指揮者 広上淳一 2021年9月よりフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)に就任
広上淳一
公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団(理事長:平井俊邦)は、2021年9月1日(水)より指揮者 広上淳一を「フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)」に迎えることを発表した。
広上はかつて日本フィルの正指揮者として着任しており(1991年9月-2000年8月)その後も毎年定期演奏会に出演するなど、両者は継続的な繋がりをもってきた。広上について日本フィルは、「日本フィルの精神性を深くご理解いただいております」と信頼を寄せている。また、指揮者であると同時に教育者でもある広上。今回の就任では、「演奏家としての在り方を若い奏者にも語り掛け、芸術的中軸を築き上げる指導者的役割も期待している」という。
今回の就任背景について日本フィルは「コロナ禍に喘ぐオーケストラ業界において、芸術・文化分野の状況を俯瞰的に見ることのできるマエストロの一人が広上淳一氏です。芸術を取り巻く環境が危機の今こそ、一つのオケ、という単位だけではなく、クラシック音楽界全体をどう盛り上げ、支えてゆくかが問われております。日々熟考されている広上氏から音楽的にも経営的にも型にはまらないアドヴァイスをいただきながら、日本フィルは更なる高みを目指していきたいと願っております」としている。
広上は、2022年7月2日(土)第379回横浜定期演奏会、同年7月8日(金)・9日(土)第742回東京定期演奏会に登場予定。なお、Member's TVU CHANNELでは、広上×日本フィルの最新の演奏を視聴することができる。
■広上淳一よりメッセージ
私も齢63になった。日本フィルの父、故渡邉暁雄先生がご存命の頃の63を今改めて思い出すと、なんと、貫禄、高貴な、そして光輝な人格、慧眼を持ち合わされていたことだろう。なんと言っても、その醸し出す雰囲気、気!の強さと尊さは、圧倒的だった。今の私とは、比較にもならない…。情け無い限りだ…。1979年東京音大に入学した、私と現田茂夫が、その年から始まった第九の大学合唱団員として参加していた第九の授業に先生がいらっしゃり、リハーサル後私達を呼び止め、この大学で真剣に、そして真摯に勉強するのだよ!必ずミューズの神は君達を護り指揮者に導いてくれる日が訪れるだろう、と励まして頂いた。この金言、今でも脳裏に焼き付いている。日本フィルは若い未熟な時代の私に暖かい手を差し伸べ、そして今の私に育て上げてくれた。私の指揮人生の大事な恩人オーケストラである。
コロナ禍の中で苦しむ我が国の国民、多様な職種の人びとが日々苦しんでいる…。音楽業界も然り。大した力にはなれないかもしれないが、今こそ先人の偉大さを思い出して、少しでも音楽界に貢献できるように残りの人生を生きることに決めた。人々が幸せを感じ、笑顔の塊の姿と温もりのある社会の姿が来ることを夢みて…。その一心でこの職を引き受ける事にした。
日本フィルへの恩返しを遅まきながら始めます。
「温故知新」