市川染五郎“信康”ד信康さん” 450年の時を超え歌舞伎座で“ふたりの信康”が奇跡の対面
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”信康さん”と握手を交わす市川染五郎
歌舞伎座では、2022年6月27日(月)まで『六月大歌舞伎』が開催、第二部では、群雄割拠の戦国の世、時代に翻弄された親子の愛の物語を描いた『信康』を上演中だ。
17歳にして歌舞伎座初主演となる市川染五郎が、その才能ゆえに悲劇の運命を背負った若武者・徳川信康[永禄2年(1559)年-天正7(1579)年。享年21才]を熱演。瑞々しく真っすぐな信康の姿が観客の心を打ち、松本白鸚勤める信康の父・徳川家康との親子の愛情が、連日歌舞伎座を感動の渦に巻き込んでいる。
染五郎は、公演を控えた先月13日、信康ゆかりの地を訪問。信康が最期の時を過ごした静岡県浜松市の「二俣城跡」や、息子の信康を供養するために家康が建立した寺であり、信康の墓がある「清瀧寺」などを訪ねて、役への理解を深めた。
それからひと月たった6月11日(土)、浜松市から徳川家康の長男イメージキャラクター“信康さん”が、染五郎演じる信康に会いにやって来た。徳川信康ゆかりの地である浜松市天竜地区「信康の会」が2015年に制作し、「キモかっこいい」風貌が人気を得ているイメージキャラクターだ。
450年の時を超え、染五郎演じる徳川信康と“信康さん”、“ふたりの信康”が並んで対面する奇跡のツーショットが実現。染五郎が「今一番会いたかった人」という“信康さん”。歌舞伎座5階の木挽町ホールの松羽目の舞台で、いざ、“信康さん”の姿が見えると染五郎は、そのもとに駆け寄り、笑顔で握手を求めた。
”信康さん”に歩み寄る市川染五郎
”信康さん”と握手を交わす市川染五郎
”信康さん”より名刺を受け取る市川染五郎
さらに、歌舞伎座タワー地下2階の木挽町広場に、“信康さん”が登場した。
”信康さん”木挽町広場にてオリジナルグッズをアピール
自身のオリジナルグッズや浜松市ゆかりのお土産をアピール。歌舞伎座1階のお土産処「木挽町」では、浜松市イメージキャラクター「信康くん」や「信康さん」のオリジナルグッズ(缶バッヂ、ボールペン他)、浜松市のお土産が販売されている。
“信康さん”コメント
”信康さん”木挽町広場にて
本日は遠州浜松より陸路をとって、信康殿に会いにやってまいりました。まさか歌舞伎座の檜舞台で、我が勇ましい姿が見られるとは思い寄りませんでしたが、染五郎殿はとても素晴らしく、実に感動いたしました。27日の千穐楽までどうぞお身体に気を付けてその生涯を生きていただければと思い入る次第です。
“信康さん”プロフィール
出身地:静岡県天竜区二俣
好きな物:天竜茶・天竜木材
性格:責任感が強い・お手伝い好き
仕事:天竜のPR
市川染五郎コメント
ーー“信康さん”に対面した感想はいかがですか?
今、“一番会いたい人”だったので嬉しいです!カッコいいです。先月、信康のゆかりの地にも行かせていただきました。その後、父(松本幸四郎)が信康さんグッズをネットでたくさん買ってくれまして、今月はその缶バッチやボールペンやストラップを楽屋の鏡台脇に飾っています。
ーー信康さんグッズを見ながら信康になっているということですか?
そうですね。
ーー役作りに影響は……?
影響は……特にないですね(苦笑)。
ーー今月、実際に信康を演じてみた感想や手応えを。
まずはたくさんのお客様に来ていただいて、素直に嬉しいです。もちろん毎日同じものができなくてはとは思っていますけども、日々進化できるように、進化することは忘れずにやりたいと思っています。手応えは……自分に自信はないので、手応えといえるものはないかもしれないですけども、『信康』という作品は、演出の齋藤雅文さんが素晴らしく手直ししてくださっていますし、先輩方にたくさん出ていただいて、それぞれ個性のある役、それぞれの役が際立つような作品になっていると思うので、自分自身演じていてもそこがすごく好きなところですね。
ーー周りからの反響などはありますか?
泣いたとおっしゃる方もいらしたり、舞台に立っていてもお客様のすすり泣く声が聞こえてきます。自分だけの力ではありませんが、伝えたいことが伝わっているのかなと思い、すごく嬉しいです。
ーー早速、再演を望む声が多く出ていますが。
今回は、実際の信康と近い年齢でやらせていただいているので、次あるとしたらいつかはわかりませんけども、自分自身も年齢を重ねてまた違う信康を演じられるのではと思っています。
ーーお父様(幸四郎)や、高麗屋(松本白鸚)さんから言われたことはありますか?
父は毎日のようにダメ出ししてくれます。祖父も気づいたことがあったら言ってくださるので、しっかりと吸収して次の日に生かせるようにしたいと思っています。
ーー残りの舞台への意気込みを。
とにかく“進化したい!”ということを毎日思っているので、昨日よりもいいものをお見せできるように毎日勤めたいと思っています。