恐竜たちが生きた世界を体験し、子どもも大人も多くを学べる 『ディノアライブ・プレミアム タイムダイバー』製作会見レポート
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『ディノアライブ・プレミアム タイムダイバー』製作会見より
昨年大好評を博した『ディノアライブ タイムダイバー』が、2022年7月に夏休みスペシャルとしてバージョンアップ。「陸を越え、海へ、空へ。」というコンセプトのもと、空の支配者である翼竜、あやしく光る巨大クラゲなどが登場する。また、一人の少年・みらい君が観客と共に中生代へタイムトリップし、過去最多となる17体以上の生き物に出会う。少年少女をはじめとする全ての観客が恐竜や中生代の生き物について学び、考え、最高の思い出を作ることができるエデュテインメントだ。さらに会場であるIHIステージアラウンド東京の周りが恐竜パラダイスとなり、夏休みの課題に役立ちそうなワークショップや巨大迷路、恐竜をモチーフにしたフードやドリンクの販売、BBQやビアガーデンなど、一日中楽しく過ごせるエリアが広がることが発表された。今年のスペシャルサポーターには、クイズプレイヤー・伊沢拓司が就任。ダイナソー小林の愛称で親しまれる北海道大学教授・小林快次も恐竜先生として学びをサポートする。
■ららぽーと豊洲にて、製作発表記者会見を開催
会見に現れたのは、スペシャルサポーターの伊沢拓司、北海道大学教授の小林快次、株式会社ON-ART社長の金丸賀也。
恐竜への思い入れを尋ねられた伊沢は「僕が小学生くらいの頃、ちょうど恐竜の図鑑や展覧会など、学べる場がどんどん増えてきた時期だったんです。最初の出会いは上野の科学博物館。今回のディノアライブを見に来る少年少女と同じく夏休みに恐竜を好きになった記憶があります。リアルな恐竜に触れつつ当時の環境も学べるタイムドライバーのサポーターとして呼んでいただき、嬉しく思っています」と語る。「最近は科学誌がWebに寄稿していたり、昔に比べて映像やテレビ番組の特集も増えていますよね。あとは今回いらっしゃる小林先生をいろんなところで拝見し、知識を得ています」と話し、ディノアライブをきっかけに恐竜に関するクイズが増えると自身がさらに勝ちやすくなると話して笑いを誘う。また、「東大王」のロケで『タイムダイバー』の動く恐竜と出会ったそうで、「その時に恐竜に襲われてリアルな恐怖を感じました。いろんなところで『タイムダイバー』が取り扱われたらいいと思う」とリアリティに太鼓判を押す。
伊沢拓司
続いて登場した小林は、「前回も素晴らしかったですが、さらに進化したと聞いています。恐竜の研究って毎年どんどん進んでいるんです。今回のステージが最新の研究にどのくらい近付いているか楽しみにしています」と、専門家ならではの視点で注目。昨年は専門家をも唸らせるクオリティだったと賞賛し、今年はどんなところが進化したか見比べたいと笑顔を見せる。「子どもたちにとって忘れられない経験になることでしょう」と期待を寄せた。
北海道大学教授・小林快次
世界初のリアル恐竜体験プロジェクトの生みの親であり、世界14ヵ国で特許を取得しているON-ART社長の金丸は、「基本的にはそんなに特殊な技術ではなく、改善を積み重ねてできたものです」と謙遜しつつ、恐竜たちの皮膚を半透明にし、血管や脂肪が透けて見えるような作り方で質感を表現していることを明かす。16年ほど前に1号機の製作に取り掛かり、コツコツ技術革新を続けてきたという同社。関節の動き方なども資料を参考にしたことで、一気にリアリティがアップしたと言う。
ON-ART社長・金丸賀也
進化を続けるディノアライブだが、今回はさらに“プレミアム”。今までとの違いを尋ねられた金丸は「今までは子どもたちに向けた形になっていましたが、今回は自分たちのやりたいことをやろうと。(恐竜が)暴れるのを抑え気味にしていたり、抑制したりしていた部分をなくし、大人も巻き込んでびっくりするようなものをやろうと決めました」と、さらに迫力が増すことをアピール。リアルすぎて泣いてしまう子どももいるのではと心配の声があがったが、「昔は泣いてしまう子が多くて、ものすごく落ち込みました。でも最近は泣かないですね。むしろ(恐竜に)来てほしがっている印象です」と、子どもたちの反応の変化に笑顔を見せる。
■今回の大きな注目ポイントは……
バージョンアップした『タイムダイバー 夏休みスペシャル』の大きな見どころは三つある。
一つ目はシリーズ最多となる17頭以上の生物が現れること。中でも初登場となる翼竜は、映像と絡めて飛んでいるシーンがあるほか、図鑑などでは中々お目にかかれない四足歩行をする姿も見られるそう。紹介されたゲオステンベルキアはトサカが印象的な翼竜。翼の構造がコウモリなどとは違うらしく、不思議な生態をぜひ劇場で観てほしいとのことだ。
二つ目はこちらも初登場の巨大クラゲ。物語の流れで深海まで沈んだ際に会場全体が海底になり、ステージや客席をクラゲたちが泳ぐ幻想的な光景が広がるという。メインは恐竜たちではあるものの、同時に中生代の植物や海棲爬虫類といった生き物たちを表現したいという思いがあっての演出だそう。
そして三つ目が、舞台上に登場する「みらい君」という少年。作中では子どものトリケラトプスとみらい君が一緒に寝てしまい、それぞれの夢が画面いっぱいに広がるなど、現実と非現実が混ざり合うような表現もあるそうだ。子どもたちと同年代のみらい君が旅をすることでさらなる没入感が得られるのに加え、恐竜たちのサイズ感がより分かりやすくなるという。これには実際にステージに立ったことがある伊沢も「やっぱり見上げますし、目があった瞬間に本能的な恐怖を感じます。そのサイズ感って大事だと思うので、みらい君がいるのはいいですね」と頷く。
さらに、ステージの外にも楽しみが広がっている。IHIステージアラウンドの周辺では恐竜ワークショップや化石探し、迷路などのアトラクションが行われる他、恐竜をモチーフにしたフードやドリンクの販売、BBQやビアガーデンなども。海沿いのため、景色も楽しみながら過ごすことができる。
ワークショップの中には、恐竜の骨のみが書かれた絵に色を塗って自分だけの恐竜を作り出すことができるユニークな塗り絵もあるとのこと。これは小林が監修したもので「骨をもとに分析し、生物の面白さを学んでほしいです。学ぶにはまずは楽しむことが大事ですから」という言葉に、伊沢も「子どもたちの方がいい恐竜を作れそうですね」と興味深そうに頷く。他にも、カードゲームやアトラクションが用意されるそうで、『タイムダイバー』を見た上で恐竜パラダイスを楽しむことで、学びをさらに深められるといえるだろう。公演
■本作の主役・恐竜も会見に登場
多くの人を虜にする“恐竜”の魅力を聞かれると、伊沢は「恐竜は現代にはいないし、中々想像できないスケール。こんなものが存在していたんだという驚きがあります。自分の体験や理解を超えた存在というところに、他にない魅力を感じます」と話す。小林も「伊沢さんがおっしゃった通り、想像を超えているし、そんな生き物が本当に生きていたことがすごいですよね。恐竜って一言で言うと空間を支配していた生物。大きさや多彩な形、空を飛ぶものがいたりと、想像を超えた進化を遂げている。生命の神秘を凝縮していると思います」と語る。
金丸は「再現するのが難しくて打ちのめされます。舞台にブラキオサウルスという首の長い恐竜が登場するんですが、首の設計は3年かけても中々うまくいかなかった。でも、実在した生き物ですから、どうやって動いていたんだろうと構造を考えて解決策を探すんです。謎に向き合うことが幸せですね」と、リアリティを追求しているからこその苦労と楽しさに言及。研究内容を盛り込みつつ想像で補わないとぎこちなくなるほか、年々学説が変わるゆえの大変さ、ぱっと見の格好良さも大事にしたいというこだわりもあり、バランスが難しいという。「最初は羽が生えた恐竜を格好良く作れる自信がなくて作るのが嫌だったけど、作ってみたら理に叶っていると納得でき、面白いなと思えた」と、発見も多いとのことだ。
また、推し恐竜を聞かれた三人。伊沢は脳が大きく知能が発達していたというトロオドンを気になる存在としてあげ、現在コロナ禍で国内の恐竜研究をメインに進めているという小林は自らが名付けたカムイサウルス、ヤマトサウルス、パラリテリジノサウルスが“今一番可愛い恐竜”と返答。金丸はアロサウルスのスタイリッシュさが好きだと話す。
ここで会見にユタラプトルが登場。三人や取材陣に噛みつこうとする迫力満点のリアルな恐竜に、近くにいた子どもたちも興味津々で集まり、夢中で見入っていた。
ユタラプトル
作中にはユタラプトル以外にも、13mのブラキオサウルスやトリケラトプスの親子、ステゴサウルスの親子なども登場するそう。トリケラトプスの親は新型になり前回よりも一回り大きくなるなど、様々な部分がパワーアップしているとのことだ。
最後に改めて本作の魅力を聞かれ、金丸は「恐竜という生き物の大きさ、生き物たちの世界の素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいです」と意気込む。小林は「恐竜の面白さは多彩な進化だと思います。東京のど真ん中で、恐竜の時代にタイムスリップして体験できる。一度は体感してほしいと思っています」と語り、伊沢は「知識を超え、恐竜や当時の生き物たち、地球のことを五感を通して学べます。大人も子どもも、この夏しかできない体験をしてほしいですね」と締めくくった。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
出演恐竜は順次発表