特別展『大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語』神戸でも開催、選りすぐられた6体のミイラをCTスキャンで解析
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特別展大英博物館ミイラ展古代エジプト6つの物語 メインビジュアル
2022年2月5日(土)から5月8日(日)までの81日間、兵庫・神戸市立博物館にて特別展『大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語』が開催される。
大英博物館 外観 (c) The Trustees of the British Museum
同展は、古代エジプト文明の研究で世界を牽引してきたイギリス大英博物館の収集品から、6体のミイラを選りすぐり、CTスキャンを用いた画像解析によって、外側からはうかがい知ることのできないミイラの謎を解き明かし、古代エジプト人の生活や文化を紹介するもの。東京・上野の国立科学博物館での開催を経て、今回神戸に巡回する。
展示される6体のミイラは、王家の所領を管理する役人、代々続く名家の神官、既婚女性、幼い子どもで、年齢や性別、職業、暮らしていた時代も様々。一体彼らはどのような人生を送り、ミイラとして現代に残ったのか。CTスキャン画像をもとにした高精度の映像や、「食」「健康」「音楽」「家族」などのテーマに沿った展示物を交えながら、6つのミイラの物語を展開する。
カルトナージュ棺に納められたネスペルエンネブウのミイラと、CT スキャン画像から作成した3次元構築画像 第3中間期・第22王朝 前800年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
現在ミイラ研究にとり入れられているのは「X線写真」の技術。これを応用することで、包帯を解くことなく、当時の姿のままで、ミイラの性別、年齢、身長、生前の健康状態などを知ることができるようになった。さらに、CTスキャン分析により、ミイラの頭頂から足先まで、数千カ所にわたりX線撮影をした画像を立体化。2次元から3次元の画像を構築することも可能となった。これにより、実際には見ることができない、ミイラの内部構造まで知ることができる。
展示構成は、「アメンイリイレト:エジプト南部の都市・テーベの役人」「ネスペルエンネブウ:代々続く名家の神官」「ペンアメンネブネスウトタウイ:下エジプトの神官」「タケネメト:テーベの既婚女性」「ハワラの子ども」「グレコ・ローマン時代の若い男性」、6体のミイラそれぞれに沿った章立てとなっている。
1.アメンイリイレト:エジプト南部の都市・テーベの役人
「ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺」 前380~前343年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
アメンイリイレトは、王の娘の所領を管理していた役人で、その地域の名士。3重の棺、豪華なビーズネットなどの副葬品は、彼の地位や財力を示している。極めて保存状態が良いこのミイラからは、古代エジプトのミイラ作りに迫る。
2.ネスペルエンネブウ:代々続く名家の神官
「ホルス神に授乳するイシス女神像」 前664~前332年 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
ネスペルエンネブウは、神像に日々の供物や呪文を捧げる神官として儀礼に携わっていたとみられる。CTスキャン分析で、内部にはヘビやハヤブサなどの動物の形をした護符の存在が確認された。本章では、死者を守り、不死の力を得るための呪術的な力を持つ護符や装身具、棺やレリーフに描かれた神々の姿を紹介する。
3.ペンアメンネブネスウトタウイ:下エジプトの神官
ペンアメンネブネスウトタウイの内棺と、ミイラのCTスキャン画像から作成した3次元構築画像 第3中間期・第25王朝、前700年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
バステト神を祀った神殿などの神官だったペンアメンネブネスウトタウイには、現代病と言われる動脈硬化の症状が確認された。日常の食生活が健康に及ぼす影響は当時も同じ。本章では、古代エジプトの医学、飲食用の器や食べ物など、現代の私たちにとっても身近なテーマ「暮らしと食」に焦点をあてる。
4.タケネメト:テーベの既婚女性
襟飾り 前2040~前1985年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
棺に「家の女主人」とある女性のミイラ、タケネメト。内棺表面には、神々の前でシストルムという楽器を奏でる姿が描かれている。この章では、神々に捧げた音楽に関連する道具、社会的地位を示す装身具や装飾具など、古代エジプトの人々の生活に身近な作品をとりあげる。
5.ハワラの子ども
子どものミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 ローマ支配時代、後40~後55年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
子どものミイラが作られるようになるのは、ギリシャとローマの支配者が統治したグレコ・ローマン時代(前332~後395年)。古代エジプトでは「家族」は生活の中心だった。それらは神々の世界にも反映されている。当時の玩具なども合わせて展示し、古代エジプトの「子どもの暮らし」に焦点をあてる。
6.グレコ・ローマン時代の若い男性
「黄金のカルトナージュのミイラマスク」 前100~後100年頃 大英博物館 (c) The Trustees of the British Museum
グレコ・ローマン時代においてもミイラ作りは習慣的に継続されていくが、ミイラの外見が重視されるといった変化がみられることがこの時代の特徴。ギリシャ、ローマの人々の支配を受けて変容していく古代エジプトの文化を紹介し、展覧会は締め括られる。
日本独自の展示や取り組みも
同展の日本側監修者である金沢大学河合望教授を隊長とする日本エジプト合同・北サッカラ調査隊が2019年に発見し、現在も調査が続いている「サッカラ遺跡のカタコンベ(地下集団墓地)」を実寸大の部分模型で再現するなど、日本展独自の展示も行われる。
そして音声ガイドのナビゲーターを務めるのは、アニメ『Free!』七瀬遙役や『呪術廻戦』真人役などで人気の声優・島﨑信長が初めて挑戦する。老若男女みんなが楽しんでくれる、博物館の音声ガイドのナビゲーターを担当することができたのは夢のよう。ナレーションを読んでいるだけで面白くて、古代エジプトの光景が次々浮かんできました。自分の声と合わせて、より展示物をみなさんに楽しんでもらいたいと思います」とコメントを寄せた。
会場では図録『大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語』2,500円(税込)をはじめ、「ピラミディオンの大麦ポン菓子」1,080円(税込)、「型抜きのマグネット」各770円(全6種・税込)など、特別展オリジナルグッズも多数登場。人気児童書『かいけつゾロリ』作者・原ゆたかが同展のために描き下ろした特別コラボレーショングッズも用意されている。
展覧会情報
会場:神戸市立博物館
会期:2022年2月5日(土)~5月8日(日)81日間
開館時間:9:30~17:30 ※展示室への入場は閉館の30分前まで
※金曜日、土曜日は19:30まで
休館日:月曜日、3月22日(火)
主催:神戸市立博物館、大英博物館、朝日新聞社、関西テレビ放送
後援:神戸市教育委員会、Kiss FM KOBE
協賛:鹿島建設、DNP大日本印刷、三菱商事、公益財団法人 日本教育公務員弘済会 兵庫支部
協力:日本航空
一般 2,000円(1,700円)
大学生 1,000円(900円)
高校生以下無料
※神戸市在住で満65歳以上の方は当日一般料金の半額。(要証明書)
※団体は20名以上。
※障がいのある方は障がい者手帳等の提示で無料。(要証明書)
公式HP:https://daiei-miira.exhibit.jp/