The Songbardsが自主企画ライブ『ミックステープ Vol.11』を開催、大阪でMONO NO AWAREと相思相愛のステージを繰り広げる
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The Songbards pre.『ミックステープ Vol.11』 撮影=オフィシャル提供(阪東美音)
The Songbards pre.『ミックステープ Vol.11』2022.3.27(SUN)大阪・心斎橋BIG CAT
結成5周年のアニバーサリーイヤーを迎えたThe Songbardsが、インディーズ時代から続けている恒例の自主企画ライブ『ミックステープ』を東名阪で開催。最終日となる大阪・心斎橋BIGCAT公演は、1stアルバムのリリースツアー以来、久しぶりの対バンとなったMONO NO AWAREをゲストに迎えた。
「好きな曲を入れたカセットテープを、友達同士で貸し借りをするように音楽を共有したい」という想いから対バン形式ではじまったこのシリーズも11回目。来場者に配布される恒例のZINEには、出演者全員が選んだプレイリストが掲載されている。今回のテーマは、「大合唱したい。みんなで歌えるプレイリスト」。開演前や転換前に読むと、2組の趣向や音楽への愛を知ることができて興味深い。またフェスで大合唱できたら──想いがこもったプレイリストを見ていると、そう願わずにはいられない。
The Songbards
MONO NO AWARE
玉置周啓(Vo.Gt)、加藤成順(Gt)、竹田綾子(Ba)、柳澤豊(Dr)の4人が静かにスタンバイするとMONO NO AWAREのライブからイベントがスタート。昨年リリースされた4thアルバム『行列のできる方舟』でも1曲目に収録されている「異邦人」のイントロが鳴ると、これからどんな旅に連れていってくれるのかという期待感に包まれる。一度聴いたら耳から離れないオリエンタルなフレーズが、静かに心の隙間に入り込んでいく。
「The Songbardsを好きなみなさん、こんばんは。年下は嫌いなんですが、彼らは曲がいいので、年下ですが好きなバンドです。The SongbardsとMONO NO AWAREをよろしくお願いします!」(玉置)と一筋縄ではいかないキャラ全開のMC。「幽霊船」では対照的な個性をみせる玉置と加藤のギターが予測不可能な展開とともに物語を紡ぎ出し、奥行のある世界へ。歌詞もメロディーもPOPな響きとシリアスなムードを混在させながら、今を生きることに向き合っていく彼らの音楽。「そこにあったから」の加藤のノスタルジックなギター、ふくよかな4人のコーラスワークには心地良い体温が宿り、音源とはまた違った生のエネルギーが満ちていた。
「『ミックステープ Vol.11』に誘ってくれてありがとう。さっきのMCは失敗だったなと思いました。「嫌い」というネガティブな言葉を言うべきじゃなかったと反省。めっちゃ仲いいんですよ。僕も(The Songbards)ライブを見るのが楽しみということをみなさんにわかってほしくて」(玉置)と茶目っ気たっぷりに、先程の発言を訂正すると拍手と笑いがおこる。
「最近、東京に引っ越してきたあいつらに捧げる!」と伝えて、The Songbardsに繋いだラストナンバーは、彼らの代表曲「東京」。美しいメロディーと力強いコーラスが会場に響き、物語がまだ続いてくようなクライマックスへ。最新アルバムからの楽曲を中心に、彼らの作品に込めた想いとライブの魅力が存分に伝わったステージだった。
The Songbards
The Songbards
「The La's/There She Goes」のSEともに幕があき、上野皓平(Vo.Gt)、松原有志(Gt.Vo)、柴田淳史(Ba)、岩田栄秀(Dr)の4人がステージに姿を現す。拍手の中、カウントを経て気合を入れるようにはじめた1曲目は「夏の重力」。4人の美しいコーラスとまばゆい煌めきに満ちたギターフレーズが楽曲の輪郭を鮮やかにし、たくさんの手があがっていく。
柴田のベースラインが誘導し、リズム隊が絶妙なグルーヴを生む「悪魔のささやき」では、ハンズアップ&クラップ! 伸びやかな上野の歌声と力強い松原の歌声が重なるツインボーカルが耳を潤してくれた。夏の野外で聴きたくなる「太陽の憂鬱」を経て、上野の歌からしっとりとはじめた「窓に射す光のように」が会場をドラマティックな叙情感で包む。様々な表情で魅了した前半。
The Songbards
MCでは、「MONO NO AWAREはずっと前から大好きなバンドなんです」(松原)とラブコール。かつて岡山のフェスにて、MONO NO AWAREの玉置に新曲を褒めてもらったエピソードを語り、「そのとき思い悩んでいた心が軽くなって。自分らしさを自分で見つけるのは難しいけど、ちょっとしたことで前に進めるんだなと」と当時を振り返った。その後は、そんなメッセージをこめた「かざぐるま」を披露。2組の絆と重ね合わせながら聴くと、優しく背中を押してくれるような清々しいサウンドと歌詞がより心に響いてくる。続く「ブルー・ドット」や「Time or Money?」では、フォーキーな響きのメロディーと彼らのルーツであるブリティッシュロックを思わせる重心の低いギターサウンドで、じわじわと熱を帯びるロックンロールを展開。
The Songbards
ここで、再度MONO NO AWAREについて熱いトークを繰り広げる上野と松原。「機材トラブルになったとき、彼らの即興演奏で潜在能力の高さを知って。1ファンとして大興奮したんです。僕らにできるだろうかと」と松原が岡山のフェスでの出来事を詳細に語ると、上野は、「今ファン感を出していいのか迷ってる(笑)。かっこよすぎませんか。頭の振り方までも。MONO NO AWAREファンの人とオフ会をしたいくらい」とMONO NO AWARE愛を爆発させた。
さらに、「ライブを観るたびに曲の印象が違うんです。きょうも泣きました。MONO NO AWAREと出会えてよかった」と先ほどのライブを観た感想で盛り上がり、リスペクトし合う2組の関係性を知ることができ、両者のファンも大喜び。
The Songbards
そして、「僕らも新曲を出しています!」と紹介したのは、3月9日(水)配信リリースされたばかりのシングル「オルゴールの恋人」。美しいオルゴールサウンドや今の季節にピッタリなアルペジオが心踊る「春の香りに包まれて」がドリーミンな中盤。包容力のあるグッドメロディを「Inner Lights」へつなげ、真骨頂といえるアンセムで、ライブハウスに爽やかな風を吹かせた。4人が重ねるハーモニーは本当に美しい。とくに「マジック」は上野と松原の声の相性の良さをしみじみ感じるナンバーだ。深く礼をして本編を終えるとアンコールへ。
「BIG CATは、関西のバンドマンには憧れの場所。来てくれたみなさんに感謝します」と喜びを語ったあと、6月29日(水)に『SOLITUDE』『AUGURIES』に続く3部作第3章となる、2ndフルアルバム『Grow Old With Us』をリリースすることを発表! 最後は、ピュアなメロディーが映える爽やかなロックチューン「雨に唄えば」で幕引きとなった。
The Songbards
取材・文=岡田あさみ 撮影=オフィシャル提供(阪東美音)
ライブ情報
『ミックステープ vol.11』