ミイラ・マスク、人型棺など約130点展示、天地創造の神話をテーマにした『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』が京都で開催
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京都市京セラ美術館で開催中の『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』の内覧会が16日、同会場にて開かれた。
ヨーロッパ最大級の規模と質を誇る総合博物館・ベルリン国立博物館群のエジプトコレクションのなかから、「天地創造の神話」をテーマに約130点を展示する『古代エジプト展』。日本初公開のものも100点以上揃うなど、非常に貴重な機会となった。本展の見どころとなるのは、「天地創造と神々の世界」「ファラオと宇宙の秩序」「死後の審判」をテーマに作品が選りすぐられている点。「たとえ世界が滅びたとしても再生する」という神話を中心に構成している。
「ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)」
来場者を歓迎するようにまず展示されているのは、「腹ばいになる山犬の姿をしたアヌビス神像」。この神像は、死者を守護するために祠堂や木棺の蓋に取り付けられていたという。死者の身体を正しくミイラ化する役割を担い、またあの世への道を開く存在でもあった。古代エジプトの山犬ではあるが、その姿形は現代の犬と何ら変わりはない。
「腹ばいになる山犬の姿をしたアヌビス神像」
監修をつとめた早稲田大学文学学術院・近藤二郎教授が「東京開催時に1番人気だった」と言うのは、「創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ」。
監修・近藤二郎(早稲田大学文学学術院教授)
「創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ」
「デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク」は、本展の目玉のひとつ。メイル遺跡出土のこのミイラ・マスクは部分的に貼られた金箔が華やかさを演出。装飾には籠にとまるトキなど、守護神や象徴が記されており発見が多い。じっくり鑑賞したい展示だ。
「デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク」
遺体を納めるときに使った多重棺「タイレトカプという名の女性の人型棺・外棺」「タイレトカプという名の女性の人型棺・内棺」はその大きさに圧倒される。一方で「王女の立像」や「棺台の上のトトメス王子の小像」は優美さ、厳かさがありながら小さくて可愛らしい印象も与える。
「タイレトカプという名の女性の人型棺・外棺」
本展の終盤に展示されているのは、同展の象徴である「背面にジェド柱を持つオシリス神の小像」。エジプトの最初の神話上の支配者であるオシリスの像がなぜ、終盤に配されたか。その理由について近藤二郎教授は「「古代エジプト展」は再生をテーマにしている。この「オシリス神の小像」を最後に観て、もう一度はじめから展示をまわってほしいという気持ちから最後に展示しました」と構成について語ってくれた。
「背面にジェド柱を持つオシリス神の小像」
「古代エジプト展」はグッズも豊富で、大人用から子ども用までサイズが用意されているTシャツ、かわらせんべいなどのお菓子、毎日必須のマスク、さらに何が出るかお楽しみなガチャガチャまで用意されている。
QuizKnock
音声ガイドは、舞台『刀剣乱舞』シリーズで知られる俳優・荒牧慶彦、クイズを題材としたYouTubeチャンネルなどで活躍するQuizKnockが担当している。
グッズ売り場
『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』は6月27日(日)まで開催される。
取材・文・写真=田辺ユウキ
イベント情報
2021年4月17日(土)~2021年6月27日(日)
開館時間
10:00~18:00 ※展示室への入場は閉館の30分前まで
京都市京セラ美術館
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124