと同時に、強烈なライトが客席を照らす。
ステージ中央で両手を広げたKISHOWが躍動してスタートしたのは、最新ナンバーの「未来線を上って」だ。GRANRODEOとしては珍しい、白が基調の衣装も新鮮。爽やかなこの曲を主題歌に据え、放課後の学校での物語が描かれた『ロストマインズ』を想起させるオープニングに思わず頬が緩む。続く「妄想GRAVE」も『僕たちの群像』からの新曲。各種インタビューで、収録曲中、最もGRANRODEOらしいナンバーだと語られていたように、シンプルながらも骨太に“ロック”する。
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
最新ナンバーを2曲プレゼントしたところで、息もつかせぬ勢いで放たれたのは、ちょっと懐かしい楽曲達だった。太い骨に分厚い筋肉をまとった「DECADENCE」、そして沸き上がるマグマを一気に放出するかのような「ボルケーノ」。ステージ後方に掲げられたお馴染みのGRANRODEOの電飾とバンドの背後に立ち並ぶマーシャルアンプの壁。KISHOWが激しくアクションしながら、まさに絶好調!を感じさせる野太く伸びやかなボーカルとシャウトを響かせ、足を振り上げて体を揺らしながらe-ZUKAが歪んだギターを弾きまくる。
頭を振ってタムを回すSHiNのドラムと、軽やかに重みのあるフレーズをうねらせる瀧田イサムのベースが絡み、規格外の轟音をぶつけるステージ。そのすべてが、“ようやくGRANRODEOのワンマンが帰ってきた!”という喜びを感じさせ、オーディエンスが懸命に振りまくるペンライトの動きに拍車をかける。
「ハロー、Zepp DiverCity、燃えてますか?」というワンマンらしい挨拶を生で聴くのも久しぶり。e-ZUKAはオープニングの「未来線を上って」を「ヤバいすね、エモいっすね。ちょっと泣きそうになっちゃった」と振り返り、KISHOWが思い切り歓声を挙げられないオーディエンスに「心の中だけならどんなに叫んでもいいからね、やっちゃおうよ!」と力強く声を浴びせる。
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
「いつだって愛って素晴らしいよねって曲やります!」と告げて弾むリフから始まったのは、ゴージャスなサウンドも魅力の「FAB LOVE」だ。KISHOWがクルリとロングジャケットの裾を翻して飛び跳ねてe-ZUKAが軽やかにダックウォークを決め、“愛”のナンバーに続いては、若き “恋”を歌うポップな「変幻自在のマジカルスター」へ。色とりどりに輝くライトが、青春の眩しさを思い出させる。
MCでは、サポートメンバーの瀧田とSHiNがKISHOWやe-ZUKAと冗談を飛ばしながら、なごやかなトークで会場をゆるりとした雰囲気に包み込む。1年半振りの有観客ワンマンだからこその高揚感も手伝ってか、メンバーの仲の良さを感じる何気ない雑談も、いつも以上にテンポ良く賑やかだ。
「次はアルバムの中から新曲を」とKISHOWが告げ、再びステージはそれまでとは違うカラフルな色に包まれる。e-ZUKAがニコニコと微笑みながらハンドクラップし、弾むようなファンキーなベースリフとキーボードが小粋なサウンドを織りなして届けられたのは、KISHOWがまろやかなファルセットとワイルドな歌声を交互に響かせる「オレンジピール」だ。おなじみのハードなGRANRODEOとは一線を画す、e-ZUKAのクリーンなカッティングとリズミカルなリフが、フレッシュなラブソングをジャジーなサウンドで彩る。キュートなセリフも飛び出し、声色を自由自在に操るKISHOWの滑らかなボーカルとフェイクがじつに心憎い。ハートウォームな空気は、愛しき者を失った想いを描くドラマティックなバラード「その愛と死を」でまたも一変。胸を締め付けるようなKISHOWの切ない歌声が、白いライトとともに客席に降り注いだ。
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
歌い終えたKISHOWがステージを後にすると、始まったのは『僕たちの群像』唯一であり、GRANRODEOの新曲としては久々のインストゥルメンタルナンバー「18SDGs」。ボーカロイドナンバーを意識したという超アップテンポで軽快なフレーズに、お得意のフュージョンテイストを織り交ぜて飛び跳ね、走り回りながら熱演するe-ZUKA。瀧田の鋭いスラップベースとSHiNのテクニカルなドラムが、疾走感をあふれさせた。
ここで再び、タオルを振り回しながらKISHOWが合流。「Can Do」のイントロを聴いたオーディエンスが一斉にペンライトを黄色に変え、「心の中で叫んでちょーだい!!」というKISHOWのシャウトに応えるようにさらに大きく光を散らすと、e-ZUKAと瀧田が定位置から逆ポジションのステージ前方へと走り出す。力強い“キミがいればいつだって 何度だって立ち上がれんだ”の歌声と「だからやれるだろ!」の叫びが、リズムに乗って心になだれ込んでくる。KISHOWが高くジャンプを決めて続いた曲は、痛快なエンジン音と鋭いKISHOWのハイトーンシャウトから始まるドラスティックな「Scorn」。攻撃力抜群のボーカルと切り裂くシャウト、過激なモノローグを激しいサウンドでぶつける「Scorn」の熱量は、続く「HEAVEN」でも登りつめたままだ。バンドのアクションと演奏はますます激しさを増し、「ナミダバナ」でKISHOWは約20秒間にもおよぶハイキーなロングトーンを聴かせ、圧倒的なエネルギーでオーディエンスをねじ伏せた。
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
「“ROUND GR 2020”からいつもほどではないにせよ、お客様の前でパフォーマンスできる喜びは、昨日から噛みしめていて。こういう状況にもちょっとずつ慣れていって、こういうふうに楽しめばいいんだという感覚を、みんなで見つけられればいいなと思ってます。だって俺、超絶楽しいですよ、いま」(KISHOW)
「去年、横浜ベイホールで(〜たかが15年〜)無観客ライブをやり、これからどうなっちゃうんだろう?と思いましたけど、今日も着席で声を出せない以外は、ほとんどいつもと変わらない。僕らバンドは音を出してないと良くならない。僕らがこの15年、16年飽きずにやってこれたのは、演奏する場があったからなんです。できる限りの体制を作って皆さんが来てくれて、本当に嬉しいです。“ROUND GR 2020”でも全アーティストを観て思いました。やっぱりGRANRODEOは最高だなと。だからまだまだやりますよ!」(e-ZUKA)
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ
このコロナ禍での想いを、時に冗談を挟みながら気取りない言葉で届けるのもGRANRODEO流。そしてKISHOWが「いささか月並みですが、皆さんに幸せが訪れますように」と言って本編ラストを飾ったのは「HAPPY LIFE」だった。この曲は、今からちょうど10年前に我々を襲った悲しい出来事の後、みんなが少しでもハッピーに前を向いていけるように、という想いを込めて作られたナンバーだ。MCでは何も語られはしなかったが、今こそ、この曲をみんなに届けたいという気持ちが、音楽と彼らの笑顔を通じて確かに伝わってきた。
いつもの「グラン」「ロデオ」コールの代わりに、オーディエンス同士が手拍子を掛け合って迎えたアンコール。前日の公演で発表された5月の東京・Zepp Hanedaでの2daysワンマンライブ「GRANRODEO LIVE 2021 “Rodeo Coaster”」の開催とファンクラブ会員限定のVR生配信実施に加えて、8月の「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」への参戦を報告。「また元気に会える日を楽しみにしています!」と明るく告げて、今回のライブで初めてバンドセットで披露されたラストナンバー「welcome to THE WORLD」を解き放つ。GRANRODEOの15周年を記念し、さらなる歩みをファンに約束した華やかなこの曲。 “welcome to this カオスな世界だけど まだ枯らすな 限りない旅は色を変えど永遠に続く”から、 “愛という最終兵器”を手に共に未来へ行こうと歌う愛にあふれたGRANRODEOからのメッセージは、この日、Zepp DiverCityに集った全ての人の心を癒しながら明るい希望を与えてくれた――。
(オフィシャルライター:阿部美香)
『GRANRODEO limited SHOW 2021』 カメラマン:キセキミチコ