OSK日本歌劇団、100周年メモリアルイヤーがいよいよ始動、トップスター楊琳が思う劇団最大の魅力は「生命力」

2021.12.16
レポート
舞台

OSK日本歌劇団 撮影=福家信哉

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1922年に誕生したOSK日本歌劇団が、2022年に創立100周年を迎える。そんな大きな節目の年に、2月には生まれ故郷の大阪松竹座で、続いて3月には東京・新橋演舞場で『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー 春のおどり」』、そして7月には京都・南座でも『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」』を開催。長年のOSKの歩みと歴史、そしてあふれんばかりの魅力を盛り込んだレビューを展開する。

『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」』

OSK日本歌劇団は大阪松竹座の開場に合わせ、新たなジャンルの興行を模索していた松竹創業者のひとりである白井松次郎により1922年4月に「松竹楽劇部」として大阪の地に誕生した。その後、姉妹劇団の松竹歌劇団(SKD/1928年~96年)や宝塚歌劇団とともに日本三大少女歌劇のひとつとして日本のレビュー文化をけん引し、笠置シヅ子や京マチ子、秋月恵美子ら数々のスターを輩出。スピード感あふれるラインダンス「ロケット」や圧巻の群舞には定評があり、「ダンスのOSK」と称され、レビューの歴史をいまに受け継いでいる。

2003年には一時、解散の危機に直面するも、街頭での署名活動などを経て市民劇団として見事に復活。2004年には66年ぶりに大阪松竹座で『春のおどり』を上演することができた。現在は、トップスターの楊琳、娘役トップスターの舞美りら、千咲えみを中心に中堅から若手の劇団員、そして特別専科の桐生麻耶、朝香櫻子と、総勢52名のメンバーが顔をそろえ、間もなく訪れる100周年を迎えようとしている。

2022年2月5日(土)より大阪松竹座で幕を開ける『レビュー 春のおどり』は二部構成で、第一部「光」の演出・振付を山村友五郎、尾上菊之丞、藤間勘十郎が、第二部「INFINITY」の作・演出を荻田浩一が務める。

先日、大阪市内で開かれた製作発表では第一部の演出・振付を担う三人と楊琳、舞美りら、千咲えみら劇団員が登壇、公演への思いを語った。まずは、100周年記念公演を前にしての意気込みから。

楊琳

楊は「100周年という大きな節目を迎えられるのも、私たちをどんな時も温かく見守り、OSKを愛し、応援し続けてくださるファンの皆様のおかげです。100周年記念公演は、大阪松竹座、新橋演舞場、京都・南座の3都市で披露させていただきます。それぞれの劇場で総勢52名の全劇団員がこの記念公演に出演させていただき、こんなに嬉しいことはありません。一人ひとり、改めて舞台に立てる喜び、感謝の気持ちを胸に、全員で力を合わせ、歴史の1ページに残る素晴らしいレビューをお届けしたいと思います」とあいさつした。

舞美りら

続いて舞美は「これまでOSKに携わり、支えてくださった全ての皆様のおかげで今日という日を迎えられ、100周年記念公演を上演させていだけることに心より感謝いたしております。感謝の思いを胸に、お稽古と公演に臨んでまいりたいと思います」と語った。

千咲えみ

千咲は「私は10年前、創立90周年記念公演を研修生として客席から観させていただきました。そして大変大きな節目となる100周年の記念すべき『レビュー 春のおどり』に出演できて光栄なことだと感じております。今、私ができるすべてのことを出し切り、全身全霊で取り組んでいきたいと思います」と声に力を込めた。

桐生麻耶

後輩である楊のトップスターとしてのしっかりとしたあいさつに「胸が熱くなる」と、その成長を喜んだ特別専科の桐生麻耶は、「100周年は、今、所属している私達だけではたどり着けませんでした。ずっと見守ってくださったOGの方、数々の困難があったときに助けて下さった皆様の気持ちを胸に、劇場へいらしてくださったお客様に最高の舞台を、楊琳を筆頭に劇団員一丸となってお届けしたいと思います」と語った。

朝香櫻子

同じく特別専科の朝香櫻子は「今まで支えてくださった皆様、見守り続けてくださった皆様、たくさんの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんの皆様にいらしてほしいです」といざなった。

7月の南座公演で退団を発表した3名の劇団員の姿もあった。

OSK日本歌劇団員、山村友五郎、尾上菊之丞、藤間勘十郎

虹架路万は「最後の最後まで、今まで学んできたこと、支えてくださった皆様のお顔を思い浮かべながら、感謝の気持ちを込めて、来てくださったお客様に今の気持ちをお伝えできるように一所懸命、頑張ってまいりたいと思います。まず大阪松竹座公演を命がけで頑張っていきたいです」と前を向いた。この100周年記念公演が、研修生時代から数えると16回目の『レビュー 春のおどり』という愛瀬光は、「歴史を繋ぐ1人として、次の『レビュー 春のおどり』もしっかりと務め、自分が夢見た歌劇の世界を最後までしっかりと皆様にお届けしてまいりたいと思います。どうぞ最後まで温かい声援をよろしくお願いいたします」と涙声であいさつした。遥花ここは「私がOSKに入りたいと思ったキッカケは、伝統ある大阪松竹座の大きな舞台に立ちたいと思ったことでした。そんな舞台に私も来年で13回、続けて出演させていただきます。本当に素晴らしい貴重な経験をこれまでさせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。この思いを胸に、遥花ここの集大成を精一杯務めてまいりたいと思います」と誓った。

翼和希

そんな先輩の後姿を追ってきた華月奏は「100周年の舞台に出演させていただきますこと、そして大事な上級生の卒業を最後まで見届けさせていただけること、本当に責任を持って舞台に立たせていただきたいと思います。皆様どうぞよろしくお願いします」とまっすぐ前を見据える。続いて翼和希は「入団10年目を迎える年にこのような晴れがましい舞台に立たせていただくこと、幸甚の至りでございます。100年続くOSK日本歌劇団員として、感謝と誇りを持って次の100年に繋げる力の一端を担えるよう精一杯務めてまいります」と堂々とあいさつ。

第一部の構成は、序盤を山村友五郎、中盤を藤間勘十郎、終盤を尾上菊之丞が担う。祝祭的な雰囲気の中で幕を開け、中盤で勘十郎が得意とする歌舞伎の要素をふんだんに取り込み、時には立廻りなどで勇壮に。そして最後にバトンを受け取った尾上菊之丞が30人以上の劇団員によるエネルギッシュな群舞などをみせるという。

第二部作・演出の荻田浩一は当日欠席していたが、記念すべき公演に参加できることへの謝意や意気込みと共に「更なる100年に向けての冒険は永遠に続くと思います。その意味を込めて「INFINITY」つまり無限という言葉をタイトルに選びました」とメッセージを会場へ届けた。

1930年に大阪松竹座で初御披露目された『レビュー 春のおどり』のテーマソング「桜咲く国」と、桜色のパラソルをつかったフォーメーションで劇場が「満開」になる桜パラソルは、今もなお受け継がれ、OSKの代名詞ともなっている。楊や朝香もそれらに「100年の伝統を感じる」と語った。この100周年記念公演では、どんな満開の桜を見せてくれるのか期待が高まる。

楊琳

そんなOSKの一番の魅力について問われると、「生命力だと思う」と答えた楊。「よく雑草魂と言われますが、どんな花も咲くという意味を込められているように思います。群舞力など魅力がたくさんありますが、その中でも生命力の強さが一番のアピールポイント。OSKがパワースポットになればいいなと思っています。観てくださる方々に生きる力、笑顔、元気を受け取ってもらえるよう、私達が命を燃やして、力の限り日々を務めあげたいと思います!」と意気込んだ。

取材・文=Iwamoto.K 撮影=福家信哉

公演情報

『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」』
第一部「光」:演出・振付 山村友五郎・尾上菊之丞・藤間勘十郎
第二部「INFINITY」:作・演出 荻田浩一
大阪松竹座公演
【日時(16公演)】
2月5日(土)11:00/15:00
2月6日(日)11:00/15:00
2月11日(金・祝)11:00/15:00
2月12日(土)11:00/15:00
2月13日(日)11:00/15:00
2月18日(金)11:00/15:00
2月19日(土)11:00/15:00
2月20日(日)11:00/15:00
【出演者】
楊琳、舞美りら、千咲えみ、白藤麗華、虹架路万、愛瀬光、城月れい、華月奏、遥花ここ、実花もも、翼和希、穂香めぐみ、結菜ほのり、りつき杏都、壱弥ゆう、朔矢しゅう、椿りょう、羽那舞、唯城ありす、京我りく、渚美怜、紫咲心那、有絢まこ、せいら純翔、瀧登有真、翔馬かいと、花うらら、梅名希歩、夏目せな、華蓮いろは
(特別専科)桐生麻耶、朝香櫻子
【ご観劇料(税込)】
一等席(1・2階)8,500円/二等席(3階)4,500円
 
 
新橋演舞場公演
【日時(6公演)】
3月25日(金)12:00/16:30
3月26日(土)12:00/16:30
3月27日(日)11:30/16:00
【出演者】
楊琳、舞美りら、千咲えみ、白藤麗華、虹架路万、愛瀬光、城月れい、華月奏、遥花ここ、実花もも、翼和希、穂香めぐみ、りつき杏都、壱弥ゆう、朔矢しゅう、椿りょう、雪妃詩、唯城ありす、柚咲ふう、京我りく、凜華あい、依吹圭夏、純果こころ、せいら純翔、翔馬かいと、空良玲澄、真織ひな、璃音あかり、華蓮いろは、柊湖春
(特別専科)桐生麻耶、朝香櫻子
【ご観劇料(税込)】
S席(1・2階)9,500円/A席(3階)5,000円

公演情報

『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」』
第一部「ミュージカルロマン 陰陽師」:原作 夢枕獏『陰陽師』シリーズ(文藝春秋刊)より
作・演出 北林佐和子
第二部「INFINITY」:作・演出 荻田浩一
【劇場】
南座
【日時】
7月9日(土)11:00/15:00
7月10日(日)11:00/15:00
7月11日(月)休演
7月12日(火)11:00
7月13日(水)11:00
7月14日(木)休演
7月15日(金)11:00
7月16日(土)11:00/15:00
7月17日(日)11:00/15:00
7月18日(月・祝)11:00/15:00
【ご観劇料(税込)】
一等席:8,500円/二等席:4,500円
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