12月歌舞伎座『十二月大歌舞伎』尾上菊之助・中村勘九郎コメント到着 おしどり夫婦を描くあたたかい愛情物語、いよいよ開幕
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(右から)尾上菊之助、中村勘九郎
2021年12月1日からの『十二月大歌舞伎』第二部で、『ぢいさんばあさん』が上演される。この度、いよいよ今週に迫った初日に向け、第二部『ぢいさんばあさん』に出演する尾上菊之助と中村勘九郎が作品への思いを語った。
本作は森鷗外の短編小説を原作に、劇作家の宇野信夫が作・演出を手がけ、昭和26(1951)年に初演された新歌舞伎。
変わらぬ夫婦愛を描いた名作に今回初役で挑戦するのは、尾上菊之助と中村勘九郎。歌舞伎はもちろん、連続テレビ小説への出演や大河ドラマなど映像ジャンルでの活躍も記憶に新しい二人だが、今回は約5年ぶりに夫婦役での共演となる。
演じるのは、それぞれの父、そして祖父も勤めてきた伊織とるんというおしどり夫婦。一年を締めくくる12月にほっこりと心あたたまる愛情物語を届ける。
尾上菊之助・中村勘九郎コメント
ーー『ぢいさんばあさん』の思い出、作品の印象
菊之助:若夫婦のきくという役でこれまで2回出させていただいて、その時は父(尾上菊五郎)がるんを勤めておりました。お互いのことを「思う」、「偲ぶ」、「慈しむ」という、なかなか今では感じづらくなっている日本人の大事にしなければいけない心というものがこの作品にはこもっていると感じておりました。今回は勘九郎さんと一緒に勤めさせていただきますけれども、二人でこの心を大切にしながら、先人たちが築き上げてきた心を大事にしながら勤めていきたいと思います。
尾上菊之助
勘九郎:私は弟の久右衛門を勤めさせていただいたことがあります。その時は父(十八代目中村勘三郎)が伊織を演じており、るんを玉三郎のおじさまが演じておりました。久右衛門は最初の場面で出番が終わってしまうのですが、そのあとの二場面を毎日のように拝見して、演じていないのに毎日涙が出ていた記憶があります。すごくあったかい作品でもありますし、父や祖父のようにチャーミングで可愛らしい伊織や夫婦像というのを菊之助さんとともにできればいいなと思っております。
ーー久々の夫婦役での共演、若手との共演について
菊之助:5年ぶりなんですね、勘九郎さんと夫婦を演じさせていただくのが。その時も色々お話をさせていただきながら作り上げていった思い出もありますので、今回も二人で話し合いながら作り上げていければという風に思っております。今回若手の歌昇さんや尾上右近さんたちとも一緒に舞台を作っていますが、みんな本当にこの作品を良くしようという心意気が一つの方向に向かっています。一場面一場面、みんなで作り上げていくお芝居だという風に改めて感じています。
勘九郎:5年前演じさせていただいた時もバカップルというか…イチャイチャが激しい夫婦を演じさせていただいて、今回の伊織とるんも上品ではありますけれども負けず劣らずのおしどり夫婦です。今、稽古をしながら2日間とも違った感じというか、毎回新鮮にできるというのがすごく幸せです。本当に信頼しきっている方なのでとても楽しいです。
中村勘九郎
ーー意気込み
菊之助:ばあさんのるんを勤めさせていただきます。結婚して赤ちゃんも生まれたばかりの夫婦が別れ別れになって、今度会うときには姿形はおばあさんとおじいさんになっている…勘九郎さん演じる伊織との日々の舞台での化学反応を楽しみながら、37年という時間をかみしめながら日々勤めたいと思っております。
勘九郎:今、まだコロナ禍ということで大切な人、会いたい人に会えない時代で、とてもお客様の心に刺さる作品になっているなと思います。先人たちが築き上げてきたすばらしい演出や、技というものを受け継ぎながら、今の私たちの心を入れて勤めたいと思っております。ほっこりできる作品ですのでぜひ劇場へ足をお運びください。