北尾亘×中村蓉×五十嵐結也が語る、ダンスの未来と繋がる広場『DANCE×Scrum!!! 2022』 まもなく開催
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■今ダンスをすることの意味、そして未来への展望
――北尾さんはフライヤーに「沈黙しててもしょうがない。世界をダンスの興奮で埋め尽くそう。」と書かれています。今ダンスをすることの意味というか、お三方のダンスで生きる覚悟についてお聞かせください。
北尾:僕はワクワクすることの方が多いかな。『DANCE×Scrum!!!』と絡めて話すと、蓉ちゃんとイガちゃんとは20代半ばくらいから一生懸命活動を続けてきた同志です。TABATHAの岡本優ちゃんも同世代で、この4人が初回からスクラムをともに育み守り抜いています。20代前半の頃はダンスを続けられるのかどうかも分からなくて、やみくもに場所を探したり、自分で居場所を創ったりをそれぞれに繰り返していたと思います。でも、その時に頑張って蒔いた種が、今どんどん芽吹き始めていると感じます。同志がいて、先輩も後輩も境なくいろいろな人と繋がれる機会が増えている。ダンスシーンの明るい未来を願うと同時に、まず続けられていることの喜びが強いですね。
だから僕らの世代で前進して地ならしたところを後進たちが踏み越えていってほしいですね。その時々の調子のいい人が、こういう企画を立ち上げることによって循環してシーンを機能させていくんじゃないでしょうか。種はいろいろな所に蒔かれているので、希望はあると思います。
中村:コンテンポラリーダンスって、体感できる、グサッとくる早さが魅力的で広告とかにも向いているし、地域おこしにも向いている。ノンバーバルなので強いんです。私自身もオペラの演出・振付だったり、各地や学校でのワークショップだったり、ダンスの可能性を掘り起こし続けています。可能性が見つかって、何か引っかかるという「うれしい」の連続でここまできているので、人生がいくつあっても足りないですね。でも、満たされない自分もいる。そこがアーティストを長く続けていられる人の条件なのかもしれません。マクベスは野望に走ってしまいますが、そうならないように(笑)。なので『DANCE×Scrum!!!』という、野望も可能性も健全に出せる場があるのは有難いです。
五十嵐:僕は20代後半、「俺って本当にダンサーになりたいのかな?」ってモンモンとしてた時期があったんです。自分が好きなダンスカンパニーや海外の振付家作品のオーディションとか技術が足りなくてよく落ちてたんですけど。自分の骨格とか動き方、キャラクターって、自分が興味を持っているダンスの世界ではノイズになるなと感じることが多く。それだったら、持って生まれ培ってきた「五十嵐結也」というキャラクターを世にアプローチしてったほうが楽しんじゃないか?と思ってからは、“五十嵐”というキャラクターと技術で飯を食ってくぞ!!!っていう覚悟はできましたね。未だに自分の可能性は広がるばかりなので、楽しんでいきたいと思います!
五十嵐結也
――今後に向けての抱負・展望をお願いします。
北尾:いっぱいあるよね?
中村:ありますね!
北尾:『DANCE×Scrum!!!』は、どこかで僕やBaobabの手を離れていったらいいなと思っています。いい意味で、どんどん散らかして利用してもらっていい。そうすればまた次の景色も見えてくるし、未来に繋がる。『DANCE×Scrum!!!』がいろいろな人を介して、羽ばたいて、遠くまでいってくれると、その先の未来がより楽しみになります。
中村:私や亘さん、イガちゃん、TABATHAに関しては「今見逃すと、乗り遅れるよ!」と言いたい。侮るなかれ。と言いつつ私も感謝の気持ちを持ち始めているので、「今逃すと取り残されるけれど、でも私たちは頑張り続けるから、いつでも見てね!」という意思表示になればいいな。今回初めてご一緒するフレッシュなメンバーをご覧になれば先物買いになります。亘さんはそこも考えて選んでいると思うので、今までよりもずっと視野の広いフェスになるはずです。こういうことを言ったからには明日からきっちりと頑張ります!
五十嵐:とにかく新しい人たちに共演者として出会えることが楽しみです。
中村:6年前のイガちゃんと何が違う?
五十嵐:キャラクター“五十嵐結也”としての力がついてきたかな。ダンスの他にもCM出演とか、映画、芝居などやらせていただいたりしてきましたが、僕は自分のキャラクターを特化させることばかり考えていたんで、エンターテイナーというかパフォーマーとして生きる志向がより強いものになった感じですかね。
北尾:蓉ちゃんの言葉を借りれば、今のイガちゃんを『DANCE×Scrum!!!』が逃して関係が途絶えてしまってはいけない。その思いがあって参加してもらいます。
五十嵐:宴会芸みたいな出し物で大変恐縮ではありますが(汗)。
北尾:初回から継続して観に来てくださっているある方が言うには「毎回危なっかしい所がある。だから面白いよね!」と。それはコンテンポラリーダンスの魅力でもあるので、最高の誉め言葉です。「なんだその発想は?」みたいな人や必死に投げられた凄い剛速球に出会えたという実感が得られたりする。ダンスって直観的で、そういう可能性があります。今回もフレッシュな方々に集ってもらうので、ぜひ立ち会っていただきたいです。
★おまけ写真あり!すべての写真は【こちら】
取材・文=高橋森彦 撮影=鈴木久美子
公演情報
会場:あうるすぽっと / オンライン配信[8月30日(火)]
KEMURI×熊谷拓明×松田尚子 TABATHA 中村蓉 Baobab MOSA/月面着陸
Von・noズ odd fish オフワンズ 寺杣彩 Null
矢嶋美紗穂×李真由子 横濱さくら 田中真夏 徳田美佳 Nishi Junnosuke
よしだみらい 宝栄美希 役者でない 中屋敷南 五十嵐結也
開幕祭(一般):2,500円
開幕祭(学生):2,000円
ステージ+ホワイエ(学生):4,000円
ステージ(一般):3,500円
ステージ(学生):3,000円