おとなもこどもも、夏休みの“自由研究”に! 指揮者・藤岡幸夫にきく、関西フィル×ザ・シンフォニーホール『親子定期演奏会』の楽しみ
藤岡幸夫
毎夏、関西フィルハーモニー管弦楽団とザ・シンフォニーホールは『親子定期演奏会』を開催し、親子連れにとどまらず音楽ファンにも大好評だ。
このシリーズは5回目から“夏休み、自由研究はこれで決まり!”として、来場者にプレゼントされる「研究シート」は自由研究としてそのまま使えると評判を呼んでいる。2022年夏、シリーズは3回目を迎える。
関西フィルの首席指揮者の藤岡幸夫は、『親子定期演奏会』の最初からたずさわってきた。今年のテーマは《200年前のヨーロッパの音楽と画家》。このシリーズにかける意気込みや夏休みの思い出を、藤岡は熱く語ってくれた。
楽器に剣道、ボーイスカウト……藤岡少年の夏休みは
――藤岡さんは小学生の頃、夏休みをどう過ごしていましたか?小学校4年生の時、指揮者になると決意したそうですが……
そうなんです。当時、僕はピアノとチェロ、トランペットをやっていましたが、「指揮者になりたい」と作文に書いていました。その頃は、楽譜をいろいろ書いていた覚えがあります。作曲ではなく、編曲のような感じだったと思いますが。あと、レコードを聴いて「こんなレコードを聴きました」「いとこの家へ行き、初めてラフマニノフを聴いて感動しました」というようなことを、日記に書いていましたね。
僕には同い年のいとこがいて、そのお父さんはピアノがとても上手でした。当時の僕は、ラフマニノフなんて全然知らなかった。「さっちゃん、ラフマニノフ知ってる?」といとこに言われ、ワイセンベルクのLPを聴かされてね。ラフマニノフってすごいなぁって思いましたよ。最初、ピアノだけで始まるでしょ……衝撃でしたね。あのラフマニノフを聴くまでは、全然違うタイプのピアノ協奏曲を聴いていたから。
――日記に書いていたのですか?
そう。毎日、日記を書くでしょ。「今日は○○を聴きました」とか。剣道の話と交互に書いていたと思います。
――剣道もやっていたのですか!?
小学校4年生からです。それから、ピアノはすでに習っていましたが、指揮者になりたいからチェロをやらせてほしいと親にお願いしました。トスカニーニがチェリストだったからね。親からは、「専門的なソルフェージュやチェロもやらせてあげるけれど、指揮者になるためには2つ条件がある」と言われました。
1つは、中学受験をして大学まで一貫教育の学校に入ること。受験勉強しないですむから、音楽の勉強もしっかりできるとの理由でした。もう1つは、指揮者になるには気合と目力が必要だから、剣道場へ行くように言われました。だから、剣道場へ行って、塾へも行き始めました。夏休みには、塾の講習会へも行きましたね。
それから、ボーイスカウトもやっていて、キャンプにも行きましたよ。その頃はカブスカウトだったかな……ボーイスカウトは小学6年生からでした。
――お稽古事と受験との両立がお上手ですね。
時代がおおらかだったからね。いまの方が大変だと思います。
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